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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第3章 ユニコーン×バイコーン×借金男
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第150話 救出作戦開始

 プロスペリタ王国の地下水道を、複数の影が進んでいく。案内をするのは、プロスペリタ王国の衛兵と、ローン王国騎士団の騎士であるメアリーとエリオットだ。

 既に2人はレーナへ憑依させた精霊を頼りに、侵入ルートを確保済みだ。3人の後を追うのは、ズークとリーシュ、そして2人と応援に来た騎士達だ。

 少数精鋭で突入し、素早くレーナを解放する。それと同時に、ヴィルターの確保を行う。

 予定通り全てが進行しており、障害となるものは何もない。精々ヴィルターが屋敷で雇っている傭兵達ぐらいだろう。


「こちらです!」


 プロスペリタ王国の若い衛兵が、ヴィルターの屋敷に繋がる水路を指し示す。

 点検用のハシゴを登っていけば、屋敷の敷地内へと出られる。まさか騎士団の検分と同時に、侵入して来るとはヴィルターも思っていない。

 彼はまだ、大商会カッティーヴォが全ての黒幕だと、バレていないと思っている。

 素早く地上へ上がったズーク達は、メアリーの案内でレーナが囚われている部屋へと向かう。

 

 現在軟禁状態となっているレーナは、客室で過ごしている。下手な抵抗をしなかったお陰で、奴隷契約はまだされていない。

 天井裏へと回った彼らは、レーナの居る部屋の真上へ移動する。天井の板を少しだけずらして、ズークは室内を観察する。

 眼下にはレーナとメイドの姿があった。お世話係とは名ばかりの、監視役と思われる。


(俺が先に行く)


 ズークが先に下へ降りて、メイドを気絶させてしまう算段だ。


(ええ、分かったわ)


 その後にリーシュが続いて、先にレーナを救出してしまう。後は表で騒ぎが始まれば、本格的に行動開始だ。

 先ずは音もなく飛び降りたズークが、レーナを見張っているメイドの首を手刀で意識を狩る。

 次の瞬間にはリーシュがレーナを確保しており、孤独感に苛まれていた彼女を抱き締める。


「ごめんねレーナ、怖い思いをさせてしまって」


「待たせてしまったな」


 ズークはレーナの肩に手を置いて、もう大丈夫だと示す。見知った2人が表れて、レーナの緊張は一気に解けた。


「リーシュさん、ズークさん」


まだ成人前の少女にして、気丈に振る舞っていたのだろう。しかし彼女はまだ子供だ。怖かったのだろう、安心するなり少し涙を流している。


「さあ、ここからは我々騎士団の仕事です。主犯達を1人も逃がしてはなりません!」


 今は騎士の格好をしたメアリーが、現場指揮を執り始める。地下水道を案内してくれた衛兵は、今頃本隊へ合流しているだろう。

 メアリー達は武装を構え、その時を待つ。暫く待っていると、屋敷の正面が騒がしくなり始めた。

 様子を窓から確認したエリオットが、信号弾を空に向けて打ち上げた。人質の救出を知らせる為の合図だ。

 すると屋敷の正面から、プロスペリタ王国の騎士達がなだれ込んで来た。このまま強引に、強制捜査を一気に推し進める作戦なのだ。


 元から黒い噂が複数あったヴィルターを、大々的に逮捕してしまう良い機会だからだ。

 のらりくらりと躱されて来た数々の罪を、一気にここで暴く。自国の貴族に庇い立てして貰おうにも、今回は上手くいかない。

 欲をかいて他国の人間を攫ったせいで、下手に庇えば国際問題になってしまう。ヴィルターのバックに居る貴族達も、こればかりは庇いようがない。

 外からはプロスペリタ王国の衛兵が、中からはローン王国の騎士達がヴィルター達を追い詰める。


「俺もメアリーを手伝って来る。リーシュはレーナと居てやってくれ」


「分かったわ。邪魔はしちゃダメよ」


 勢い良く部屋を出て駆け出して行くメアリー達を、ズークは追いかけてメアリーと並ぶ。

 最前線に立ったズークとメアリーは、屋敷内を警護している傭兵達と戦闘を開始。

 傭兵達も決して弱くはないのだが、今回ばかりは相手が悪い。ズークやメアリーを筆頭に、バッタバッタと傭兵達をなぎ倒して行く。

 大柄な男性が、エリオットの一撃を受けて吹き飛ぶ。新人騎士ながらも、しっかりと活躍をしている。残りの騎士も、八面六臂の活躍を見せていた。


「クソックソッ! どうなっている!?」


 表の方からネズミのような顔の男が駆け込んで来る。傭兵達を盾にして、自分だけ逃げようという腹づもりらしい。

 口うるさく早くどうにかしろと叫びながら、エントランスホールの階段を駆け上がっていく。彼はたまたま曲がり角から出て来たズークと、2階の廊下でバッティングした。


「誰だおっさん? 邪魔だ!」


「あっ! ズーク殿! その男は!」


 ズークに蹴飛ばされたヴィルターが、壁に激突して動かなくなった。受け身なんて取れないヴィルターは、かなり不味い当たり方をしたらしい。白目を剥いており意識がない。


「あちゃぁ……」


 メアリーは額に手を当てて、ため息を吐いた。事件の主犯があっさりと気絶してしまい、聞きたい事が山ほどあったメアリーは困ってしまう。死んでいない事を祈るばかりである。


「え? 何か不味かった?」


「誰か、あの男の安否を確認しておいて下さい」


 倒れたヴィルターを指差したメアリーは、とりあえず鎮圧を優先する事にした。

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