序章
人は皆生まれた時にガチャを回して誕生してくる。
容姿や身体能力、知能や記憶力など様々な要素が絡み合って誕生するがそれらは決して自分で選ぶ事は出来ない。
ましてや生まれて来る国や育つ環境、親だってそうだ。親が金持ちならば其処に生まれた子はスタートダッシュだって可能だろう?
しかしごく稀に異能と呼ばれる現実離れした能力を兼ね備えて誕生する人間もいる。
異質故の能力は人を幸福にするのか不幸へと誘うものなのか。
生まれ持った才を活かすも殺すもそれは人生を通じてあなた達が自分で見極め育んでいく事であると私は思う。
何の為に生き何の為に死ぬのか?
君達には悔いなき人生を歩んで欲しい。
まだ見ぬ明日に。
足が臭いのです。
常に猛烈な異臭を放っています。
正確に言うと指と指の間かな。。
(うふふっ)
私が靴を脱げば瞬間匂いが立ち上り、その異臭が鼻をつん裂き目の前の空間が歪む気がするくらい。
(気持ち悪い笑いを挟んでごめんなさい)
(話しをしたら楽しくなっちゃって)
とまぁ皆さんも足の匂いは気になるよね。けど私の場合は人並み外れて規格外。モンスターなんだよね(Heart)でも匂いがキツイと実感したのはまだ最近の事でさ。
今まで周りの人達が私に対して接する態度が何故か変だなって感じてはいたのだけれど‥‥
そうそう、そんな私も先日30才になりました。驚く勿れ足指も30本目が生えました。
(というのは冗談ね)
何故これ程迄に足が臭いのだろうか?しかし産まれた時から臭かったのではなくて…
変化点はいつなのだろうかと臭い足を慣れた手つきで洗いながら、私は足指の間に煌めく幾つもの石鹸の泡を見つめていた。
(うふふっ30粒くらいあるかな)
私の足のそれが他者のそれとは違い非常にそれと気付くには、恥ずかしながら30年ものそれが費やされており、その間周囲の冷たい視線に晒され続けて…は言わなくてもわかるよね、、
(私の目から涙が溢れてこぼれ落ちる)
(粘っこい鼻水も混ざって2割増し増し)
話を戻すと、幼少期から成人に至る現在まで、私が足の臭いに何の疑問も抱かず暮らしてきたのには複雑な理由もあり特に育った環境に問題があったのですが話すと長くなる為今回は割愛させていただきます。
(またの機会があればお付き合いください)
ぶっちゃけ言うと嗅ぎなれた匂いに脳が麻痺状態でどうやら中毒になっていたらしく、自身の香りに対して何の疑問も抱かなかったと言わざるを得ません!
それは例えると、怖い物見たさで幽霊屋敷に赴く若者達の心理や、あえて深爪にする事で刺激を快感に覚える事柄と同じで、環境からくる危険や危機、強い刺激から自身へのダメージを軽減させる為に脳が発した快楽物質の及ぼす効果により自分は常に守られ耐性を会得したマイスターな存在に似ている。(?)
重要な事は「幼い頃から足の臭いに対し慣れていた」という事実のみでありマッスル。
マッチョは足臭いと思ってて
(私個人の感想です)
カーリングのお姉さんが突然足臭になってたらそういう事。((そだねー))
ここからは読者サービスの時間
皆様ここまで長く私の話を聞いてくれてありがとう。
30才の足臭い奴だけど見た目は最高に美しいプロポーションで女性なんですよ! 自分で言うのも何だけどかなりの美形で今でもJDでしょとか言われちゃいます。
しかも全裸でお風呂で足指の間をゴシゴシしてますの。うふふっちょっと興奮した?足が臭くても近寄らなければ問題なくてよ♪うふふふふふ…ティッシュ!
