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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第1章 (借金が)10億の男
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第24話 新たな指名依頼

 ポイズンアントクイーンの心臓を確保したズークとリーシュは、一旦野宿を挟んでからキャッシュの街へ帰還した。

 もちろん昨夜はズークがリーシュを誘うも即答で撃沈している。冒険者ギルドへ向かった2人は、受付に報告に向かう。

 もちろん並ぶのはカレンの所だ。幾つかのパーティが捌かれた後、2人の番がやって来た。

 カレンとズークのいつものやり取りを挟んで納品となる。


「レオン! これ鑑定お願い! それにしてもズーク、アンタやれば出来るんだから普段からちゃんとしなさいよ」


「本当にそう」


「えぇ、俺はちゃんとしているつもりだけど?」


 どこがじゃボケと言わんばかりの視線が2人から向けられる。その間にも期待の鑑定士見習いが、ポイズンアントクイーンの心臓を本物だと断定する。

 先ずは成功報酬として2000万ゼニーが支払われるが、状態が良いので依頼主の判断で後日追加報酬がある事が告げられた。

 全ての依頼がそうなる訳ではないが、依頼者によってはその様な追加報酬が発生する。

 今回の依頼者は病院だった為に、品質が基準値以上ならばその分が支払われる予定だ。

 リーシュが倒した方はまだ若いクイーンで、ズークが倒した方は長生きした個体だ。どちらも良い方向で期待が出来そうだ。


「ああ、それと2人に指名依頼が別々に来ていたわよ」


「そうなの? 誰かしら?」


「今度は指名かよぉ~そろそろ娼館に行きたいんだけど?」


「おバカ! 良いから支部長室に行って聞いて来なさい!」


 いつもの様にカレンに怒られたズークと、リーシュが揃ってファウンズ支部長の執務室に向かう。

 SランクやAランクともなると、支部長の執務室に呼ばれる回数は多い。

 今回は指名依頼の説明だが、それ以外にも様々な用事で呼び出される。

 通常なら昇格試験の試験官役や、特定のモンスターの討伐依頼などだ。バカみたいな理由で呼び出しを喰らうのは、ズークぐらいだ。

 稀に何かしらをやらかした職員や、冒険者がお叱りを受ける場合もあるが。基本的にそっち方向はあまり多くない。

 キャッシュ支部はお行儀の良い冒険者が多く、問題を起こすタイプは少ないからだ。


「支部長~入るよ~」


「ちょっとズーク」


「ノックぐらいせんかバカモン!」


 慣れているから良いだろうぐらいの感覚で入室するズーク。当然速攻でお叱りが入った。当たり前である。

 初手お小言から喰らいに行くとはアホの極みだが、そもそもズークはアホであった。

 これでも爵位を持っているのが信じられない。王族への不敬罪で打ち首にされる日はいつになるだろうか。期待が高まって来る。

 それはそれとして、今回の指名依頼の内容だが、王立魔法学園での講師を1ヶ月程頼みたいそうだ。

 どうも魔法の講師が産休に入り、剣術の講師が怪我をしてしまい人が足りていないらしい。


「あらまぁ、不運が重なったのね」


「そういう事だ。両方学園からの依頼なので、それなりの報酬が出る。しっかり働いて来るんだぞズーク? 分かっておるな?」


「任せろって、学園長のメリーナの為なら頑張るさ!」


 微妙に意味が噛み合っていない様だが、一応はやる気らしいズーク。明らかに目的が女性である事は間違いない。

 こんな男に魔法の講師が務まるのかと一抹の不安が浮かぶが、案外そうでもないのだ。

 この男、こんな人間性だが教えるのは上手い。ギルドで試験官をやろうものなら、的確に欠点を指摘し良い点を褒める。

 ズークが試験官を務める昇格試験を受けた者は、必ずその後に伸びるとまで言われて人気が高い。

 この男、駄目な所と良い所のバランスが滅茶苦茶であった。もっとこう、バランス調整とかなさったら如何か。


「良いかズーク、迷惑は掛けるんじゃないぞ? 分かっておるな?」


「大丈夫だって、俺は美女を相手に迷惑は掛けない」


「どこがよ、どこが」


 やはり駄目そうな感じになって来た。教えるのが幾ら上手かろうとも、人間性に問題があるのは変わりない。

 こんな男が貴族の子息達が通う、魔法学園に行かせても大丈夫なのか? だいぶ雲行きが怪しくなって来たが大丈夫か?

 同行するリーシュによるコントロールに掛かっている。だが教える教科が違う為に、やはり何かやらかしそうな予感は拭えない。

 無事にこの依頼を、安全に平穏に終わらせる事が出来るのか? 暗雲が立ち込み始めているが、果たしてどうなる事やら。


「それで、いつからです?」


「可能なら1週間後から来て欲しいそうだ」


「メリーナの為なら今からでも良いぜ」


「あちらの用意が出来とらんわ! 絶対に1週間も後だ分かったな!」


 こうしてズークとリーシュは1週間後、ローン王国王立魔法学園に代理講師として出向する事が決まった。

 ちょうど良いから1週間後まで休む事に決めるリーシュ。ズークも続こうとするも、当然お前は働けと2人から言われる始末。

 ちょっと真面目に働いたと思えばこの調子で、借金返済の日々はまだまだ終わりそうにない。

 多少減りはしたとは言っても、まだ8億の壁は超えられていない。本日の収入もリーシュと6対4で割る形だ。

 仮に追加報酬が入ったとしても、完済までの道のりはまだまだ遠いままだ。

■本日の収入:800万ゼニー

■借金総額:8億5700万ゼニー

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