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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第3章 ユニコーン×バイコーン×借金男
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第152話 酒は人を狂わせる

「それで? ズークよ、これはどういう事だ?」


 ローン王国の王都、キャッシュの街にある冒険者ギルド。その支部長室で『セイザ』をさせられているズークの姿がある。

 このセイザとは異世界から流入した文化である。反省を促す際に使われる事が多く、足を折りたたむようにして地面や床に座る座り方である。

 なおこの状態から上半身を床に向けて投げだし、額を床に擦り付ける謝罪法『ドゲザ』も存在している。

 この世界における最上位の謝罪として、各国に根付いている。そのドゲザを用いて、ズークは支部長のファウンズへ向けて頭を下げる。


「何とかなるかと思って」


「なるわけなかろうバカモンが!」


 またこの赤髪のおバカさんが、何をしてしまったのか。それはレーナの救出を祝う会の後に問題が起きた。

 他の冒険者達と二次会三次会へと向かった彼は、冒険者ギルドから借りていた装備を質屋に持って行ってしまった。

 酒でベロベロに酔っていたズークは、普段以上にバカでマヌケな判断を下す。質屋だったら、後で金を払えば借りた装備を取り戻せると。

 商人に売り払ってしまったら、取り戻すのは難しい。だが質屋は商売の性質が違う。


 質に入れた際に受け取った金銭を、後で払えば手元に戻って来る。そこで得た金を使い、ズークは豪遊をしていた。

 朝目が覚めたら、ズークは裏路地で爆睡していた。嫌な予感を覚えて探し回っていたリーシュに見つかり、無事にこうして連行されて来たという事だ。

 リーシュから借りた剣だけは手元に残していたが、後は全て質に入れてしまっている。


「すいません支部長、私が目を離した隙に」


 リーシュはレーナ達牧場の女性陣達と楽しく談笑していた。その間に抜け出したズークが、愚行に出てしまった。その結果がこれである。


「君のせいではない。このバカタレが悪いのだ」


「いやホラ、後輩達に先輩として奢ってやらないとさ」


 その心意気だけは良いだろう。自分よりランクが低い冒険者達に、最高位冒険者として奢る。

 行動としておかしくはないが、多額の借金を抱えた身でやる事ではない。


「自分の金でやらんか! ギルドの備品を質に入れるバカが居るか!」


「ズーク……貴方はどうしてこう……」


 ファウンズは怒り、リーシュは呆れている。なお連行されるなり、事情を察したカレンに拳を腹に叩き込まれている。

 既に姉代わりからの制裁は受けた後である。せっかくレーナの救出に成功したというのに、肝心の締めで大ポカをやらかす。

 相変わらず学ばない男であった。学ばないというよりも、要らぬ知恵だけは回るというべきか。


「質に入れた分は、今回の報酬から天引きさせて貰う」


「お、じゃあ!」


 そこで補填が効くのなら、当たらに仕事をしなくても良いのか。ズークは明るい表情になるが、そんなわけがない。


「バカモン! 当然質に払う分は働いて貰う!」


「なんだぁ」


 何故そんな勘違いが出来るのか。常人には全く理解出来ない発想である。

 今回ギャレットファームに絡む依頼で払われる筈だった報酬は5000万ゼニーだ。

 1日当たりの単価自体はそう大きな額ではないものの、追加の報酬が大きかった。魔族の奴隷、アザミナの捕獲などである。


 諸々のボーナスが付き、結構良い報酬となった。だがしかし、質に500万ゼニーを支払うので、実質的には4500万ゼニーとなってしまう。

 500万分は結局働かねばならない。そもそも全額借金の返済に充てられるので、その分返済が遅くなるだけではある。

 それだけ自由な日々が遠のいたのだが、おバカなズークは気付いていない。


「分かっておるのか! お前の借金はまだまだあるのだぞ!」


「分かっているけどさぁ」


 それからもファウンズのお説教は続く。ストレスのあまり、ファウンズの頭髪がこれ以上減らない事を願うばかりである。

 その間にもプロスペリタ王国では、ヴィルターの尋問が行われている。これまでに犯して来た数々の犯罪の証拠が、彼の屋敷で発見されていた。

 また彼の犯罪に加担していた貴族達も発覚し、別口で捕縛される事が決まっている。

 異国の地でマヌケな事をして怒られている男のせいで、自分達が捕まったと知れば彼らは何を思うだろうか。


「ヴィルター、この詐欺事件を主導したのは貴様だな?」


「……」


 プロスペリタ王国の王城にて、審問官が尋問室で問う。黙っているヴィルターだが、黙秘が意味を成さない事も分かっている。

 ただ少しでも、刑の執行を遅らせる為の無駄な足掻きだ。


「素直になった方が、貴様の為だぞ?」


「……」


 黙認を続けるヴィルターだったが、筋骨隆々の大男が鞭を持って現れては黙っていられない。

 彼は暴力に抗える程、強い精神の持ち主ではない。結局ゲロったヴィルターは、数々の罪で30年の禁固刑が決まる。

 大商会カッティーヴォは解体が決まり、被害者への補填が始まって行く。不当に捕らえられた奴隷達も、解放される事が決まる。


 既にローン王国で逮捕されている奴隷も対象だ。国を跨いで、奴隷という立場からアザミナ達は解放された。

 しかし犯罪行為の責任は一部取らねばならない。軽犯罪程度の軟禁だが、彼女達は責任を取る事になる。

 こうしてローン王国の王都を騒がせた事件は、解決へと向かって行った。

■依頼での収入:4500万ゼニー+合間で稼いだ討伐費用300万ゼニー

■借金総額:4億8840万ゼニー


この話でケイバ回は終了です。次回から新章となります。

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