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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第1章 (借金が)10億の男
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第41話 延長のお願い

評価やブクマ等、ありがとうございます!

もしかしてテンプレ風味の話は、もう少し分かり易いタイトルにした方が良いのでしょうかね?

最近は長文説明タイトルがそこまで流行っているイメージが無いので、わざと簡潔なタイトルにしたのですよね。


変えるとしたら『この男、人類最強格だけどクズ~女癖と金遣いが荒すぎてパーティを追放されたアホでカスなSランク魔法剣士の借金返済道~』とかでしょうかね?

 ズークとリーシュが王立魔法学園で代行を行い初めて1ヶ月近く経過している。

 そろそろ契約期間の終了が見えて来た所で、学園長のメリーナが2人を呼び出した。

 2人が入室するなり、申し訳なさそうにメリーナが頭を下げる。困惑する2人を前に、メリーナから事情が説明された。

 今日も腰まである美しい銀髪が輝いているが、普段よりも陰りがある様に見えるのは疲労を感じさせるからか。

 いつも優しそうな表情は申し訳なさそうに眉が八の字になっていた。その形の良い唇からは、現在学園が置かれている現状について語られる。


「本当に申し訳ないのですが、実は教師の補充が間に合っていないのです」


「あら? じゃあ延長って事かしら?」


「俺は構わないよ、もう1ヶ月ぐらい」


 意外にもズークが好意的に応じるのは、やはりメリーナが居るからだ。この美しき銀髪の美女は、ズークが好む大人の女性だ。

 しかも夫を亡くした未亡人でもあり現在は独身だ。ズークとしては、余計な気遣いをする事なく手を出せる相手だった。

 もちろんメリーナにはデートの誘いを何度も断られていた。メリーナとしては慕ってくれる事は有難いが、10歳も年下なので再婚相手としては微妙だからだ。

 やはり歳の近い相手が望ましいとメリーナは考えていた。そんな事情についてはともかくとして、リーシュも延長を受け入れた事で交渉らしい交渉は発生しない。


「本当にありがとうございます。報酬の方は出来るだけ上乗せしておきますので」


「別に俺は構わないけどなぁ」


「こら! ズークはもっと稼がないとダメでしょ!」


 ここで漢気を見せようとしたズークだったが、当たり前の様にリーシュからお叱りが入る。

 お前は今どういう立場なのかと、改めて指摘されてしまった。つい最近10億ゼニーの借金を作った事を忘れているのかと。

 しかもまだ8億5千万もの借金が、残債として残ったままである。


 この依頼ではただ子供を相手に授業をするだけだが、リーシュが1ヶ月600万でズークが800万の報酬が支払われる。

 特に危険もなく衣食住の保証までされた状態である事を思えば、この依頼はかなりの好条件と言えるだろう。

 もちろんそれだけAランクやSランクの冒険者を、名指しで依頼するからこその金額でもあるのだが。


「お2人のお陰でここ最近の授業は、かなり質が高くなっていて本当に助かっています」


「せっかく教えるなら、ちゃんと教えたいからね」


「俺はメリーナの為なら常に全力だ」


 教育方針にしっかりと2人の性格が出ていた。真面目で優しい女性のリーシュは、生徒達が暴漢やモンスターに教われても、切り抜けられる様に教えている。

 貴族には基本的に護衛がついているが、そうでないタイミングだって無いとは言えない。

 例えば今この学園では、護衛の騎士が同行していない。それは警備が万全だからであって、暴漢がこの国にいないという意味ではない。


 それにライバル貴族を邪魔に思って、誰かが暗殺者を送る事だって有り得る。

 金と権力を巡ったその手の争いは、今の時代になっても変わらず起きて来た。

 都市外を移動中に、モンスターに襲われる可能性だってある。例え貴族であっても、ある程度は強くなっておく意味は大きい。


「リーシュさんの授業は、特に武闘派の子達から人気の様で」


「何人か将来が有望な生徒がいますから。彼らが評価してくれたのでしょうね」


「リーシュが綺麗だからじゃねぇの?」


 なまじそう言う目で常に見ているだけあって、ズークの指摘は鋭い所を突いていた。

 美人なお姉さんが教えてくれるのだから、基本的に男子生徒は喜ぶものだ。

 また王妃様の近衛騎士を目指す女子生徒等からも評判が良い。男子達から熱い視線を受けているリーシュだが、女子との軋轢が起きていない。

 それは綺麗に受け流して全く相手にしていないからだ。知り合いに居るどこかの赤髪のバカで、その手のおべっかには慣れている。

 そんな風に男子達からモテているのに、全く意に返さない姿がまた女子達にウケていた。


「ズークの魔法だって、結構評判良いって聞いたわよ?」


「ええ、私の方でもその様に伺っております」


「そうなの? あんまり評判とか、気にしてないからなぁ」


 この様な残念な男であっても、魔法に関する知識は本物だ。豊富な実戦経験もあり、教本では教えない様なテクニックも知っている。

 いざと言う時は、何よりも自身の命を優先せねばならない貴族の子供達だ。

 彼ら彼女らを相手に、緊急避難的な魔法の使いかたや防御魔法を教えていた。

 特に堅牢さが売りだが、視界が悪くなるのが欠点である土属性。その応用で視界を確保する防御方法は非常に受けが良かった。


 ただ土壁を作るのではなく、複数の石や岩を竜巻の様に周囲に展開する。

 瞬間的な隙間を作る事で程度の視界と防御力を確保する、新しいストーンウォールは斬新だった。

 本来のストーンウォールは、ただ土壁を出すだけの魔法だ。それをそんな風に応用するなんてと、授業を受けた生徒達は驚いていた。

 本当に戦闘関連だけは優秀な男である。如何せん他の要素が、その良い所を全て台無しにしてしまっているだけで。

 そんなズークであったが、更に1ヶ月間の延長が決定するのであった。

■今月の収入予定:800万ゼニー

■現在の借金総額:8億5250万ゼニー


第29話のリーシュ先生の初授業にて、少し展開に変更を入れました。

エリオット君をもう少しだけ書いておきたくなったので、5年生の卒業間近から4年生に変更しています。

そして次回は、エリオット君視点です。

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