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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第2章 幻想闘牌浪漫譚
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第67話 様々な種族が集まる国

 カーロ共和国には、様々な国から傭兵が集まる。その関係上、他国よりも豊富な人種が集まりがちだ。

 魔法が得意なエルフ族、その派生であるダークエルフ族。低身長だが筋力に優れるドワーフ族や、強靭な鱗を持つリザードマン族。

 多種多様な者達が傭兵として仕事をしていた。それもあってマネー大陸の中で、カーロ共和国は最も種族による差別が少ない国だった。

 国によっては忌み嫌われる獣人族や魔族など、負のイメージが強い種族ですらも受け入れている。

 強き者こそ正義であるとされている、この国に相応しい考え方だ。そんなカーロ共和国の首都アディネラードの街並みを、ズークとリーシュは堪能していた。


「相変わらず人種が豊富な国だな」


「そこが良い所なのよ」


「まあそれについては同意する」


 リーシュが言っているのは人種差別がない国の良さで、様々な種族の女性と関係を持ちたいズークとは考えが別物だ。

 どんな種族が相手であろうとも、相手が女性というだけでズークにとっては恋愛対象となり得る。

 鱗に覆われた肉体を持つリザードマンでも、浅黒い肌と翼を持つ魔族であってもズークは異性として扱う。


 実際ズークはリザードマンや魔族等の他種族の女性と関係を持ち、ハーレムに迎え入れて子供を作っている。

 ズークが属しているヒューマン族としては、かなり珍しい価値観だ。獣人族やエルフ族、魔族やリザードマン族との間で恋愛は起き辛い。

 外見が色々と違うので、魅力を見出すのはそう簡単ではない。誰が何を見て魅力的だと考えるかは、受け取る人によって様々だろう。


「猫系の獣人族って可愛いわよね」


「俺は犬系の方が好きだけどな」


「あ~~犬系も良いよね」


 獣人族とエルフ族、ダークエルフ族は比較的にヒューマン族からの人気が高い。細部に違いはあれども、容姿が似通っているのが原因だろうか。

 リザードマン族やドワーフ族と比べたら、容姿の面で色々と違っている。例えばリザードマン族は強靭な鱗を持つ代償に、魔法への適正がかなり低い。

 獣人族も似た傾向を持っているものの、リザードマン族よりは魔法が使える。ではヒューマン族はどうかと言うと、魔法の才能と肉体性能が丁度中間だった。


 魔法特化ではなく、肉体特化型でもない種族。だからこそ中途半端だと言われがちなヒューマン族だが、汎用性の高さは随一だ。

 何かに特化した種族には、その分大きな欠点を有している。だが器用貧乏で有名なヒューマン族には、大きな弱点はない。

 他の種族よりも強くなれたかどうかは兎も角として、定期的に議論のネタになり易い話だ。


「ドワーフ族ぐらい力があったらなって、私はたまに思っちゃうのよね」


「それはもう人外の何かじゃない?」


「ズーク、何か言った?」


 今の時点で十分な程に強いだろうと、ツッコミを入れたズーク。しかしそれは女性に向かって、気安く言って良い内容ではない。

 フィジカルに全振りの脳筋扱いは、どう考えても失礼だろう。特に女性の美意識や年齢に関して、男性は下手な言及はしない方が良いとズークは改めて学んだ。

 冒険者をやっている女性達にとって、気にすべき点は色々とある。泊りがけの野宿前提だと、どうしても水浴びすら出来ないタイミングが出てしまう。


 特に一攫千金が狙えるダンジョン攻略では、その可能性が跳ね上がる。確かにお金は大切で、日々の稼ぎは重要だ。

 けれどもその為に、女性としての尊厳は捨てられない。不潔だと思われたくないので、生活魔法のクリーンは習得必須項目だ。

 その上位互換である聖属性魔法、クリンリネスを使用出来る為に聖属性適正は女性からの人気が高い。種族に関わらず、聖属性適正を求めている女性はとても多い。


「そんな事よりさ、闘技大会に向けて鍛錬をしないか?」


「あら珍しいわね。私の鍛錬に付き合ってくれるの?」


「ああ、任せろ。リーシュの優勝に向けて頑張ろう!」


 どうにか誤魔化す事に成功したズークは、裏レートマージャン大会が始まるまでリーシュの鍛錬に付き合った。

 こうしていれば、バレる事はないだろうと考えて。ズークとしてはマージャン大会に向けて、沢山マージャンを打っておきたかった。

 しかし下手に動いてリーシュに勘付かれてしまえば、全てがバレて計画が水泡に帰す。その辺りは慎重に慎重を重ねたズークは、上手く立ち回る事が出来た。


 何だかんだで闘技大会に集中したいリーシュの気持ちを鑑みれば、少々監視の目が緩んでしまってもおかしくはない。

 その隙を突いてズークは徹底して秘密を守り続けた。もしも裏レートマージャン大会で大金を得られれば、ここ最近我慢していた豪遊が出来る。

 ズークの動機はかなり不純だったけれど、敵対している相手が極悪人なのでそれなりの大義名分が生まれる。


「ズークさ、賭博に参加して私の優勝に賭けたとかじゃないよね?」


「おいおいそんな賭け、俺がどうやって参加するよ?」


「…………でも少し前に、賭博で資金を得ていたじゃない」


 闘技大会に関する賭博には一切関与していないと、頑なに主張して追求を乗り切るズーク。

 これまでで一番大きな規模の賭博に参加するのだが、嘘は言っていないのでセーフの理論で押し切るのだった。


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