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Cage Breaker  作者: takosuke3
序章
1/20

もう一つの決着

「‥‥‥ちゃんと手加減するのよっ!」

 言い放って、彼女は白と黒の翼を広げた。

 手を振って答えながら、僕は飛ばしていた機動兵装に発砲を命じる。

 荷電粒子の弾丸が放たれ、彼女のかつての同僚達が、八人落ちた。同時に、四基の機動兵装を飛ばし、障壁を展開して彼女が飛びこんだ通路を塞いでやる。

「手加減、だってさ。良かったじゃないの、最後まで気を遣ってもらえて」

 我ながら、冷やかな笑みだと思う。それを向けられて、そいつは哀れなほど顔を青ざめさせた。やたら豪奢な白装束が、今はひどく滑稽だ。

「き、貴様、私が誰か分かっているのか? 私を手を出せば」

「二四四起爆」

 その指示を飛ばすと、白装束の背後で、爆発が起こった。外壁に大穴が空いた。白装束は、その大穴と僕を見比べ、

「き、貴様の仕業かっ」

「何を今更」

 本当に、何を今更だと思う。

 ここの連中は、〝侵入者〟に対して無防備すぎる。姿を見せないだけで(・・・)、全然警戒されなかった。はっきり言って、ここの警備は警備としての機能を失っている。長い平和に浸っていたおかげで、彼の危機感は腐りきっていたらしい。

「さて」

 僕は、たくし上げていた風防を下ろした。思考手順を、〝準待機〟から〝臨戦〟に切り替える。

「どうする? 僕としては、さっさと退いてくれた方が、色々と手間が省けて助かるんだけど」

 とは言っても、実際のところ、白装束に選択肢など無いだろう。

「う‥‥‥」

 彼にしてみれば、今死ぬか、後で死ぬかの違いなのだ。それを回避するためには、

「うおああああああああああっ」

 剣を抜いて、白装束は突進してきた。

 勇気ある行動──と、僕は思う事にした。白装束の発したそれは、悲鳴ではなく、雄叫びと思っておこう。

 そう言えば──思考手順を〝迎撃〟に引き上げながら、僕はふと思った。

 ちょっと前までは、彼女もこいつとどっこいのボンクラだった。

 機動兵装を飛ばしながら、僕の脳裏は数日前に飛んだ。





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