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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第3章 ユニコーン×バイコーン×借金男
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第151話 少女と祝杯

 レーナを救出したズーク達は、プロスペリタ王国の王族からの直接謝罪を受けた。

 国の方針とは関係無かったとは言え、自国の商人が犯した誘拐事件である。長期的な実害が出ていた事についても、後々賠償をするという方向で話は進んでいる。

 これからヴィルター達を取り調べる事で、協力していた貴族達も芋づる式で判明して行く事が確定している。

 後ろ暗い事をしていた貴族達から、応酬する資金等が賠償金へと回される。ヴィルターの被害に遭った人々は多く、順番に対応が始まっていくだろう。


 しかしそれはまだ少し時間が掛かる事だ。今は先ずレーナの無事な姿を、ギャレットファームの人々に見せてあげる方が大切だ。

 事情聴取を受けたレーナを連れて、先にズークとリーシュがローン王国へ帰還した。国への説明を迅速に済ませて、ズーク達はギャレットファームへ向かう。

 騎士団が馬車を用意してくれた為、帰りは穏やかな移動だ。そんな彼らを追い越すように、騎士達が王都へと馬を走らせていく。

 ヴィルターの手下であるペンテという従業員を、逮捕する為に向かっているのだ。

 外見等の情報は既に入手済み。間もなく確保されるだろう。そんな裏事情はともかく、ズーク達はギャレットファームへ到着する。


「ただいま!」


 元気よくレーナが駆け出していく。連絡を受けて入り口で待っていた牧場主のオーウェンと、妻であるリエラがレーナを温かく迎える。

 2人に抱き締められたレーナは、間違いなく2人の家族なのだと良く分かる。その後ろで待っていた他の職員達も、レーナの帰還を歓迎している。

 そんな光景を、ズークとリーシュを始めとした冒険者達が眺めている。


「何とかなったな」


「ええ、そうね」


 狙いの分からない襲撃事件から数ヶ月、無事に主犯が捕まり解決となった。

 もちろんまだ暫くの間は、周囲の警戒は行われる。ヴィルター達の逮捕を知らないまま、今も活動を続けているはみ出し者も居るかも知れない。

 完全に解決したと判断されるまでは、もう少し時間が掛かるだろう。それに捕まえた2人の魔族だってまだ問題は解決していない。

 奴隷としての身分を解消するには、長い時間が必要だ。それに結託したと思われる、カリオンファームのメンデルの取り調べと処分もまだ終わっていない。


 国や騎士団がやらねばならない事はまだ色々とあるのだ。国際問題にするのかどうか、という部分もまだハッキリとはしていない。

 国の主導で行われた事ではないとは言え、犯行が行われた期間と被害はそれなりに大きい。

 国家間の対立を起こすような決定を、ローン王国側が行う事はない。しかし国民に被害が出ている以上は、ある程度の対応をせねばならない。

 だが今は、皆でレーナの救出を喜ぶ場面だ。


「本当にありがとうございました。冒険者の皆さん達」


 深々と頭を下げるオーウェン達を見て、ズーク達冒険者は感謝の気持ちを受け取る。代表してズークが、オーウェン達に言葉を送る。


「俺もそうだし、中にはケイバが好きな連中も居る。だから気にしないでくれ」


 ズーク以外にもケイバが好きで、この仕事を選んだ冒険者達は結構多い。そう言った冒険者達は、満足そうにしている。


「本当に、ありがとうございます」


 再度俺を述べたオーウェンは、冒険者達も招き入れて細やかな宴会を行う。

 これまで耐え続けて来た妨害と、レーナの誘拐事件を乗り越えた事を祝って。仲の良い商人を通じて、特別価格で仕入れた酒や食べ物が用意されていた。

 大量とまでは言わないが、冒険者達にとっては十分過ぎる特別報酬だ。


「良いのかオーウェン? こんなに用意して貰って」


 ズークが問いかけると、オーウェンは笑って答えた。今日まで頑張って貰ったお礼だからと。


「ズークさんとリーシュさんも来て下さいよ! 主役なんですから!」


 若い冒険者達が、牧場の広場から2人を呼んでいる。護衛任務で中核となっていたのはズーク達だからだ。


「はぁ、仕方ないわね」


「今行くよ!」


 大騒ぎするつもりがないリーシュと、少し乗り気のズークが大勢集まっている所へ向かう。

 そこでは牧場の職員達や、レーナを中心に楽しく会話をしている。無事に帰って来たアイドルが、2人にお酒の入ったカップを渡す。


「はい、2人もどうぞ」


「ありがとうな、レーナ」


 俺を良いながらズークは受け取り、レーナの肩をポンと叩く。リーシュは受け取りながら、レーナの頭を優しく撫でた。


「よーしお前ら! お姫様の帰還を祝して乾杯だ!」


「「「うおおおおおおおお!!」」」


 男達の叫び声が草原に響く。何事かと驚いた小鳥が、止まっていた柵の上から飛び立った。

 そのままレーナの頭に小鳥は着地する。それだけで安心したかのように、ゆっくりと体重を預ける。

 他にも色んな動物達が、レーナの周囲に集まり始める。


「流石だな、レーナは」


「ええ、そうね」


 微笑ましい姿を見ながら、ズークとリーシュはお酒を楽しんでいる。この光景を守れた事を、心から喜びながら。

 様々モンスターや動物に愛される少女は、楽しそうに笑っていた。

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