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星戦戦記  作者: 久保 徹
2/8

EP2nd 宇宙へ

 

 オーストラリア、銀河連邦軍演習場

 

「エネルギーフィールド展開完了」

 

「流星、明王、出ます」

 

 地面のハッチが開き、二機の新型機が姿を現した

 

 上空には六角形のシールドがいくつも繋がり、大きなドーム状のフィールドを形成している

 

 このドーム内が最終テストの戦闘区域になる

 

「両機、システム異常なし」

 

「準備整いました」

 

「敵を配置しろ」

 

 二人の前に今回の敵役として、銀河連邦軍量産機ゼロが三機配置された

 

「ゼロか、懐かしいな」

 

「こいつの開発が始まった時以来だな」

 

「二人とも、始めるぞ」

 

 シュウヘイが司令官に返事をして最終テストが始まった

 

「クロウ、久しぶりにいつも通りいける?」

 

「当たりめぇだ」

 

 それを聞いて少し嬉しそうに笑うと、流星を操りゼロに向かって行った 

「行くぜ!」

 

 クロウリィも、大型スラスターで低空を滑るように飛ぶ流星を追い掛けながら、明王に装備されている武器の中から一つを選んだ

 

「へぇ、凄い品揃えだ まずはこいつだ」

 

 明王の背部には二連装レール砲が装備されている

 

 普段は格納されているそれを起こし、肩に固定、照準を合わせる

 

「シュウヘイ!当たんじゃねぇぞ!」

 

 両肩の砲口から黄色い閃光が走る

 

 レール砲はゼロ部隊の少し前方に着弾、砂埃がもうもうと舞い上がる

 

「くそっ!前が見えない!」

 

「上だ!」

 

 ゼロのコクピット内に警報音が鳴り響く

 

 たが気付いた時には機体の胸部にペイント弾が直撃していた

 

 残るは一機

 

「このっ……!」

 

 流星が着地したタイミングに合わせてライフルで狙うが、その前に連続の衝撃に襲われた

 

 これで三機すべて、シルバーの機体に赤いペイントがいくつも付いた

 

 実弾ならば撃墜は確実だろう

 

「これで終わりか?準備運動にもなんねぇぞ」

 

 砂埃が晴れると、その向こうにはライフルを構える明王の姿

 

「すまんが今日はここまでだ 帰って休んでくれ」

 

「ちぇっ、終わりかよ」

 

 クロウリィは文句を言いながらも、シュウヘイに急かされて帰路に着いた

 

 

 

 

 

 オーストラリア基地CICルーム―――

 

 CICスタッフのジェシカ・シモンズは、昼間のテスト結果の解析の為パソコンに向かっている 

「ジェシカ、どうだい?」

 

 CICルームの室長の男が話しかけてきた

 

「凄いです、初めて乗ったとは思えません」

 

 ジェシカはパソコンを操作しながら答える

 

「あの二人には三ヵ月ではブランクにもならないか」

 

「これで二人は前線に戻るんですね」

 

「あぁ 均衡が崩れるだろう」

 

 ジェシカが言った前線とは、地球から遥か遠く三百万光年離れたドーガ星圏一帯のこと

 

 銀河連邦からの独立を唱える軍事惑星国家ザウザーと交戦状態になっているのだ

 

 現在も両軍の艦隊が激しい戦闘を続けている

 

「これでようやく前線に戻れるな」

 

「僕はなるべくなら行きたくないけどね」

 

「まさかおれ達がいなくなった途端負けてないだろうな?」

 

 彼らは翌日にも前線に戻らなければならない

 

 殺人的な強行日程でテストをこなした

 

 そして翌日、流星、明王と同時に開発された新造戦艦《月光》で、宇宙に上がる

 

 銀河連邦軍オーストラリア宇宙港―――

 

 基地から北にシャトルで三十分、荒野が広がる広大な場所に宇宙への出口はある

 

 施設から東西に大きく飛び出した空へ向かって伸びるレールのような物がある

 

 戦艦などを宇宙に上げる為のマスドライバーだ 

 そのマスドライバーのレールの根元に一隻の戦艦がスタートの時を待っている

 

 銀河連邦軍新造戦艦《月光》―――

 

 先にいくほど細くなっていく形状の船体の周りを羽状のシールド発生機が回転する

 

 プラズマ・キャノン砲、レール・キャノン、高機動ミサイルなどを装備し陽電子砲までも装備する

 

 高機動戦闘艦として建造された為、他の戦艦よりも速力に優れる

 

「発進準備完了しました」

 

「よし、発進!」

 

 レールから艦体が少し浮き、加速用のロケットブースターに火がついた 

 摩擦が限りなく0に近い為ぐんぐん加速し、あっと言う間に空の彼方へ消えていく

 

 揺れが収まりしばらくすると、急に体が軽くなった

 

 窓から外を見れば、青い地球と漆黒の宇宙のコントラスト

 

 いつ見ても地球が美しい惑星であると実感する瞬間だ

 

「地球の引力圏を突破しました」

 

「ブースターを切り離し、ワープドライブ用意」

 

「ブースター切り離し、ワープドライブユニット異常なし」

 

 月光居住区二階――

 

 二人部屋がいくつも並びシュウヘイとクロウリィの部屋もこの階にある 

 部屋の中はベッドとデスクがあるだけの簡素な作りだ

 

 クロウリィはベッドに寝転がり、シュウヘイはデスクでパソコンを開く 

 銀河連邦軍情報局のデータベースにアクセスして、ドーガ星圏での最新の戦闘映像を見てみる

 

「クロウ、これ見て」

 

「なんだ?」

 

 クロウリィは上のベッドに頭をぶつけないよう低くして起き上がり、シュウヘイの横からパソコンを覗く

 

 パソコンの画面いっぱいに映像が映し出されている

 

「おぉ、やってるな」

 

「そんな呑気に言ってないでよ 映像を見るかぎり、戦艦の主砲の威力、シールド強度、機動兵器の性能、ほとんど互角だよ」

 

「あとは使い手しだいってことか」

 

 映像からは敵戦艦のビーム砲がシールドに当たって弾かれる様子、撃墜された機体が爆発する様子、飛来するミサイルを撃ち落とす対空射撃などリアルな戦場が見てとれる

 

『本艦はこれよりワープ航法に入る』

 

 その時、ワープを告げる艦内放送が流れた

 

 この後月光はワープを繰り返しながら、最前線の一歩手前、ルミナス星圏宇宙基地へ向かう

 

 

 

 


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