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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第3章 ユニコーン×バイコーン×借金男
145/148

第145話 見下ろす2人の騎士

2026年もよろしくお願いします!

 レーナが突然ヴィルターの屋敷に出現した。その様子を見ていたメアリーとエリオットは、天井裏に隠れていた。

 怪しい点が幾つかあるものの、それらしい証拠は特に見つけられていなかった為だ。

 ローン王国に対する違法行為の主犯であるとしても、根拠もなしに捜査する事は出来ない。

 プロスペリタ王国からの承認もなく、勝手に逮捕すると問題になる。それ故に今ここで、飛び出すわけには行かない。

 むしろヴィルターから不法侵入を理由に訴え出られたら、捕まるのはメアリーとエリオットの方だ。


(先輩、あの子って……)


 エリオットはどこかで見覚えのある少女の登場に、疑問を覚えて先輩騎士であるメアリーへ小声で尋ねる。


(確かあの子は、ギャレットファームのお嬢さんですね)


 事件の関係者を一通り覚えていたメアリーは、レーナの顔と名前を覚えていた。

 こうして突然現れた事、そしてヴィルターの発言からメアリーは一連の事件について悟る。

 ローン王国の牧場やケイバ場への妨害が目的ではなく、レーナの誘拐がそもそもの目的だったのではないかと。

 今は遠く離れた地にいる為、現場では何が起きているのか2人は知らない。しかし起きている事を見る限り、その可能性は高いとメアリーは判断する。


(どうして彼女が?)


(恐らくは、彼女の才能が目的なのでしょう)


 個人の情報まで把握していなかったエリオットは、レーナがどういう人物なのか知らない。

 しかし細かい情報まで目を通していたメアリーは、レーナの特徴を把握している。動物やモンスターから異様に懐かれる存在。

 非常に稀有な才能である、テイマーかも知れない少女である事。それを知ったヴィルターが、レーナを欲しがる理由はあるとメアリーは説明する。

 彼の事業にモンスターを調教し、兵力として派遣するという商売があるからだ。

 人命を消費するのではない為、派遣する戦力として最近注目されている事業である。

 傭兵や冒険者より安く雇えて、戦えない人々の安全にも繋がる。ただしそれは生命の軽視ではないかと、反対する者達も多い。


(そうなのですか?)


(ええ。モンスターだから良いと考え始めたら、その内奴隷も同じ扱いになるのではないか。そういう懸念をされている国もありますから)


 大陸東部では既に産業として確立されているが、まだ全土には広まっていない。

 モンスターの軍事利用は、元々魔族が行っていた事だという事も懸念材料だ。人間が安易に真似をして、上手く行くのかという疑問も持たれている。

 事実として、人間がモンスターを使役するのは難しい。成功している商会はそう多くなく、ヴィルターは数少ない成功者というだけ。


 だからこそ先駆者としての収益を得ているが、同時に伸び悩んでもいるのだ。

 温和な害のないモンスターの使役はともかく、戦闘をこなせる凶暴なタイプは扱いが難しい。

 そもそも街中にモンスターを入れるという事が、住民への不安に繋がるという点も無視出来ない。


(それはそうでしょうね。当然の感情です)


 当たり前だろうと、エリオットは頷いている。自分は戦えるからまだ良いとしても、一般人なら怖いと思うのが普通だろうと。


(ええ。ですからローン王国や周辺国では、採用されていません)


 採用しているのは、現在大陸東部の国だけ。他の地域では慎重論が多数派であり、せいぜい一部のモンスターしか飼育を認めていない。

 あくまでも表面上は、という問題も抱えているのだが。金持ちの道楽として、モンスターを利用する者達も居るのだ。

 奴隷とモンスターが戦う所を見世物にするなど、違法な場で使われている場合がある。

 もちろんバレれば摘発され、関係者は全員捕まってしまう。しかし貴族が背後に居る場合などは、上手く隠されてしまう。


(自分も貴族ですが、理解出来ない趣味です。あまりにも下品だ)


(貴方のような貴族ばかりなら、私達も苦労せずに済むのですがね)


 詳しい事情について話しながら、2人は眼下の状況を注視している。レーナは項垂れながら、ヴィルターの要求を飲んだ。

 奴隷にならなかっただけ、2人としては助かった。救出する時に、面倒な手間を挟まなくて良い。

 一度でも奴隷となってしまうと、所有権の問題が発生する。罪を犯した場合でもなければ、奴隷契約の破棄を他者が行うのは難しい。

 犯罪を行った場合でも厄介で、契約破棄には半年以上の時間が掛かってしまう。


(部屋から出るようです、どうしますか?)


(手はあります)


 メアリーは懐から魔道具を取り出し、精霊を呼び出す。よく追跡等で使われる手法で、対象に精霊を憑ける事で居場所を把握する。

 精霊へは召喚者が与えた魔力分だけ、契約を履行してくれる。メアリーはとりあえず1週間分の魔力を与え、レーナへと憑かせる。

 精霊が一度憑りつくと、人間の目では見えなくなる。ヴィルターとレーナの背後から忍び寄った精霊は、レーナの体へと溶け込むように消えた。

 これで少なくとも居場所が分からなくなる事はない。後はプロスペリタ王国と掛け合って、ヴィルターを逮捕する為の手続きを進めねばならない。どう説明するか、2人は頭を悩ませる。

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