第二十七話
穴を抜けると、アーカート山頂はすぐそこだった。
山頂の一番上に岩山があってその上が光っていた。
太陽の光に反射しているようだ。
マリナが山頂の岩山に駆けていく。
アームが心配そうにマリナを追いかける。
私はゆっくりと山頂の岩山を目指した。
(あの、光っているのが3つの神器の剣なのか)
ルシアも辺りを見回しながら私の後を歩いている。
アーカート山頂は、岩山以外の所は、木があまり生えていない。
(岩山の横の大樹だけだ。クスノキか?)
前からマリナの嬉しそうな声が聞こえてくる。
「早く、みんな。
この光っているのが、ムラマサの剣ね。」
あれ、抜けないわ。この剣、岩に刺さっているわ。
アーム、抜ける?」
マリナが光っている物に触っている。
アームもマリナに次いで、岩山の光っているものを引っこ抜こうと力を入れているのが見えた。
「マリナ様、これは固いですね。もう少し力が必要ですね」
やっと私も山頂の岩山の一番上に到着した。
「固いのか。これはまさしく剣だな。剣というより刃だな。
赤い龍の紋章がこの刃には見当たらないな」
私は岩山の光っている刃を両手で触ってゆっくり引き抜こうとした。
力はどれくらい必要かな。
引っ張ってみたが固くて抜けない。
(これがムラマサの剣なのか。
ただこれは剣の刃しかない。
剣の根元の茎の部分が無いぞ。
茎の部分はタングっていうのだったか)
ルシアがかなり遅れてやってきた。
「リチャード様、これをどうぞ
宝物みたいに美しい模様です」
ルシアが手に持っていたのは、赤い龍の紋章が刻印されたタングだった。
「どこにあった?」
「はい。あのクスノキの根元を掘り返すと、これがありました」
「どうして、この赤い龍の紋章が刻印されたものが埋まっていると分かった?」
「はい。リチャード様、さきほどの妖精レプラコーンが申しておりました。
あの妖精は宝の在り処を教えてくれると聞いたことがあります」
(あの小さなおっさんが教えてくれたのか)
私は、岩山に刺さっている刃と、ルシアが持っていた赤い龍の紋章が刻印されたタングをくっ付けてみた。
するとシャキーンという大きな音がした。
何か体の中から勇気を奮い立たせるような感覚が湧き上がってきた。
マリナが叫んだ
「リチャード、あなたが岩から剣を抜いたのよ。ついに3つの神器のうちの剣が手に入ったのよ。
リチャード何か感じるの?」
「体から漲る不思議な感覚はある」
空中で剣を素振りしてみたが特に何も起きなかった。
「前に折れたソードよりも重さを感じないし、使いやすそうだな。
それよりも剣を握ると力が満ち溢れて、剣を扱うのが上手になった気がするな」
マリナが宣言した。
「3つの神器のうち、これで、ティアラと剣の二つが手に入ったわ。
あとは赤いペンダントよ。
あの宿敵ベクターがペンダントに心当たりがあると言っていたよね。
ベクターはブラックアイランド島が縄張りだわ」
「そうだな、マリナ」
私は頷いた。
(やはりリーダはマリナだ)
「リチャード、舞踏会で首にペンダントを付けていたアリシアという女も、タキ司祭がブラックアイランド島に送ったと言っていたよね。
決まりよ。
次に行くべきところは、ブラックアイランド島よ。
そこに赤いペンダントがあるはずよ」
マリナがみんなを見渡した。
そして力強くリーダのように宣言した。
「ブラックアイランド島へ行くよ!」




