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合い言葉は、うみのいきもの

作者: 花萌ゆる
掲載日:2025/12/02

俺がツインテールを拗らせたのは、幼馴染の沙奈のせいなのは、間違いない。

アイツとは家が近くだったけど、同じクラスになったのは、小6の時だった。


ほとんど休み時間は机に向かってイラストを描いていたっけ。

何を描いているのか気になって手元を覗き込もうとしたら、

「やめてよー」と言いながら描き途中のイラストを腕で覆って隠された。

「ちぇっ、何、描いてるか知りたかったのにな」

「いいけど、完成したら、ちゃんと明人に見せるから、少し待ってて!」

「おう」


もうすぐ、給食の時間だというのに、ずっと鉛筆で描き続けていた。

「なぁ、そろそろ、もらいに行かないとさ……」

「うん、分かってるって、もう少しだから…」

給食当番の配膳を持たせるわけにいかないし、沙奈をおいて先に列に並んだ。

デザートの七夕ゼリーを水色のトレーに乗せ、席に戻ろうと振り返る、列の一番後ろに並んでいる沙奈と目が合った。

何やら満足げな表情をしていた。

もしや、あの短時間で仕上げたのか?

アイツは、机にトレーを置き、伏せていた紙を机の下に大事そうに仕舞った。

「ごちそうさまでした!」


給食の後の5時間目ってぜったい眠くなるんだよな……

ふわぁとあくびをして、ふと、右斜め前の席に視線をやる。

机の中にあるイラストが早く見たくて仕方がない。

先生が円柱の体積の説明をしている、

結局、国語の授業も上の空だった。


キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、先生に挨拶をして、一目散に沙奈がいる右斜め前の席に移動する。

「なぁ、もしかしてイラスト完成してる?」

「う、うん、できたけど……」

もじもじしてなかなか見せてくれない

「もったいつけるなよ〜」

「だって、明人が好きな感じじゃないかもよ?」

「そんなことないって沙奈が描く絵ならぜったい気に入ると思う。」

「そう、じゃあ……」

おずおずと紙を俺に差し出した。

それは、ペンギンにイルカたくさんのうみのいきものだった。

「かっ、かわいい!仲良しで、いいな!!」

「ほんとう〜?時間あったら色もぬりたかったんだけどね」

「へー鉛筆でもこんなに綺麗に描けるんだな」

「なに、それ?そんなに褒めるなんて明人らしくないよ?」

「俺らしいってなんだよ!でも、色塗ったやつも見てみたい。」

「また今度ね、今日は、もうおしまい!」

沙奈は照れたように笑った。


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