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赤いアポフィスの悪魔を封印せよ  作者: lavie800


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第三十一話

挿絵(By みてみん)

ベクターが私に言い放った。

「お前をこのムラマサの剣でとどめを刺してやろうか。

ローレンスのバカ王子、私の勝ちだ」

無表情のアリシアがベクターの後ろでぼそっと言った。

「兄弟そろって私に負けるとは」

(兄弟そろってとはどういうことだ)


ルシアが遠くから叫ぶ。

「メイ様は、どこに。どこに居られるのです」)

「気になるのか。お前などメイドの分際で関係ないだろう。

メイは3つの神器の在り処を知っていると思ったが、私に口を割らない。

リチャードが持っていたムラマサの剣はアーカート山頂にあることはわかっていたが、岩から抜けなかった。

ティアラも教会のどこかに落ちているはずだと思ったが赤い月の龍の駒が見つからなかった。

メイを生かしておけばいずれそれらも手に入ると思った。

赤い月の龍の駒を見つけるためにアーカート山の滝から別世界にメイを連れて行ったが役に立たなかった」

「メイ様はどこに?」

真剣な表情でルシアが引き下がらずアリシアに叫んでいる。

「彗星が落ちたアーカートの森に軟禁している。まあ、もう少しの命だな、お前たちも。

事が終わったらメイといっしょに始末してやる」

無表情なアリシアが私とマリナを見下している。


「3つの神器がやっと手に入る。これであの方は復活できるはずだ。ワハハハ」

ベクターにも興味がなさそうなアリシアが高笑いしている。


ベクターがムラマサの剣を構えてマリナに寄ってくる。

「私の奴隷になれ。思った以上の白い素肌だな」

ベクターはナイフでマリナのワンピースの後ろを引き裂こうとしている。

私は歯ぎしりをして武器になる者はないかと周りを見たが何もなかった。

せめてこの身体が動きさえすれば。

後ろの木枠から、光るものが私の手元に飛んできた。

「リチャード様、この短剣を」

アームだ。アームが短剣を投げてくれたのか。

私は素早く手の近くに転がってきた短剣を手にすると、私の身体を覆う網を切り裂いた。

足元の網も切り裂き体に力を入れると体が自由に動き始めた。


ベクターがムラマサの剣を構えた。

「さらばリチャード。無駄なことよ。そんな短剣では私に太刀打ちできない。

このムラマサの剣でとどめだ」

リチャードの頭上に剣を振りかざす。

マリナが叫ぶ。

「リチャード」

ルシアとアームも叫ぶ。

「リチャード様」

身体に力がみなぎってくる。

ベクターが振り下ろす剣も、ゆっくりとスローモーションのように見える。

バシッという音がした。

ベクターが振りかざしたムラマサ剣は、私が両手で受け止めていた。

(真剣白刃取り!)

わたしはそのまま剣を押し返す。

「手が痺れる。何だ、これは」

ベクターの顔が歪む。

顔が苦痛に歪んだベクターが思わず剣から手を外した。

真剣白刃取りでムラマサの剣を両手で素手のまま受け止めていた私は、ベクターから剣を奪い返した。


私はマリナに駆け寄り、ムラマサの剣で、マリナを動けなくしている網を取り除いた。

マリナは涙を浮かべて私に抱きついた。

ワンピースの後ろがぱっくりと開いてしまっている。

マリナの背中の紋章のような痣が見える。

ベクターがアリシアのほうに寄って行った。

「アリシア、早く檻の木枠も、もう一度降ろせ、こいつらを閉じ込めろ」

無表情のアリシアがマリナを見て驚いている。

ダンジョンの地面も小刻みに動き始めた。

「何が起きている?」


アリシアに近寄ったベクターは、何故かアリシアの足で蹴られてベクターは私の元に転がり込んできた。

転がったベクターがアリシアに尋ねている。

「どうした。アリシア。

私だ。私はリチャードではない。ベクターだぞ。

お前の愛人だ。いや結婚しよう」

アリシアの身体が大きくなってくる。

アリシアの妖艶な衣装が破れ始めている。

振動は更に大きくなった。

後ろの木枠も振動で外れて倒れた。

ルシアとアームがマリナと私の元に駆け寄る。

「リチャード様、マリナ様。ご無事ですか」

横でベクターが茫然としている。

地面の揺れは更に大きくなった。


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