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星戦戦記  作者: 久保 徹
8/8

EP8th 鋼鉄の騎士

 

 オウドの造反の後、数的有利を失った銀河連邦軍は、ザウザー軍の勢いを止められず、各地で敗戦を続けていた

 

 そして各地での敗北の報告と一緒に、未確認ではあるが気になる情報があった

 

 《連邦軍が全滅した戦場には、明王と酷似した機体が出撃していた》

 

 情報が少ない為断定は出来ず、そのことはシュウヘイの耳にも入っていた

 

「クロウがザウザー軍に……?」 

 そんなはずはない、何かの間違いだ、そう思った

 

 似ているだけでクロウではないと信じていた

 

 この時銀河連邦軍は、これまでの劣勢を覆すため一大反攻作戦を開始しようとしていた

 

 作戦名デュエル・ナイツ

 

 ゼロの強化発展型のゼロ‐Mk2に《デュエルシステム》を搭載した、無人人型高速戦闘艇ナイトによる、敵宇宙基地の同時攻略作戦だ

 

 三日後の作戦開始に合わせて、月光も味方艦隊との合流地点に向かっていた

 

 

 

 

 昼食時、月光のブリッジメンバーは今回の作戦について意見を交わしている

 

「ナイトですか?」

 

「技術開発部門が大事に育てた秘蔵っ子だよ」

 

「あそこは最近それしかやってないですよね」

 

「ま、無人でどこまでやれるかお手並み拝見しようじゃないか」

 

 ナイトは高性能コンピューターと人工頭脳を持ち、命令を受けるとその遂行のために最適な行動を独自に判断し、実行する

 

 銀河連邦軍の戦争集結への切り札が、このナイトなのだ

 

「ナイトねぇ、たいそうな名前だ」

 

 サンダースはコップの水を飲み干すと、目の前のカツ丼を一口食べた

 カツ丼の横にはカレーもあった

 

「作戦が成功したら人間は必要なくなるんですかね?」

と、ジェシカが問う

 

「戦場から人間がいなくなっては戦争の重みが伝わらない」

 

 マーカスは否定する、同時に昔の事を思い出していた

 

 上層部の現場を無視した命令のために宇宙に散った、真面目すぎた戦友のことを

 

 

 

 

 翌日、作戦開始の二日前に月光は味方艦隊と合流した

 

 その味方部隊の大半はナイトで構成されている 

 作戦の最終打ち合せのため艦隊の旗艦を訪れたマーカスは、その帰り道ナイトの格納場へ立ち寄った

 

 広い格納場をいっぱいに使って、ナイトが静かに並んでいる

 

 左腕自体がブレード発生器になっている姿は、まさに物言わぬ鋼鉄の騎士だった

 

「こいつがいればこの戦争は勝ったも同然です」

 

 技術開発部門の人間の言葉をマーカスは複雑な心境で聞いていた

 

「人間は必要ない……か」

 

 出撃の時を待つ騎士達を見ていると、彼ら自身がそう言っているようにさえ感じた

 

 戻ったマーカスから月光に与えられた任務が告げられた

 

「作戦終了まで管制艦を護衛すること」

 

「戦闘には参加しないんですか?」

 

「戦闘部隊は全てナイトだ」

 

「艦長」

 

「ん?」

 

「あの機体は出てくるでしょうか」

 

 シュウヘイの言う機体とはもちろん連邦の部隊を全滅させた機体だ

 

 自分も出撃したい、と言うシュウヘイに対しマーカスは、上からの命令だ、と言って許可しなかった

 

 

 

 二日後、予定時刻と同時に目標の基地に侵攻開始

 

 作戦はまずザウザー軍の警戒衛星を破壊することから始まった

 

 そして間髪入れず戦艦から長距離高速ミサイルを発射

 

 ほとんどが撃墜されたがその隙にナイトの部隊が高速で接近、奇襲を仕掛ける

 

 完璧に統制のとれた攻撃と無人ならではの無茶な機動で、敵部隊を圧倒 

 四つの目標の内、三つの制圧に成功した

 

「残りはここだけか」

 

 作戦は順調に進み、成功は時間の問題だった

 

 その時、レインが叫ぶ 

「新たに敵部隊接近!内一機未確認機です!」

 

 それを聞いたシュウヘイはすでに格納場に向かって走っていた

 

 

 

 


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