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星戦戦記  作者: 久保 徹
3/8

EP3rd 闇の胎動

 

 月光がワープ航法に入った頃、最前線のドーガ星圏では、今まさに戦闘が始まろうとしていた

 

「艦長、月光から入電がありました ワープ航法に入ったそうです」

 

 副長が入電の内容を伝えると、立ち上がり指示を出す

 

「敵艦隊の様子は?」

 

「今のところ大きな動きは……いえ!敵艦隊から機動部隊、多数発進!」

 

 オペレーターが叫ぶ

 

「こちらも発進させろ!全艦攻撃開始!」

 

 艦隊を構成するのはムラクモ級戦艦とオロチ級戦艦合わせて百隻近く

 

 敵も同等数を展開している

 

 機動部隊が発進したのをきっかけに二百隻もの壮絶な撃ち合いが始まる 


「高エネルギー接近!」

 

「シールド展開!撃ち返せ!」

 

 敵のプラズマ砲がシールドを直撃すると、閃光と衝撃が襲う

 

 そして前衛の部隊には敵の機動部隊が襲いかかる

 

「機動部隊接近!」

 

「対空砲火、ミサイル装填!近付けるな!」

 

 先陣を切って突撃してくる敵機を、ミサイルと機銃で迎撃する

 

 機銃を回避しそこなった敵機の右足を吹き飛ばし、バランスを崩したところにミサイルが直撃し爆散した

 

 残りの部隊が撃沈を狙うが、味方の部隊がそれを阻止する

 

 戦闘は開戦当初と比べると大きな進展もないまま、硬着状態が続いている

 

 

 

 

 その頃シュウヘイとクロウリィを乗せた月光は一度目のワープを抜け、木星圏宇宙基地に寄港していた

 

「このままじゃ運動不足になっちまう」

 

「寝てただけでしょ」

 

 二人は宇宙基地に到着すると基地司令官に呼び出され、司令室に向かっていた

 

 司令室の前まで来るとドア横のインターフォンを押す

 

「シュウヘイ・サカキ少尉、クロウリィ・ラウ少尉です お呼びでしょうか?」

 

 するとすぐに返事が返ってきた

 

「来たか 入ってくれ」 


「話ってなんすか?」

 

 クロウリィが面倒臭そうに言う

 

「君たち二人には月光の補給中に、うちの兵を訓練してほしい」

 

「訓練って、それは何も僕達じゃなくても……」

 

「せっかく君たちが来ているんだ 兵達たっての願いを聞いてくれないか」

 

 その後結局司令官に押され、二人は訓練を引き受けることになった

 

「……予定通り訓練の相手をさせました 後はうちの兵が……はい、それでは」

 

 

 

 その後二人は訓練の相手をするため、ゼロで宇宙へ出た

 

「さっそく始めるよう、どっからでもどうぞ」

 

「お願いします」

 

 相手は同じゼロ四機

 

 今回もペイント弾を使い、胴体に命中したら戦闘不能とする

 

「おいおい、そんなんじゃ当たんねぇぞ」

 

 クロウリィは相手の攻撃をかいくぐり間合いを詰め、あっと言う間に命中させた

 

「はい、次」

 

 シュウヘイも難なく一機を戦闘不能にしていた 


「こんなんで訓練になるのか?」

 

 すると残り二機のゼロが、突然訓練では使わないはずのEソードを手にした

 

「おい、何してんだ?」

 

「クロウ!危ない!」

 

「なっ!」

 

 振り向いた視線の横をペイント弾ではない一筋の光が走り、ゼロのライフルに命中した

 

 とっさにライフルを離し爆発から逃れる

 

 撃ったのは戦闘不能になっているはずの二機だった


「なんのつもりだ!?おい!」


 クロウリィの呼びかけにも応答はなく、構えた武器を下ろす気配はない


「クロウ、この人たち新米じゃないよ」


 クロウリィのゼロが振り向いた瞬間に、ライフルを撃ち落とすなど新米のパイロットに出来るはずがないとシュウヘイは考えた


「どうなってんだよ?」


「わかんないけど、僕達を撃墜しようとしてるのは確かだよ」


「いい度胸だ!俺たちを落とそうってんなら容赦はしないぜ!」







 その頃宇宙基地の中でも異変が起こり始めていた


「あ〜……交代まだかぁ」


 基地のCICでは交代の時間が迫っており、早く交代したい今の担当者が首を長くして待っていた


「もうすぐ来るだろ」

 

 するとCICルームの扉が開いた


「ほら、来たぞ」


「やっと休めるかぁ、とりあえず寝たいよ」


 だが交代で来たはずの兵士達はいっこうに席につこうとしない


「なんだ?」


 すると一人が口を開いた


「安心しろ、寝かせてやるよ……永遠にな」


 突然その男が銃を取り出した


 銃口を座っている兵士達に向けると、ためらう事無く引き金を引いた


「CIC制圧完了」

 

 絶命し床に倒れている兵士達を見下ろしながら、男は通信機でどこかに連絡をする


 そして監視カメラの映像には、同じように武器を持った銀河連邦の兵士が廊下を走っていく姿が映っていた








 陰謀の影が静かに基地に広がり始める中、月光の休憩室にはデータの整理を終えたジェシカが、コーヒー片手に一息ついていた


「ふう……」


 長時間パソコンに向かっていた為、目の疲れと肩こりがひどい


 片手で自分の肩を揉みながら首を回す


「あの二人、呼び出されてたけど大丈夫かな」


 シュウヘイ、クロウリィ、ジェシカの三人は三ヶ月前まで、ドーガの最前線で同じ部隊に所属していたが、戦闘が膠着状態に入りその状況打開のため、新型機のテストパイロットとそのサポート要員として三人は地球に行っていたのだ


 そんな事を考えていた矢先、突然警報音が鳴り響き、驚いたジェシカは持っていたコップを床に落としてしまう


「な、なに!?」


 慌てているところに同僚の女性スタッフが走ってきた


「ジェシカ!」




 

「レイン!」

 

 彼女はジェシカの軍学校時代からの友人で《レイン・ウェインス》

 

 二人は月光のブリッジ要員だ

 

「何があったの!?」

 

「よくわかんないけど、基地のCICと連絡が取れないの」

 

「じゃあとにかくブリッジに戻ろう」

 

 

 

 

 

 CICを制圧した犯人グループは戦艦ドックへの通路を残し、他の全てのハッチをロックした

 

 これによって基地内の兵はそのほとんどが部屋に閉じ込められ、それを逃れた兵はドックの二区画手前で防衛線を敷いた 

「奴らの狙いはおそらく月光と新型二機だ!発進準備が整うまで時間をかせぐ!」

 

 その時前方の壁の影から銃だけ出して撃ってきた

 

「来たぞ!」

 

 倒した机の影や通路の影から撃っては隠れ、撃っては隠れと繰り返す

 

 こうして時間を稼ぎながら、ドックでは月光の発進準備が急ピッチで進んでいる


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