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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第4章 ダンジョンとクズ男
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第154話 マレーンの街

 マレーンの街、それはローン王国の友好国である国の1つ、アファチェリ聖王国の街である。

 少し田舎寄りの土地ではあるが、その分作物が豊富に取れる農業が盛んである。

 都会の華やかな生活とはまた違った良さがある街だ。華美ではないというだけで、暮らしは豊で人口も多い。

 石造りの建物が中心で、上下水道も完備しており環境は良い。かつて異世界が作った街だという歴史を持ち、香辛料が名産品となっている。

 

 もちろん香辛料を使った料理も有名だ。スパイシーな食料を求めて、他国からも観光客が訪れる。

 大きな災害も特に無く、生活する上での問題は無かった。そう、数年前までは。今ではのどかなこの街も、完全に平和とまでは言えない。

 何故なら人気のダンジョンで失敗し、逃げ出した者達が居座るようになってしまったからだ。

 冒険者ではあるものの、金が目的でダンジョンに挑んだ者達だ。腐って飲んだくれ、街の人々に迷惑な行為を働く。

 冒険者ギルドからの注意も飛んでいるが、まともに聞き入れるのは一部だけ。

 

 冒険者の資格を剥奪されると、無資格のならず者と化してより酷くなる有様。

 夢破れた者達の流刑地となってしまったマレーンは、治安の悪化が進む一方である。

 大きなダンジョンが発見されれば、周辺地域は高いインバウンドが期待出来る。

 しかしその反面、このような問題もセットで付いて来てしまう。何も良い事ばかりではないというのが実情である。

 それもあって、近隣にダンジョンが見つかる事を喜ばない人達も、一定数存在している。


「また新しい連中が来たって噂よ」


「勘弁して欲しいわね」


 若い街娘達が、マレーンの街の中を歩きながら噂話をしている。どうしても若い女性は、彼らの被害を受け易い。

 セクハラ程度で済めばまだ良いが、最悪痴漢行為や性的な被害を受けてしまう。

 そう言った事件はこれまでにも起きており、被害は徐々に増加している。もちろん被害は女性だけが受けるとは限らない。


 男性よりも強い女性も存在する為、腕力の弱い若い男性が同様の被害に遭う場合もある。

 若くなければ安全かと言えば、当然そんな事はない。老人を蹴飛ばしたり、力を振り翳して恫喝したり。

 様々な形で被害を受けてしまうので逃げ場はない。今も昼間から飲んだくれた冒険者が、酒場で管を巻いていた。


「なんだぁ? もう酒はださねぇって言うのか? あぁん!?」


 スキンヘッドの大男が、真っ赤な顔で店主に絡んでいる。前衛で戦う戦士タイプなのか、分厚い胸板が惜しげなく晒されている。

 肩や重要な部位を守る為の最低限の鎧を身に着け、背中には大きな戦斧を背負っている。ただの飲食店経営者では、少々逆らうのは難しい。


「い、いえ、ですから、飲み過ぎではないですかと、言っているだけで――」

「うるっせぇなぁ! 黙って酒を出してりゃあ良いんだよ!」


 店主の真っ当な意見は聞き入れられず、大声で恫喝している。こんな光景が、この街では日常と化している。

 領主にも報告し、問題提起されたが解決には至っていない。厄介なのが、彼らはそれなりの実力と金は持っている事だ。

 討伐依頼は問題なくこなすし、支払いは一応している。理不尽な値下げを強要するなど、問題行動は起こすが経済には貢献している。


 特に戦闘能力だけは確かなのが厄介過ぎた。全員追い出してしまうと、ダンジョンに向かった冒険者が多く人手が足りなくなる。

 彼らを追い出すのはデメリットもある為、あまり強く出る事が出来ないのだ。街への被害については、領主も頭を悩ませている。

 明らかな犯罪の場合は逮捕出来るが、ただ迷惑なだけでは捕まえる事は出来ない。犯罪者ではなく、ただの迷惑行為でしかないからだ。


「なんだテメェ、何見てんだぁ?」


「あぁ? 誰に向かって口聞いてやがる!」


 飲んだくれが飲んだくれと喧嘩を始める。これもまた、もはや見慣れた光景である。

 店内のテーブルや椅子を破壊しながら、白昼堂々と大暴れだ。流石にお互い武器を抜く事は無いが、それなりの戦闘能力を持つもの同士の喧嘩だ。

 周囲への被害はかなり大きい。他の客まで巻き込まれて、二次被害があちこちで発生する。

 大男が喧嘩の相手を投げ飛ばし、店のドアを破壊しながら店外へ出る。

 突然屈強な男が大通りに飛んで来た為、外では驚きの声と悲鳴が響いている。そんな状況もお構いなしに、大男が投げた相手を追いかけて追撃に入る。


「おらぁ!」


「てめぇよくも!」


 今度は外へとステージを変え、迷惑な男達の喧嘩が再開する。通りを歩いていた人達は、巻き込まれては堪らないと逃げ惑う。

 そんな状況ながらも、良く通る2人の男女の声が大通りに響く。


「ちょっとズーク! 前! 前!」


「え?」


 街を歩く綺麗なお姉さんを見つけて、よそ見をしていた1台の馬車――いや人力車が喧嘩をしていた男達へと突っ込んだ。

 多少の体格差があろうとも、筋力と体幹の差は覆らない。軽やかに走っていたズークに弾き飛ばされて、迷惑な男達は近くを流れている川へと落ちて行った。

 人を跳ねたズークは、キョトンとした表情でその光景を見ていた。

アファチェリはルーマニア語の商売という意味の言葉を参考にしました。

商売な宗教って色々ありそうで良いなと。マレーンは適当に決めました。

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