サイドK No.6
嘘だ!!彼女の口から辞めたいと言われた。俺は目の前が真っ暗になるのを感じた。
「スペインへ移住しようと思う。」と彼女は言った。
スペイン?親父か?彼女はスペインで親父の店へ行き、観光案内もしてもらったと言っていた。
親父は昔から正直に生きている、俺は親父のような生き方が怖かった。
親父と彼女に何か共通点があるような気がしていた。何だろう物を見る時の捉え方かな?
年こそ少し離れてはいるが、似合いな二人だ。
この前、悠里と話をした時にはそんなこと微塵も言ってなかったのに。
俺は卯月さんのこと思い出した訳ではない。
ただ俺は今の彼女に恋をしている。多分記憶を失う前の俺も彼女に恋をしていたのだと思う。
こんなに誰かを欲したのは初めてな気がする。傍にいて欲しい、愛して欲しい、俺だけを見て欲しい。
求めても手に入らない、俺は諦めるしかないのか?
そんなことを思いながら卯月さんを送って帰宅途中。
「圭司さん。」
目の前に加奈ちゃんが立っていた。
「こんな遅くにどうした?」
「圭司さんと話がしたくて。」
「今何時だと思ってる?日を改めて、送っていくから。」
「部屋へ上げてくれないの?」
「散らかってるし。」嘘だ、加奈ちゃんの気持ちを知った今、彼女を俺の部屋に上げるのは得策ではない。
「散らかってても良いから。」
押し問答をしながらタクシーを拾うため、大通りへ向かっていた。深夜といえ、この通りは車が多い、ここなら流しのタクシーが拾える。
タクシーを拾うとする俺に「もう、いい!!」加奈ちゃんは怒って俺の手を振りほどいた。
バランスを崩し車道へ倒れ掛込む彼女。
俺は咄嗟に加奈ちゃんを力いっぱいい引き寄せる、反動で俺が車道へ倒れ込んだ。
車が突っ込んでくるのが見えた。
ヤバイ、俺死ぬかな?最後に卯月さんに逢いたかったな。
こんなことになるなら、愛してるって伝えれば良かった。
そこで俺の意識は途絶えた。
最後までお付き合いありがとうございます。
面白いと思って頂けたら、ブックマークや★をお願いします。励みになります!




