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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第1章 (借金が)10億の男
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第13話 まともな女性が体を許す筈がないじゃない?

 明日から異変の起きたダンジョンを調べる事になったズークは、厚かましくもエレナの家に戻って来た。

 膨れ上がった借金は多少返済が出来たものの、まだまだ十分高額な負債だというのに随分と余裕である。

 毎日休まず働けと言いたくなる所だが、冒険者にはその日暮らしの様な生活をする者も少なくない。

 ロマンはあるが現実は厳しく、真面目に働かないと何者かになるのは難しい。

 しかしこの男は何者かになってしまったので、この様な暮らしも許されて……いや許されてはいないが成立はしてしまっている。


「ただいまエレナ」


「まあズーク様! お帰りなさい」


「今日は1日空いてしまったからさ、エレナと過ごそうかなって」


 空いた時間があるなら働け以下略。戦闘と繁殖だけは完璧な男、ズークを慕うエレナはこの様な男でも好意的に見ている。

 英雄色を好むというものの、本当に実践する(バカ)がどこにいると言うのか? ……非常に残念だがここに居る。

 一途な男性を好む女性からはノーを突きつけられているズークだが、強くて頼れる男性を求める女性から見ると一応は英雄だ。


 そして1人の異性に群がるタイプはおり、そこに男女の違いはない。

 生物として魅力のあるオスに群がるメスという構図は、何もおかしくはないものの不公平ではある。

 しかしそれも自然の摂理であり、こうして立派なヒモとして生きて行けてしまえるのだ。


「まあ本当ですか? 今日は1日一緒に居て下さるのですね?」


「もちろんさ、たまにはゆっくり2人で過ごそう」


「ありがとうございますズーク様!」


 健気で優しき心を持つ女性が、駄目な男に引っ掛かるのは世の常。どうしてこんな旦那と? そう問いたくなる事は多々ある。

 しかしそんな風に思われてしまう男でも、それなりに家族を大事にしている事だって無い訳では無い。

 まあこの男は結婚すらしていないので、同列には語れないが。だがそんなズークも、時折こうして包容力を見せるのだ。

 不器用(笑)な男から向けられた優しさに、魅力を感じてしまう事もまあ多分あるのだろう。

 実際女性には優しいのがズークなので、紳士的とは言えないが柔らかな対応を見せる。


「ちょうど良いので、お昼ご飯を作りますね」


「なら俺も手伝うよ」


「では一緒に作りましょう」


 一見すると穏やかで優しい女性に見えるエレナだが、実は彼女にはある特徴があった。

 見た目だけなら平凡で、黒髪ショートボブの可愛らしい女性だ。しかしその内面は少しだけ普通ではない。

 心優しき神官でありながら、同時にかなり嫉妬深い所がある。そんな彼女の嗅覚は鋭く、一緒に料理をする為に近付いたズークから何かを感じ取る。

 それまで輝いていた黒い瞳から、徐々に光が失われていく。纏う雰囲気も、どんよりした暗さに変わりつつあった。

 突然ガッとズークの腕を掴んだエレナは、ズークの体を嗅ぎ始めた。


「……受付のカレンさんと、リーシュさん」


「え、エレナ? どうした?」


「知らない匂いが5人程します……」


 数日前にオークに襲われた村を救ったズークは、助けた5人の女性と関係を持った。

 当然その後に水浴びもしたし、時間はそれなりに経過している。だがしかし、人よりちょっとだけ嫉妬深いエレナの鼻は誤魔化せない。

 数日前ぐらいであれば感じ取る事が出来るのだ。ついうっかりしていたズークは、その事を失念していた。

 だが今更気づいたとしても時すでに遅し。メンタルがヘラッていそうな雰囲気が、エレナから漂い始める。

 焦ったズークは言い訳を並べ始めるが、そんな事でエレナが止まる事はない。走り出したメンヘラ暴走特急は、停止するボタンが付いていない。


「どうして!? 何故ですか!? 私では満足出来ませんか!?」


「違うんだエレナ、これは助ける目的もあって」


「どうして!? 何故!? おhfぁろえぽwplw!!」


 発狂したエレナが声にならない叫びを上げて、ズークに詰め寄り泣き叫ぶ。

 冒険者として仕事をしている間に会えないのは許せても、浮気は許せないのがエレナである。

 ズークがモテており、自分より先に子供を作った女性が居るのは知っていた。

 だがそれでも、自分が一番になりたいという気持ちを拗らせてしまっているのだ。


 彼女が何故この国に住んでいるのかと言えば、ズークの側に居る為である。

 以前住んでいた自宅を売り払ってまで、エレナはズークに着いて来たのだ。少しだけ愛が他の人より重いのかも知れない。

 少なくともあまり関わりたいと思えるタイプではない様に見える。


「どうjtじぇqlぽじういえr!?」


「待てエレナ、包丁は一旦置こう? な?」


「だっjgひおうぇいいmtるかfさ!?」


 悲しみと嫉妬と独占欲を拗らせたエレナは、震える手で包丁を握りしめている。

 涙を流しながら、必死に何かを訴えているが言葉になっていない。どうにかしようとズークが試みるも、会話が成立せずにどうにもならない。

 暫く騒ぎ続けたエレナは、時に包丁を振り回す時もあった。基本的に後衛役とは言え、エレナはAランクの冒険者でそれなりの戦闘力がある。


 幾らSランクと言えど、ズークでも対処に困るのだ。ただ単に倒せば良い相手ではないので、かなりの苦労を重ねた上でどうにか落ち着かせる事に成功するのだった。

 世の男性達から見れば、あまり羨ましい関係では無い様に見えるかも知れない。

 そんな微妙な関係性を見せ付けながら、ズークの1日は終わるのだった。

ズークのハーレムメンバーは大体こんな感じで癖が強いです。

アブサー村は田舎で水道管がないのでシャワーは出来ませんでした。

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