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星戦戦記  作者: 久保 徹
7/8

EP7th 宣言の日

 ワープドライブでなんとか木星圏から脱出した月光だったが、他の四隻の戦艦と同じように急激な人員増加による物資の不足が心配された


 そこで人員を降ろすか物資を補給するため、最寄の宇宙基地へ立ち寄った


『わかった、人員はこちらで受け入れよう。ここまでご苦労様』


「ありがとうございます」


「よかったですね」


 基地司令官との通信を終えたマーカスにジェシカが言うと、マーカスは少し笑って背もたれに寄りかかった


 表情からは疲れの色が見える


「なんだか悪いことが起きようとしてますね」


「シュウヘイ」


 クロウリィが敵に捕まって以来、部屋に篭っていたシュウヘイがブリッジに姿を見せた


 落ち込んでいるかと思いきや、その顔は、なにか決意に満ちたような表情をしている


「連邦の中にザウザーのスパイがいたって事か?」


「僕たちを襲った艦隊の数を見ると、外部から入ってきたと言うよりは元々連邦内部の人間の仕業と考えた方が……」


「造反か」


 その時宇宙基地から受け入れ準備が整ったと連絡が入った


 マーカスは一先ず人員を降ろすためにサンダースに指示をだした







 翌日、彼らの一日は緊急事態から始まった


「なんだって!?」


 レインからの報告を聞いたマーカスは、驚きのあまり聞き返した


 レインはもう一度復唱する


「ドーガ星圏でザウザー軍と戦闘中だった連邦軍艦隊が、後方に現れた友軍から突如攻撃を受け、連邦軍艦隊は全滅しました」


「衛星からの情報によると後方に現れた連邦軍艦隊は、その後ザウザー軍と一緒にワープドライブに突入したようです」


 レインの復唱後、ジェシカが新たに入った情報を付け加えた


 ブリッジにいた全員が言葉を失い、静まりかえった


「この艦隊がザウザー側に寝返ったとしても、この程度の数では状況は変わらないでしょう」


 そんな中、ジェシカの横からモニターを覗き込むシュウヘイだけは冷静だった


 だがシュウヘイは未だその言葉の真意を口にはしていない


「離反艦隊は今後さらに増える」


 サンダースがポツリと呟いた


 離反艦隊が増えるということは、数で劣勢だったザウザー軍が勢力を大幅に増やすことになる


「現在の勢力比は三.五:六.五ですね」


 彼は五人目の月光ブリッジ要員ホムラ、火器管制を担当する

 

 月光の高性能な火器管制は、中枢コンピューターから送られてくる敵の情報を元に、最も適した迎撃武装を選択する

 

 しかし意図的に人間が介入することも可能である

 

「このままだとマズイよな」

 

 マーカスの言葉は最悪の状況を懸念している

 

 まだ離反艦隊が出るとすれば、現在の勢力比が覆るであろうことは容易に想像できる

 

 その先にあるものは、銀河連邦の敗北だ

 

 銀河連邦政府はこの事態を重く受け止めると同時に、内部にいる首謀者の特定を始めた

 

 

 

 

 だが数日後、首謀者は自らその姿を現わした

 

 銀河放送ネットワークの中継基地を乗っ取り、世界中に声明を届けた

 

「そんな……」

 

 整備場、基地内ロビー、司令室、ブリッジ、その時全ての視線はモニターに集まっていた

 

 二人の部下を従えて姿を現わしたのは、地球部隊を統括する男だった

 

 その男、オウド・サカキは高らかに宣言する

 

『銀河連邦の支配を終わらせる為、同志達よ立ち上がる時が来た』

 

 シュウヘイは自室のモニターでこの放送を見ている

 

 久しぶりに、数年ぶりに見た父親は、その瞬間から銀河連邦の敵となった

 

 数日後、造反幇助の疑いで軍法会議にかけられるが、証拠不十分で月光内での謹慎処分に留められた

 

 さらにその後数週間で銀河連邦に属する惑星国家の内、三分の一が離反し両陣営の戦力比はほぼ五分となった

 

 

 

 

 


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