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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第3章 ユニコーン×バイコーン×借金男
134/151

第134話 対策は色々と考えられている

 ギャレットファームの牧場主である男性、オーウェンがスカウトした少女レーナ。

 もうすぐ16歳を迎える彼女は、今日も元気に調教師として働いている。レーナは平凡な茶色い髪を持つ、素朴だが味のある可愛らしい女の子だ。

 都会の美少女と比べれば、華やかさでは劣っている。しかし元気で健康的な魅力を持っている。

 ユニコーンを真剣な表情で調教する姿は、大人顔負けの貫禄がある。丁寧にユニコーンを導き、コースを疾走させている。

 お互いの信頼感がしっかりと構築されており、息はピッタリと揃っている。


「相変わらずスゲェ子だな」


 そんなレーナの様子を見守っているのは、赤髪のSランク冒険者のズークだ。長期化した牧場の護衛で、何度もこうしてレーナを見守っている。


「そうねぇ。立派な子だと思うわ」


 ズークの近くにはリーシュがおり、いつもの様に腰まである長い髪をポニーテールで纏めている。

 風になびく金髪が、さらさらと流れている。艶のある金髪と、身の丈ほどある大きな大剣が彼女のトレードマークだ。

 今日の護衛はズークとリーシュが両方揃っている。この護衛における最高戦力は未だにこの2人だ。

 お金欲しさに周辺国から集まった冒険者は、それほど腕の良い者達ばかりではない。

 人気の高難易度ダンジョンに挑む実力はなく、地元に残っている者が殆どだ。護衛としては戦力になるが、1人1人はそう目立つ実力者は居ない。


「あの若さで高級取りとは羨ましいぜ」


「……ズークも真面目に働いていたら、本来大金持ちなのよ?」


 酒にギャンブル、女遊びと散財していなければ。今頃ズークは豪邸で暮らせていただろう。

 借金なんてものとは無縁で居られた。だがしかしこの男は、煌びやかな生活を選ばなかった。

 あまりに俗な趣味に走り過ぎだろう。仕方がない部分もあるにはるが、結局全部自分で選んだ結果でしかない。

 最初からこうだったのではないが、歩んだ道が良くなかった。


「俺は経済を回しながら生きて行くから」


 自慢げにそんな事を宣うズークだが、現在は全く経済を回せていない。どちらかと言えば足を引っ張っている。


「せめてまともな資産を持ってから言いなさいよ」


 ちゃんと資産形成をしているリーシュから見れば、ズークの言い分は戯言も良い所である。

 ここ数年のローン王国周辺では、金塊を資産として所有するのが定番だ。当然リーシュは安定的に購入して所有している。

 対してズークは、金塊どころか金貨1枚持っていない。どうやって経済を回すつもりなのか、甚だ疑問である。


「ギャンブルに娼館、そして酒! これぞ男のロマンだ」


「はぁ……将来アンタの子供達が泣くわよ」


 一応Sランク冒険者としては有名なズークだが、それだけがズークの全てではない。

 自分の父親がギャンカスの女好きだと知って、子供達がそう思うかは想像するまでもない。

 彼ら彼女らが、真っ当に成長する事を願うばかりだ。ある意味子供達と共に居ないのは、却って教育に良いのかも知れない。

 教育は母親達に任せて、養育費だけ稼いで来る。それでもう十分ではないだろうか。


「俺の子ならきっと強くなるから大丈夫だ」


「そういう意味じゃないのだけど……」


 呆れた表情を浮かべながら、リーシュは学ばない男を見て嘆く。そんな2人に気付いたレーナが、ユニコーンの背に乗りながら手を振っている。

 2人も手を振り返し、レーナを見守っている。2人はレーナと随分仲良くなった。

 長期に渡って接して来たお陰で、兄弟姉妹の様な関係性を築きつつある。

 和やかな空気が流れている所に、2人の男達が台車で荷物を運びながら歩いて来る。

 荷台には木箱が幾つか乗せられており、納品に来た業者と思われる。こうして定期的に業者が姿を現すのは珍しい事ではない。


「失礼しまーす」


「ちょっと通りますね~」


 ガラガラと荷台の奏でる音が響く。ここでは良くある見慣れた光景だ。

 2人の男達が通り過ぎようと、ズークとリーシュの近くを通っていく。しかしズークとリーシュは、2人の男達の前に立ちはだかる。


「ちょっと待ったお前ら、合言葉を言ってみろ」


 ズークが2人組の男達にそんな事を言う。突然の事だったので、2人は困惑している。


「あ、合言葉ですか? い、いやぁ~今日初めて来たもんで、俺達はその……」


「前任者から聞いた気はするのですが、ド忘れしたようで……」


 2人の男達は返答に困っている。その様子を見て、ズークとリーシュはより疑いを深める。この男達は明らかに怪しいと。


「ああ知らないだろう。そんな物はないからな。で? 合言葉なんて、誰に聞いたんだ?」


 ズークはただ嘘をついて引っ掛けただけだ。ちゃんとした業者であれば、知らないと答えるのが普通だからだ。

 だがこの男達は、どうにか誤魔化そうとした。それに何より、決定的な理由があるのだ。


「ここへ出入りする業者や商人達は、全員顔を覚えている。だがお前たちは見た事が無い」


「新人が来る場合は、事前に通達が入る決まりになっているのよ」


 怪しい男達は、冷や汗をかいている。そんな決まりがあったなんて知らないと。

 何故ならこの決まりは、元から取引のあった信用出来る相手にしか、知られていないから。

 こうやって侵入して来た不審者を、ハッキリとさせる為に。男達は逃走を図ろうとしたが、ズークとリーシュを相手に逃走なんて出来る筈も無い。

 2人組の男達はあっさりと捕縛されて、騎士団へと突き出された。

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