サイドK No.7
俺の前から卯月さんが消えた。
親父との電話で卯月さんが三上さんとの仲を誤解していることが分かった。
誤解を解く前に消えてしまった、だが幸い居場所は分かっている。
親父は面白がって、卯月さんの誤解を解こうとしない。
「どうせ、直接圭司が話をしないと誤解は解けないよ。早くこっちへ遊びにおいで。」
気は急くが、大学や学生にこれ以上迷惑は掛けられない。冬休みになるな。
卯月さんが誤解している三上さんは悠里の彼女だ。
悠里は大学卒業と同時に三上さんに猛アピールをはじめた。
在学中だと彼女に迷惑が掛かるという、配慮があったようだ。
こういう所が卯月さんと親子だなぁと思う。
卒業後、足繫く研究室へ通ってくる悠里と俺はいつの間にか仲良くなっていた。
何となく卯月さんと似た価値観を持った悠里は、俺にはとても親しみやすかった。
あんなに人に興味が無かったのに、卯月さん親子には特別だな。
夏祭りの前日、付き合い始めていた二人は初めての大喧嘩をした、俺は悠里からの電話で真夜中に三木さんを探す羽目になった。良く分からないが、この辺りで何か誤解が生じたのかもしれない。
そもそも悠里がさっさと三上さんを卯月さんに紹介していれば良かったのに、母親に気を使ってなかなか切り出せなったようだ。
俺にとって卯月さんの存在は最初から異質だった、理由も無く何故か存在が鮮やかだった。
強いて言うなら彼女の存在は『必然』、言葉にすればチープだと自分でも笑ってしまうが。
だから気が付けばいつも目で追っていた。
彼女を逃せば俺は一生孤独だ、誰かと寄り添って生きることは無いだろう。
さあ、冬までに体制を整え迎えに行こう。
残すところエピローグのみです。
お付き合い頂きありがとうございました。




