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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第1章 (借金が)10億の男
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第2話 借金返済生活開始

凝った事をして金額の日本円換算をややこしくするのを防ぐ為、大体日本円と同程度ぐらいの金銭価値に設定しています。

私がガバッてしまうリスクもありますから。

 繁栄を続けて来たローン王国の王都キャッシュは、大陸でも屈指の技術力が使われている。

 魔法を使って常に清浄な水が流れる上下水道は、王都中に行き渡っており水に困る事は無い。

 また様々な魔道具を安価で購入する事が出来、火や明かりにも困る事もない。医療技術も発展しており、ケガや病気の対策もバッチリである。


 ここでは余程の馬鹿かマヌケでもない限りは、まず生活に困る事はない。

 そんな誰もが充実した暮らしを出来る楽園の様な都市には、冒険者達を統括する組織である冒険者ギルドのキャッシュ王都支部がある。

 その外観はまるで大商人の館かと思える程に立派な石造りの建物だ。

 その2階には、最高責任者である支部長の執務室がある。立派な調度品に囲まれた部屋で、2人の男が向き合っていた。


「ズーク、何故呼ばれたか分かっておるな?」


「また厄介な魔物でも出た?」


「………………」


 支部長専用のデスクに座っているのは、先日50歳になったばかりの小太りの男性だ。

 彼の名前はファウンズ・ペイメント。ギルド支部長であると同時にペイメント子爵家に生まれた貴族でもある。

 兄が当主を継ぐのは決まっていたので、道楽で始めてみた冒険者稼業が肌に合い熱中した。


 冒険者を引退した後はこのギルドで職員として働いて来た。そのまま順当に昇進して行き支部長の地位まで上り詰める事が出来た。

 順風満帆な人生だったが、薄くなって来た頭髪が最近気がかりである。

 そんなやや頭皮が見えている頭部をプルプルと震わせながら、ファウンズはズークを睨みつけて叫んだ。


「お前の返済が溜まりに溜まっておるのだ!!」


「え、そうなの?」


「どうやったらこんな短期間で、10億ゼニーもの大金を使えるのだ!?」


 この国では農村部の村人が普通に働いていたら、月収は大体10万ゼニー程になる。

 高ランクの冒険者であれば、ランクにもよるが月収は50万から100万ゼニー前後にだろう。

 そしてSランクのズークならば、100万ゼニーなど1日あれば余裕で稼げる。だがそれにしても10億という額はとんでもない額だ。


 余程の豪遊をしなければこうはならない。それに支払いはどうしたのか、という疑問が浮かぶ所だが、そこがSランクの恩恵の1つだ。

 冒険者カードを提示すれば、現金がなくても支払いが可能になる。一時的に冒険者ギルドが立て替えて支払い、期日が来ればギルドの口座から自動的に引かれるシステムだ。

 もちろん利用料はタダではなく、若干の手数料が同時に発生する。それに低ランクの冒険者では利用可能な上限額がかなり低く設定されており、誰でも好きなだけ利用する事は出来ない。


 それがSランクともなれば、利用額の上限はない。仮に預金額以上の支払いとなっても、ギルドは立て替えて支払ってくれる。

 何故ならSランクという絶対の強さから来る信頼があるからだ。例え高額な請求であっても、Sランクならば払えるという信用がある為だ。

 今回はその制度が裏目に出た形だ。普通の高ランク冒険者であれば、際限なく使用せずに計画的に利用する。そう、()()の高ランク冒険者であれば。


「私が休暇を終えて戻って来たらこの有様だ!! どうするつもりだこんな大金!?」


「払えば良いんだろ?」


「なら今すぐ払って見せろ! とっくにお前の口座は一銭も残っておらんがなぁ!」


「…………え? マジ?」


 ここに来て漸くファウンズが怒っている理由に気付いたズーク。Sランクになってからは、金に困った事が無かった。

 資金運用はパーティメンバー任せで、口座の管理なんてまともにやった事がなかった。

 どうせ払えるという認識しかなく、ポンポン使っていたらこうなったのだ。せめてファウンズが居る状況であれば、もっと早い段階で気付けた。


 だが運悪く彼は、家族サービスで長期に渡る旅行に出かけていた。その間にギルドの責任者代理が、ズークなら払えるだろうと考えて通してしまっていた。

 当然ファウンズの不在時にギルドを任されていた代理の者は、1時間に渡りしこたま怒られた後である。

 ファウンズが娘や奥さんのご機嫌取りを散々やって戻って来たら、取り返しのつかないこの有様だった。それは怒鳴りたくもなるだろう。


「脱げ」


「まさかっ!? 体で払えって言うのか!?」


「バカモン! お前の装備の話だ! 装備を売って返済に充てる」


 ズークの装備はどれも一級品であり、予備も含めて全て売り払えば1億ゼニーぐらいにはなると思われる。

 だがそれでも、借金の残額は9億ゼニーも残っている。それにズークが孕ませた女性達20人分の生活費も、毎月払わねばならない。

 この金額は相手の立場や地位によって変わる。村娘や街娘と高ランク冒険者、そして貴族では当然別扱いだ。ズークが孕ませた女性の内訳と支払額はこうだ。


・村娘……3人、1人当たり10万で月30万

・街娘……3人、1人当たり20万で月60万

・Aランク冒険者・元貴族……14人、1人当たり50万で月700万


 この支払は自動的に発生するので、預金がゼロならギルドが立て替える。つまりこのままなら毎月790万ゼニーずつ借金が増えていってしまう。

 これまではパーティメンバーがどうにかコントロールして来たが、ストッパーがいなくなった事で大変な事になってしまっていた。

 1日100万ゼニーを稼いでも、ひと月30日で3000万ゼニーにしかならない。減りはするが残る予定の借金額9億ゼニーの30分の1である。

 毎日働いても30ヶ月も掛かる上に、毎月増える790万ゼニーもある。


「と言う状況なのだが、分かったか? この大馬鹿者め!」


「マジかよ~~。てか装備はどうしたら良いんだ?」


「知るか! 貸し出している初心者用でも使え!」


 ズークの強さは実力から来ている。しかし装備の恩恵もゼロではなく、初心者用の装備では強力な技の使用に武器の方が耐えられない。

 ズークが得意な魔法剣を使えば、一度の使用で破損するだろう。それにそんな武器では100%の威力は発揮出来ない。

 それは防具の方も同じであり、かなりのハンデを負った状態で戦わねばならない。魔法の発動に関しても、杖等の発動体が必要となる。

 そちらも初心者用の装備では、上位の魔法を一度使えば破損してしまう。このままでは1日100万ゼニ―を稼ぐというのはかなり大変だ。

 Sランクなのに本来の実力を発揮出来ない状態で戦うという、とても厄介な条件で借金返済生活を強いられてしまった。

 ズーク(このアホ)の借金完済は一体いつになるのだろうか。

後々色々と小出しにしますが、地球の文化と技術がかなり流入した世界です。

ただし何もかもが在る訳でもありません。


一例を挙げるならば、高層ビルは殆どの国で定着しませんでした。

ワイバーンやらドラゴンやら居る世界で、高層ビルはリスキーだからと言う理由で。

しかし一国だけは採用していて、アメリカ人が初代国王(大統領)になった国では乱立しています。

そこでは戦闘ヘリでワイバーンやドラゴンを追い払う日々が日常。エメゴジみたいなモンスターパニック展開が頻繁に起こっているという設定です。

何章にするかはまだ決めていませんが、B級モンパニ風の話を入れる予定です。

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