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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第2章 幻想闘牌浪漫譚
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第81話 第2回戦開幕

 ズークが挑むは裏マージャン大会の2回戦。今回もカーロ共和国の首都アディネラードの地下深くでは、代打ちを任された雀士達が戦いを繰り広げている。

 わざわざ試合毎に日を分けて開催しているのは理由が色々とある。先ずは裏組織同士の会合や取引が行われる事。

 大陸中から裏社会で、様々な稼業を展開している者達が集まる機会だ。これをチャンスと新しい取引先を探すのも良い。

 敵対している組織を相手に、探りや牽制を入れるのも有りだ。時には複数のグループが集まって、新たな組織を作り出す事だって過去にはあった。


 言ってしまえば、裏社会の舞踏会とでも言うべき場でもある。代打ちを出場させずに観戦と会合だけを目的に来る者まで居るぐらいだ。

 そんな様々な思惑が蠢く第2回戦は、ズークが起家(ちーちゃ)でスタートした。2回戦ともなれば代打ち達のレベルはグンと上がっている。

 イカサマも含めて、様々な攻防が行われる事になるのは間違いない。開幕の東1局、ズークの配牌は悪くない。

 三向聴(さんしゃんてん)と必要な有効牌は少ないが、問題はその内容にあった。理想的な最高の手は純チャン三色(さんしょく)となり、和了(あが)れば大きいが手が重い。

 どうしてもチャンタは手がバレ易く、鳴きで狙うと気付かれる。和了りに必要なのは七筒(ちーぴん)八索(ぱっそう)、そして一萬(いーわん)九萬(ちゅーわん)だ。


 問題は捨てるべき不要な牌で、(はく)赤五筒(あかうーぴん)(とん)が手牌に含まれている。

 更に第1ツモは不要牌の(ぺー)だ。この手から赤五筒を切った上で、チャンタ臭の漂う端の牌を含んだ鳴きは先ず怪しまれる。

 白と東は初手で切っても不思議ではないが、誰かの手が進んでしまう場合がある。特に白や東のポンにより、サクサク手が進み流れを掴むという展開はわりと良くある話だ。

 鳴いてもそれなりの点数が狙える配牌ながら、重めの手であった事がズークを悩ませる。


 マージャンにおいて流れというものは、コントロールの難しい魔物だ。時に利益を生み、時に損失を生む。

 敵であり味方でもあり、扱いが難しい存在である。掴んだ者が場を制し、掴めなかった者が敗者となるのはマージャンの常。

 とりあえず無難に北をツモ切りで、一旦はお茶を濁しに行くズーク。しかしここで、不運に見舞われてしまう。


「ポン」


 まさかの北家(ぺーちゃ)による北の一鳴(いちな)きである。今回の様に1枚目から速攻で鳴きを入れる事を一鳴きと呼ぶのはマージャン特有の言い回しだ。

 地域によっては呼び方が違う場合もある。1打目から発生するのは確率としてそう多くないので仕方ないが、出だしとしてはあまり良くない。

 北家が強気の一鳴きをして来たと言う事は、東か白等を2枚持っている可能性がある。持っていない可能性もあるが、ズークとしては少々面倒な状況だ。

 流石は2回戦というだけあり、運を引き寄せる第六感的な感覚の優れた者が多いという事だろう。


 ここからは小手先の技術だけで勝ち上がるのは難しい。そんな中で再びツモ番がズークに回って来る。

 早くも2回目のツモ牌を手に取り、引いて来たのは九萬だ。これで手配の九萬が2枚となり雀頭(じゃんとう)が出来上がった。

 後は七筒と八索のどちらかと一萬をどうにかすれば、取り敢えず純チャンの手役が成立する。

 欲を言えば789の三色同順(さんしょくどうじゅん)も狙いたい所だが、時間を書けると北家に和了られてしまう可能性は低くない。


「ちょっと失礼」


 断りを入れてからズークは若干の長考を挟み、これからの方針と捨て牌について思考を巡らせる。

 10秒程の思考の後に、白を切る事に決めた。手役を伸ばす方向は一旦放棄し、先ずは和了る事を優先に考える。

 どれだけ手役が高くとも、和了れなければ0点でしかない。純チャンでの和了りを目指して、突き進むズーク。

 北家は白に反応を示す事はなく、二副露(つーふーろ)には至らなかった。そのままズークの手が進む事はなく4巡目に突入する。

 ここで八索を引き当て一向聴(いーしゃんてん)となった。出来れば一萬の方を引いて純チャンを確定役にしたい所だが、七筒を待つ辺張(ぺんちゃん)待ちになるのもやや辛い所。

 両面(りゃんめん)待ちで確定役にはならない所がチャンタの辛い所である。ともあれ4巡目には東を切り、残す不要牌は赤五筒となった。


「ポン」


 ここで東を鳴いて来たのはまたもや北家。これで北家は二副露となり、場風牌と自風牌の2役が確定している状態だ。

 もしも混一色(ほんいつ)でも狙っているのなら、それなりの点数になる可能性は十分にある。

 現状の捨て牌を見る限りでは、索子(そーず)が1枚も切られていない状態だ。そのまま5巡目が終わり6巡目、ここで引いて来たのは八索だった。

 これで一萬が河に出るか引けば純チャンとなるが、もし四萬(すーわん)を引いてしまえばただの平和(ぴんふ)。ならばとここでズークは千点棒に手を伸ばす。


「リーチ」


 6巡目で赤五筒を切ってのリーチは、それほど悪い展開ではない。どちらかと言えば良い滑り出しだろう。

 強気で二副露を晒した北家が少し危険ではあるものの、ズークの河から狙いを見抜くのはかなり難しい。

 これまでに切った牌は殆どが字牌(じはい)で、数牌(しぇーぱい)は今切った赤五筒のみ。

 南家にチーをされて一発は消えてしまったが、ズークの欲しい牌が中々に判明し辛い状況が続く。そうして回って来た10巡目、遂に北家が一萬を切ってしまう。


「ロンで」


 鳴きで上手く回る事もあれば、逆に他家を有利にしてしまう事もある。それがマージャンという競技の、逃れられない運命である。

 こうして2回戦も好調なスタートを切る事が出来たズークであった。

凄い適当なノリで麻雀ネタを入れてみたものの、実際に場面として書くのは結構難しいなと。

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