~魔学師の招待状~
入学式の『魔学師のゲーム』、その結果が、今日僕の家に届く……のだろうか?
「……。」
大学の入学式の翌日、僕は自宅のポストの前に立っていた。
「……、本当に来てるのかな……?」
昨日の魔学師、ルーン・アルティミアと呼ばれていた魔学師のゲーム。あれは本当のことなのかと、僕は内心まだ半信半疑だった。
しかし、
「……、まさか本当に来てるなんて……。」
ポストを覗くと、中には一つの封筒が入っていた。封筒には《魔学師からの招待状・結果》と、明記されていた。
僕はその封筒を持って、部屋に帰った。
●
「……、この中に結果が……。」
僕は、恐る恐る封筒の封を開けた。中には一枚の手紙が入っていた。
『八重ヶ崎 真
お前には魔学師の才能を感じた。
よってお前は《天王大学 魔学部》に入ることを認めよう。
今日の正午、《第3体育館》にてお前を待つ。
魔学師 ルーン・アルティミアより』
以上の内容が手紙には記されていた。
「ほ、本当に……!?」
僕はすぐさま家を出て大学に向かった。
●
大学に着くと、校門には大きな人だかりができていた。
(……?なんだろう?)
人だかりをかき分け、前のほうに出ると、そこには一人の男子学生が『あの』魔学師に口論していた。
「なんでこの僕が不合格なのさ!!こんなことでほかの学部に入れられるなんておかしいだろ!!」
「フフン、ならばお前は自分のゲームの結果が納得いかないのか?」
魔学師は大げさに「やれやれ。」といったポーズをとると、
「ならばお前はゲームをすれば自分の腕でなく、機械を責めるのだな?」
と、魔学師は男子学生を指さし言った。
「な、何を言って……。」
「それと同じだろう?」
うろたえる男子学生の言葉をさえぎり、魔学師は言い放った。
「魔学に興味があっても、才能のない奴に魔学を教えたって意味のないことだ。」
「し、しかしこちらは入学試験を合格しているんだぞ!」
「やれやれ、だからほかの学部に行けるようにしてやったのにな……。」
そんな時だった、僕と魔学師の視線が合った。
「……、ん?おぉ!ちょうどいい、お前と合格者の違いを見せてやろう。
おい、八重ヶ崎 真!!
――って、おいコラ!!どっか行こうとすんな!!」
知らない振りして逃げようとしたら首根っこをつかまれ、引きずり出された。
「……さ~てと、じゃあこれから簡単なゲームをしてやろう。お前がこいつに勝ったら魔学科に入れてやろう。」
と、僕を指さし魔学師は言った。
「……、ただし、負けたら文句は言うな。わかったな?」
「よ、よし!!いいだろう!」
「えっと~、僕に拒否権は……。」
「ゲームの内容を言うぞ!!」ゲームの内容は――」
僕の言葉をさえぎり魔学師は説明を始めた。
(ないんですね……。えぇわかってましたとも……。)
「――あたしが今からランダムに50文字の文字列を作ってやる。それを瞬時に記憶しろ!!」
そう言うと、魔学師は指を鳴らし、僕たちの目の前に紙を出現させた。
「用意はいいか?……始めろ!」
●
「な?これが才能のある奴とない奴の違いだ。」
「そ、そんな……。」
男子学生は膝をついた。
そう、僕はすぐに50文字のランダムに記された表を覚え、言いきった。
(まさか、自分でも言いきれるなんて……。)
内心自分でもびっくりしていたが、本当に言い切ったのだ。
僕が思っていると、魔学師が
「さて……約束は守ってもらうぞ?」
と、男子学生に言葉を向けていた。
「――だ……。」
「あ?」
とたんに男子学生が激昂した。
「お前らはグルにきまってる!!」
「はぁ?」
驚く魔学師をよそに男子学生は食って掛かる。
「初めからおかしいと思っていたんだ!!いきなりこんなところに合格者がいるわけない!!……千文字なんて五分で覚えられるわけないだろ!!」
「ちょっ……、落ち着いて――」
僕が声をかけると、
「うるさい!!」
男子学生はいきなり僕にとびかかろうとしてきた。
「うわぁ!!」
僕は、突然のことで、尻もちをついた。
――そんな時、
「やれやれ……。」
と、魔学師がつぶやくと、
『男子学生の周りに薄い壁で、透明の箱ようなものが現れた。』
「「……え!?」」
突然のことで、僕も男子学生も驚いた。すると、
「やれやれ……、世話が焼ける……。」
魔学師が僕に向け、手を差し伸べてくれていた。
「あ……、すみません……。」
「ったく、一般人に向けて魔学を使うことになるなんてなぁ……。」
そう言うと魔学師は、
「おい、お前!いきなりとびかかろうなんていい度胸してんな!!」
と、箱状の物の中にいる男子学生に言うと、そのまま男子学生をどこかに連れて行った。
――僕に体育館に行くように言って。
●
「えっと……。」
僕は魔学師に言われたように体育館に行った。
(……、でもなぁ……。)
先ほどの騒ぎのため、僕に多くの人が押し寄せてきた。
「ねぇねぇ!あの魔学師の人とはどんな関係なの!!」「実は裏口入学ってほんと!?」「そこんとこどうなの!?」
「あ、あの……。」
僕が学生たちの対応に困っていたその時、
「邪魔だ!!」
と、魔学師が人の波をかき分けてこちらにやってきた。
「よぉ、八重ヶ崎、待たせたな。」
「い、いえ……。」
「さて、入るか。」
と、魔学師が言ったとき、
「ちょっと待ってください!!」
一人の女子学生が魔学師の腕をつかんだ。
「あ?なんか用か?」
「あ、あの!魔学師さんとその人って……!そのっ!あのっ!」
顔を赤らめて女子学生は口ごもる。
「?はっきり言えよ?」
魔学師はめんどくさそうに言う、すると、
「魔学師さんとその人は恋人同士なんですかっ!!」
女子学生が叫んで言った。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
その言葉に一番驚いたのは僕だった。
(なんでそんなことに!?)
しかし魔学師は、
「……、アホなこと言ってないで早く入れ、合格者の『朝倉 千歳』。」
「ふぇっ!?」
魔学師は僕と同じように女子学生の名を当てたのだった。
いかがでしたでしょうか?
今回も頑張って打ちました!!
楽しんでいただけましたでしょうか?
間があきがちですみません……(泣)
できるだけ早く打てるよう頑張りますっ!!
ではでは(^^)/~~~