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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第1章 (借金が)10億の男
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第37話 王立魔法学園の入学式

 ローン王国王立魔法学園の入学式が大講堂で始まっていた。

 学園長のメリーナによる挨拶からスタートし、新入生に対しての注意事項やこれからの生活について告知される。

 臨時講師であるリーシュとズークは、大講堂の中には居ない。それぞれが担当する試験会場にて準備と最終確認をしている。

 この日は昼までに入学式を終え、昼からは学力と実力のテストが行われる予定だ。

 その結果を持ってクラス分けが決定する流れになっている。学力や実力が違い過ぎる生徒同士が、同じクラスにならない様にする為の措置だ。


「皆さんの成長を楽しみにしています」


「学園長、ありがとうございました。それではこれから皆さんには」


 司会を務める教師がこれからの予定について解説をしていく。先ずは食堂に全員で移動し、昼食を取った後に学力テストへと移行。

 内容は語学力の確認と計算力、そして歴史と社会への理解度を測るものとなっている。

 それから軽い面接を挟んだ後に、魔法と武術の実力テストを行う。魔法は全員必須だが、武術の方は辞退可能だ。

 そちらは近衛騎士を目指す者などが対象であり、戦う気のない令嬢達まで参加する必要はない。

 男子であっても武闘派でない貴族家の出身だと受けない者も多い。ただし護身術としてある程度戦えた方が良いので、貴族令嬢でも鍛えている者も中には居る。


「それでは移動を開始します」


 一部の教師達と最高学年である、新5年生の生徒達が新入生を誘導する。本日は授業が行われていないので、学園内に人は少ない。

 スムーズに移動した新入生達は、立派な大食堂を見て各々リアクションをしていた。

 特に平民出身の新入生から見れば、とんでもなく豪華な食堂だ。飾られた花々はどれも美しく、巨大なシャンデリアがキラキラと輝いている。


 壁面には高価な魔道具の1つ、魔道モニターが3つ並んでいた。こちらのモニターでは国営放送を視聴したり、学園内で行われる武闘大会等を視たりする事が出来る。

 ただし製造方法が特殊で量産が難しい魔道具で、希少性が高く非常に高価な代物だ。

 破損でもさせると賠償額が凄い額になる。そんな恒例の脅し文句が5年生達から語られた。


「さあ皆、好きなメニューを選んで食べてくれ。あんまり遅いとテストに遅れるぞ」


 現在の生徒会長を務めている、公爵家の長男が新入生に声を掛ける。3つあるカウンターに各々並びながら、何を食べようかとメニュー表を見ていた。

 既に家族ぐるみで親交のある貴族達が、グループを形成しつつある。貴族であっても親交があまり無かった者もいるので、全員がそうなる訳では無い。

 平民出身者は平民同士でグループ化するのも毎年の事だ。これからの交流で少しずつグループに変化が生まれていく。

 立場を超えた友情や愛情を育む場合もあれば、最後まで交友関係が狭いままの者も居る。

 こればかりはどうしようもない現実だ。社交が下手な貴族だって世の中には居るもの。


「ねぇ皆様ご存知です? お母様に聞いたのですが、今臨時講師としてズーク様とリーシュ様がいらっしゃるそうですわ」


「まぁ! 本当ですの?」


「ああ、私リーシュお姉様に会っみたいですわ」


 Sランク冒険者として有名なズークだけでなく、リーシュもまた人気のある冒険者だ。

 平民ではるものの、男性に負けない活躍を見せているので女性人気が高い。特に年下の女性達からはお姉様と呼ばれている。

 それは貴族の婦女子達も変わらず、精巧な姿絵などは中々に高価だ。騎士の家系に生まれた女性であれば、リーシュを目標にするのは定番となっていた。

 沢山の女性から尊敬と羨望を集めており、今年は女子生徒達から大歓迎されていた。

 剣術の授業を受けていない生徒達まで、一目見る為に集まるぐらいだ。


「私はズーク様に会いたいですわ。あの綺麗なお顔は芸術品の様」


「国王からの信頼も厚いと聞いておりますわ」


「第一王女のネルシャ様と婚約する噂があるとか」


 もちろん人気だけなら高い赤髪の男、ズーク・オーウィングの名前も良く知られている。

 中身なバカでアホでカスなズークであっても、その容姿が優れている事に変わりない。

 内面を知らない女性達はその真実を知らない。そしてあんな男でも戦場に出れば有能なので、無駄に国王からの好感度は高かった。

 真に残念ながら、不敬罪で死刑と言ったルートは無さそうだ。そんな風にズークとリーシュの話題で食堂は盛り上がっていた。

 5年生に聞けば本当に今臨時講師として働いていると証言が出て、更に新入生達は盛り上がりを見せていく。


 2人の人気と知名度は平民でも変わらないので、立場や地位に関係なく話題の中心となっていた。

 実際に片方はアレだけれども、リーシュは人格面でも優れた女性であり貴族達の覚えも良い。

 何人か婚約を申し込んだ貴族も居る話は有名で、学園の男子達にも憧れている者はそれなりに居た。

 ワイワイと楽しい食事会を楽しんだ新入生達は、食べ終わった者から順番にテストが行われる教室へと移動していく。

 今年は平民含めて100名の新入生を迎え入れたローン王国王立魔法学園。そこで起きる珍騒動が、これから始まろうとしていた。

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