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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第3章 ユニコーン×バイコーン×借金男
135/150

第135話 続・悪巧みをする男達

 プロスペリタ王国の王都シェントロにて、とある男達が会話している。

 大商会の1つであるカッティーヴォ本店の一室。商会主のヴィルターの執務室で3人の男達が集まっている。

 1人はこの部屋の主、執務机に座っている中年男性のヴィルターだ。

 ネズミを思わせる顔立ちの彼は、イライラと苛立ちながら残る2人を見ている。3

 0代ぐらいの小太りな男性、モンスター調教師のスヴァルテ。そしてヴィルターの執事をやっている60代の老人マジョルドだ。


 彼らはローン王国のギャレットファームに居る1人の少女、レーナの身柄を欲しがっている。

 ヴィルター達は非常にレアな特性持ち、テイマーである可能性を彼女に見ている。

 そうで無かったとしても、調教師としては優秀である事は変わらない。

 最初はスカウトを考えていた彼らだったが、上手く行かずに誘拐を画策した。

 様々な策を練り、犯人が自分達だとバレずに連れ去れる筈だった。だがしかし、未だに上手く行っていない。


「……いつになればあの少女が手に入る? ん?」


 ヴィルターは指で机の上を、不機嫌そうに叩いている。隠しきれない苛立ちが、音の大きさに現れていた。


「も、申し訳ございません旦那様……。その、向こうは相当ガードが固く……」


 商人に偽装したゴロツキを、直接送り込む作成を立てたのはマジョルドだ。

 牧場内で火を放ち、騒ぎになっている間に連れ去る。転移の魔道具を持たせてあるので、逃亡は簡単に行える手筈だった。

 だが送り込んだゴロツキは、簡単に捕まってしまった。遠くから監視させていた従業員から、失敗したという報告だけが届いた。


 あまりにもあっさり捕まったらしいが、何故バレたのか不明だという。

 捕まった理由が分からないのは、マジョルドとしても非常に痛い。

 どんな手が有効で、何をすると失敗するのか。そこが分からない事には次の手が打てない。


「それは分かっておる! どうすれば良いのか聞いている! これ以上無駄な投資はしたくないぞ!」


 打つ手の全てが失敗に終わり、無駄になったモンスターや魔道具類が大量だ。

 まだ商会が傾く程の損失ではないが、決して楽観視出来るレベルではない。

 レーナという少女を手に入れれば、補填出来るとは思われるが。だが手に入っていない現状、それは絵に描いた餅でしかない。

 このままジワジワと資金が減るだけでは、ただ損失を重ねただけで終わってしまう。現状をどうにかしようと、モンスター調教師のスヴァルテが提案をする。


「やはり、高級奴隷の魔族を使う方が良いのではないでしょうか?」


「奴を使って失敗すれば、損失は馬鹿にならんのだぞ!」


 ヴィルターはスヴァルテの提案に反対の様子だ。ヴィルターが所有している高級奴隷の中でも、特に高価な奴隷がいる。

 それは高位魔族の女性であり、権力闘争に敗北した結果売られてしまった存在だ。

 能力が非常に高く有能で、戦闘力もかなりのもの。見目麗しい女性でもあるので、そういう意味でも価値が高い。

 現在とある貴族から、売って欲しいと交渉を持ちかけられている。


「ですが……Sランク冒険者すら出て来ている以上、対抗出来るのはアレぐらいですよ」


「ぐぬ……だが……」


 もし失敗して彼女が捕まってしまえば、買い付けで払った金が全て無駄になってしまう。

 おまけに欲しがっている貴族とも、大きなトラブルになりかねない。そうなってしまった場合、カッティーヴォが受ける損失はとても無視出来ない額となる。


「このままでは結局同じでは? ジワジワと削られるか、賭けに出るかです」


「……うーむ」


 スヴァルテの提案に、一考の余地はあるかとヴィルターは考え込む。高位魔族の女性は、現状カッティーヴォが出せる最高戦力だ。


「旦那様、決断の時なのかも知れません」


 マジョルドもまたスヴァルテの提案に乗っかる。これ以上確実性の怪しい作戦を続けるより、まだ幾らか可能性がある方法を選ぶべきだと。

 失敗すれば確かに大きな損失だが、成功すればこれまでの損失を取り返せる。損失を恐れてチマチマと攻めていたのでは、いつまで経っても成果は出ないと。


「それに旦那様、ちょうど良いタイミングでローン王国の土地が、手に入りそうなのですよね?」


「あ、ああ。まあそうだが」


 若い2人の姉弟と偶然知り合って、土地を売って貰えるかも知れない。真実を知らないヴィルター達は、運が向いて来ていると判断する。


「これは流れが旦那様へ向いている証拠では?」


「そ、そうですよ!」


 マジョルドとスヴァルテが、畳みかけるように後押しをする。今ならきっと上手く行くに違いないと。

 本当に運が向いているなら、とっくに成功している。そんな当たり前の事に気付く事も無いまま、彼らは自分達に都合の良い事ばかり考える。

 失敗が続いているせいで、冷静な判断が下せなくなっている。


「た、確かに、そうかも知れんな……」


 2人の発言を受けたヴィルターは、少しずつそんな気がし始めている。運が自分の味方をしてくれているようだと。

 例の姉弟が、ローン王国の騎士だと知らない3人は誤った道を選び続ける。

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