記憶
現実はどこまで突き詰めても非情なもので、むしろ突き詰めるからこそ非情の部分がより濃く浮き出てくるのだろう。
子どものじゃれあいが喧嘩となり、大人の喧嘩は政治的論争へと発展する。そして最終的に行きつく先は、いつの時代も戦争だった。
戦争など、連戦連勝を繰り返したところで得ることができるものは、せいぜい広大な土地の支配権と、一時の栄誉のみ。得たものを数えるより、失うものを数えたほうが人は成長するだろうに。人はそれになかなかどうして気づけない。
いつしか私は、ファンタジーに憧れた。
自然に囲まれ、人々が笑い合い、友人や恋人や家族と和やかに、確かに幸せな日常を渇望した。
私にとっての、この世界の人々にとってのファンタジーは、こういうものだったのだ。
しかし人間とは愚かなもので、大人とは欲望に忠実な生き物であることを自分自身が人間の大人であるというのに、私は失念していたのだった。
緑豊かで木々と花々が揺れ動き、自然という言葉はこの場所のために生まれたのだと錯覚するほどの土地があった。
――その場所は、今では焦土と化し、あたり一面平行線なただの焼け野原となっている。
子どもたちの笑い声がこだまし、動物と共生し助け合い、日々を懸命に生きている、のどかで息をするのが楽しいような村があった。
――その場所は、姿形も思い出せないほどに変容し、今となっては誰一人の気配も感じ取ることはできない。
いつしか助け合いの場は戦場となり、話し合いの場は墓場となった。
私の数十年の努力とその成果は、粉々となって消えてしまった。
おそらく今後数十年は、この現状が続くのだろう。
これが私のエンディング。追い求めた夢見る日々の終着点は、見るも無残な現実を見せつけられただけだった。
それでも。それでもあの身が焦がれる程一人で追い続けた幻想は、簡単に捨てられるものではなかった。
簡単に捨ててはいけない、最後の恥でもあった。
だから私は『彼』に託そうと思った。
間違い続けた大人のすべての後始末を、一人の少年に託すことに後悔はなかった。
なぜならきっと、彼ならやり遂げることができると心の底から思えているからだろう。
どうかこの世界の運命を、君の手で捻じ曲げてくれ。
ディアマイ――。
(ほぼ)初投稿です。
週1投稿したい気持ちですが忙しいので不定期です。
やるからには逃げません(逃げません)。
よろしくお願いします。




