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星戦戦記  作者: 久保 徹
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EP1st 出会い

 

 飛躍的な科学技術の発展による宇宙開発は、人類の生活圏をも飛躍的に拡大させ、今では銀河の七割にまでなった

 

 今から百二十年前、生活圏が銀河の五割となった時、宇宙暦にして五百二十二年、暦を宇宙暦から銀河暦に変更し同年には《銀河連邦》を発足

 

 惑星を一つの国家とし連邦に加盟する国家は五十を超えた

 

 人々は惑星間シャトルに乗って様々な星へ出掛けていく

 

 

 

「シュウヘイ!急げよ、ほら!」

 

「わかってるよ!すぐ行くってば!」

 

 ここは銀河連邦軍アジア方面基地

 

 今、基地内の空港へ向かう廊下を、銀河連邦の軍服を着た青年二人が走っている

 

「お前が昨日さっさと寝ないからだぞ!」

 

 前を走る黒髪の青年、《クロウリィ・ラウ》十九才、多少口の悪い推理小説好きの男

 

「だって新型のテストだよ!?OSのチェックはしとかないと!」

 

 少し遅れて後ろを走る茶髪の青年は《シュウヘイ・サカキ》同じく十九才、趣味のバトルシミュレータは格闘・射撃ともにかなりの腕前だ

 

 廊下の突き当たり、転送ルームに駆け込み、空港行きの転送機に入る

 

 足元から光が渦巻きながら体を包んでいく

 

 次に転送機から出るとそこはもう空港ロビー、窓の外には発進準備を終えている軍用シャトルが見える

 

「急げ!」

 

 二人はシャトルに向かって猛然と走る

 

 係員にパスを見せるがスピードを緩めないで走り抜けたため、確認など出来るはずもない

 

「よし!間に合った!」

 

 なんとか滑り込みセーフでシャトルに間に合った

 

 そして背中に視線をビシビシ感じながら席に座った

 

(遅れてすいません……)

 

 そしてシャトルはゆっきり発射位置につき、カウント0でブースターに点火、凄まじい加速でシートに張り付けられながら飛び立った

 

 

 

 

 飛び立ってしばらくするとみんな思い思いに到着までの時間を過ごしていた

 

 クロウリィは荷物の中から一冊の本を取り出した

 

「何?また新しいの?」

 

 それを見てシュウヘイが横から覗きこむ

 

 タイトルは《雪国猟奇殺人事件〜刻まれた足跡〜》というもの

 

 書籍の完全電子化がされて久しい今日、紙の本は非常に珍しいものだ

 

 一方シュウヘイはノート型端末で新型機のデータに目を通す

 

 画面には人型機動兵器の新型の設計図や、武装のデータが並ぶ

 

 史上初の人型兵器が生まれてから数百年、様々な進化を遂げ大型化、重武装化から、最近では小型化が進んでいる

 

 今回二人がテストする新型機は、既存の中では最も小型化されている

 

「どうなんだ?新型」

 

 クロウリィが小説を読みながら聞いてきた

 

「乗ってみないとわかんないけど、聞いてたよりだいぶいいと思うよ」

 

「そいつぁ楽しみだ」

 

 二人を乗せたシャトルは順調に飛行し、銀河連邦軍オーストラリア方面基地に到着した

 

 

 

 

 基地に着いた二人は、まず基地司令官に挨拶を済ませると、さっそく格納庫へ向かった

 

「あのー、すいません」

 

 格納庫に入ると近くにいた整備士の男に声をかけた

 

「あんたら誰だ?」

 

「ここでテストする新型機に乗る者です」

 

 シュウヘイが認識証を見せると、男はそれに目をやり次に胸の官証を見た

 

「し、失礼しました!機体を見に来られたのですか?」

 

「はい」

 

「本当に行くのかぁ?おれはもう疲れちまったよ」

 

「まあまあ」

 

 ごねるクロウリィの背中を押して案内されるまま格納庫を進む

 

 格納庫の一番奥にひときわ頑丈そうなハッチがある

 

 その横にある昇降機で上に登り細い通路を歩いてハッチの前に来た

 

「それじゃ開けますよ」

 

 整備士の男がパネルを操作するとゆっくり開きだす――運命の扉、伝説の扉が

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナンバー00《流星》ナンバー01《明王》」

 

 整備士の男が言った

 

「こいつらの名前です」

 

 目の前に現れた機体はライトの光を反射し、眩しく輝いている

 

 白を基調として背中に四基のスラスターを装備した高機動仕様の《流星》

 

 黒を基調として高出力ジェネレーター搭載の砲撃支援仕様《明王》

 

 だるそうに手摺りに寄り掛かっていたクロウリィも、体を起こし新たな相棒を見上げている

 

「これが……新型かよ」

 

「すごい……」

 

 見上げながらやっとの思いで言葉をもらす二人 

 整備士の男は誇らしげに話を続ける

 

「今日中に基本調整は終わりますから、明日自分に合うように最終調整をしてください もちろんおれ達も手伝います」

 

「シュウヘイ、こりゃあ……」

 

「うん、明日までなんて……」

 

 

「待ってらんねぇよな」

 

 そう言うと二人はリフトを使いコクピットに乗り込んだ

 

「ちょっと!少尉!」

 

「OSぐらいはいじらせろ!」

 

「邪魔はしませんから!」

 

 二人は、新しいおもちゃを買ってもらった子供のように、目を輝かせている

 

 こうなると二人を止めることは出来ない

 

 彼らは自分に合わないOSはことごとく書き替えてきたのだ

 

 コクピットでOSの書き替えを始めた二人、作業は深夜まで続いた

 

 そして翌日、模擬戦闘での最終テストを迎える 

 

 


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