If
最初は夢があった
“俺もそのままで生きたい”と
でも打ちのめされた
“所詮こんなものだから”と
自分の宿命“とされるもの“を受け入れたい
そしたら、“そんなに頑張らなくていいんだよ”と
声が聞こえるから
俺は幸せだ
俺は幸せに生きている
別に偽りの自分を演じてるわけじゃない
でもはっきりと“ゲイなの?”と訊かれたら
面倒臭さを乗り越えて“好きな人の話”はできる?
仮定の話を否定するのは余裕がないからだ
お前が“頑張る”と
俺は打ちのめされた自分を見せつけられるんだ
お前が大きなものに立ち向かっているとき
俺は現実の残酷さを再確認させられるんだ
新しい出会いアプリができたらしい
これでこれまでより安心安全に出会える
このこと自体はすごくいいことだと思う
でも本質的じゃない
どうしてもネットでしか出会えない
未成年はどうするの
子供は仲間と出会っちゃいけないの
なぜ彼は駄目なの
麻痺が止まらない
“ネット限定”なのに
嘘を吐けば男同士でも楽に部屋が借りられたり
“嘘を吐いている”のに困ってない、って
麻痺が止まらない
遺産相続ができないとか
遺体を引き渡してもらえないとか
そういう諸々のことを全部無視できるのは
なぜ?
だって、これ以上は戦えない
お前が“頑張る”と
俺は打ちのめされた自分を見せつけられるんだ
お前が大きなものに立ち向かっているとき
俺は現実の残酷さを再確認させられるんだ
差別ってあるのかな
差別かどうかわからない
差別なんてない
差別はあるけど努力の問題
だって、そういう考え方をしていないと
潰されてしまう
だからどうか俺を殺さないでくれ
せっかく“うまく”やれるようになったのに
諦めた方が楽だもの
そしたら何も考えずに済むし
それ以上悩まなくていいから
現状を受け入れてしまえば
もう苦しくないから
俺はたぶん
あなたほどには夢を抱いていないのだろう
希望を抱くからこそ絶望することもある
だから、希望を抱かないでしまえば
絶望しないで済む
俺の“今”はたぶん
あなたの“かつて”ほど一生懸命ではないのだ
例えばこれはもしもの話
俺の“もしも”の話