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怪しい雲行き

 それからケイジ先生は2代目マスターとなり『甘雨』は再会した。

カウンターには初代マスターの写真が飾ってある。毎日、一杯目の珈琲はマスターに供える。

私達は二人になっても意外に上手くやっていた。

ケイジ先生の淹れる珈琲はマスターのと同じような手順にも関わらず、味は少し異なる。

しかし、不思議とそれはそれで美味しいのだ。


 常連客も息子や孫みたいな新マスターを暖かい目でみていてくれる。

半年経って私もメニューの半分位はなんとか合格点でお客様に提供できるようになっていた。

私達はこのお店を残していけると自負しはじめていた。



 今年も残暑が厳しい。その頃私の中に芽生えた小さな不安。

小さかった不安は秋の夜長と共に大きくなっていった。

原因はケイジ先生の匂いだ。匂いに敏感なケイジ先生なのに、最近ほのかに香水の匂いがするのだ。

最初は気のせいかと思っていたが、、、どうもそうではないようだ。

いつも決まって同じ香水。しかもこの香りには覚えがあった。

そう、加奈ちゃんが纏っていた香り。


 私は踏み込んだことも聞けず、ただやり場のない不安を嫌悪感へすり替えていた。

嫌いな訳ないのに、嫌いになれるはずも訳ないのに、どうしても元夫との出来事が脳裏をよぎる。

主張する香は、日々私の神経を擦り減らいていった。

元々強い絆があるわけでも無い私達。不穏な空気が流れるのにそんなに長い時間はかからなかった。

私は低くなってきていた心の壁をまた高く積み上げ始めた。

先生は私の態度に困惑していた、でもお互い踏み込んだことは絶対に口にできない。

不仲は不注意を招き、不注意は狭量を招く、狭量は不信感を招く。


 負のスパイラルが起こっていたある日、ケイジ先生がいつもの時間になっても来ない。

不安な気持ちで携帯へ電話を掛けるも、無情に呼び出し音が鳴るだけ。

そんな時、私の携帯に見知らぬ番号からの着信。

いつものなら無視るのだが「はい」

「佐田君のお母様ですか?」

「はい」

「加奈です。実はケイジさんが私をかばって刺されて、今は深田総合病院です。」

「えっ!先生は無事なんですか?」

「ケガは軽傷ですが、揉みあった際、倒れて頭を打って記憶があやふやなんです。」

「えっ!今すぐ行ってもいいですか?」

「今は家族以外は面会できないので、ご遠慮ください。

取り敢えずお店はしばらく臨時休業でお願いします。」

「何があったんですか?」

「部外者の貴方に教える必要はないと思います。様子をみて連絡します。」

私に反論する余地も無く、受け入れるしかなかった。

最後までお付き合いありがとうございます。

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