合い言葉は、うみのいきもの
俺がツインテールを拗らせたのは、幼馴染の沙奈のせいなのは、間違いない。
アイツとは家が近くだったけど、同じクラスになったのは、小6の時だった。
ほとんど休み時間は机に向かってイラストを描いていたっけ。
何を描いているのか気になって手元を覗き込もうとしたら、
「やめてよー」と言いながら描き途中のイラストを腕で覆って隠された。
「ちぇっ、何、描いてるか知りたかったのにな」
「いいけど、完成したら、ちゃんと明人に見せるから、少し待ってて!」
「おう」
もうすぐ、給食の時間だというのに、ずっと鉛筆で描き続けていた。
「なぁ、そろそろ、もらいに行かないとさ……」
「うん、分かってるって、もう少しだから…」
給食当番の配膳を持たせるわけにいかないし、沙奈をおいて先に列に並んだ。
デザートの七夕ゼリーを水色のトレーに乗せ、席に戻ろうと振り返る、列の一番後ろに並んでいる沙奈と目が合った。
何やら満足げな表情をしていた。
もしや、あの短時間で仕上げたのか?
アイツは、机にトレーを置き、伏せていた紙を机の下に大事そうに仕舞った。
「ごちそうさまでした!」
給食の後の5時間目ってぜったい眠くなるんだよな……
ふわぁとあくびをして、ふと、右斜め前の席に視線をやる。
机の中にあるイラストが早く見たくて仕方がない。
先生が円柱の体積の説明をしている、
結局、国語の授業も上の空だった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、先生に挨拶をして、一目散に沙奈がいる右斜め前の席に移動する。
「なぁ、もしかしてイラスト完成してる?」
「う、うん、できたけど……」
もじもじしてなかなか見せてくれない
「もったいつけるなよ〜」
「だって、明人が好きな感じじゃないかもよ?」
「そんなことないって沙奈が描く絵ならぜったい気に入ると思う。」
「そう、じゃあ……」
おずおずと紙を俺に差し出した。
それは、ペンギンにイルカたくさんのうみのいきものだった。
「かっ、かわいい!仲良しで、いいな!!」
「ほんとう〜?時間あったら色もぬりたかったんだけどね」
「へー鉛筆でもこんなに綺麗に描けるんだな」
「なに、それ?そんなに褒めるなんて明人らしくないよ?」
「俺らしいってなんだよ!でも、色塗ったやつも見てみたい。」
「また今度ね、今日は、もうおしまい!」
沙奈は照れたように笑った。