ここで読者サービスはお終い
―残念だけど30過ぎたおっさんでした。
♩臭足のお手入れワンポイントレッスン♩
①温めの湯を洗面器に半分ほど入れたら柔らかめのスポンジを浸して下さい。
②スポンジの湯を軽く絞り石鹸を泡立たせながら含ませてください。
③スポンジを数回モミモミし感触を楽しんでください。
④親指側から全ての指を満遍なく擦って いきましょう。指の間は入念に爪も必ず洗う事。
⑤最後に足の裏を洗います。
⑥左足と右足を交互に3回繰り返しましょう。
⑦シャワーを使い石鹸を綺麗に洗い流します。お湯より冷たい水のが気持ち良かとです。
ここまでが毎日の日課、ルーティンワークも楽じゃねぇ!!(まぁ綺麗になる事は喜ばしいから)
臭いも汚れも疲れも全てお湯に流そう…
あっしはしがないサボリーマン、いわゆる社畜と呼ばれるサラリーマン。何も取り柄ないから出世はしないし彼女もいない髪の毛だって少ないぜ!数年後にはツルリーマン!しかも足がクセェときた日にゃぁお天と様も顰めっ面で鼻も曲がるとくらぁ!
こちとら天下の江戸っ子ヨォ皆さんお控えなすっテェ!
ん…?まだ指の間に泡が残ってるな。
よく見ると指の合間に幾つもの泡が煌めいている。おかしいな、シャワーで流した筈なのだが?
私は今度は湯船から大きめの柄杓で湯をすくうと足に向けてぶっかけた。泡はお湯と共に流れてゆく。
「さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!」
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふっ30粒くらいあるかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいあるかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ35粒くらいかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ50粒はないかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ50粒はないかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ50粒はないかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(うふふ50粒はないかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めていた。(50粒はないかなぁ)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの石鹸の泡を眺めると湯船から湯を掬い足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
(うふふ)
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく幾つもの泡を眺めると湯船から湯を掬い足に向けて降り注ぐ。(うふふっ)
さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
いつもの様に煌めく泡を眺めると湯船から湯を掬い足に向けて降り注ぐ。さらば異臭よ、泡と共に永遠となれ!
煌めく泡を湯で洗い流しながら(うふふ)泡が…
うふふふふふふふふひ泡がふひひひひひひ永遠に泡がふひひひっあわわわわふひひひ流れていく…
永遠に泡がふひひひ泡がふひひひうふうううう流れて眺めていひひひひふふふ永遠になれぇぇぇぇx
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく石鹸の泡を眺めていた。(うふふ30粒くらいあった…よねぇ?)
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
うふふ、さらば異臭よ泡と共に永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら指の合間に煌めく無数の泡がふひひひ煌めいている。さらば異臭よ泡と共に永遠となれ!
ふひひひひひひ泡と異臭よ永遠に!うふふふふふふふふひあははあはあははひひひふふふ〜ーーーーえいえんんんんんんんんんんんんっうふふふじゅびゅうるうううううういいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあーーーーーーーふうううううううううううううぇいいいいいいいいい
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら、指の合間に煌めく石鹸の泡を眺めていた(うふふふふふふふふ30粒くらいかなぁ…)
湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
さらば異臭よっ(?永遠となれ!
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら、指の合間に煌めく石鹸の泡を眺めると私は不思議な感覚に覚えた。この感じ前にも同じ事があった様な……
私は湯船から湯を掬うと足に向けて降り注ぐ。
臭い匂いよ、泡と共に永遠となれ!(?)
いつもの様に臭い足を慣れた手つきで洗いながら、指の合間に煌めく石鹸の泡を眺めていた私は以前にも同じ事を繰り返していた気がしていた。(足洗うのは日課だから気のせいだろう)
何か釈然としないまま湯船から湯を掬うと私は足に向けて降り注ぐ。臭い匂いよ、泡と共に永猿と慣れ!!
いつもの様に足を洗う私はこの光景がデジャヴである事に気付く。
「これ何度も経験してる、確か泡を数えると30粒くらいあってだな…」
恐る恐る指の合間を見てみると記憶で見た通り石鹸の泡が30粒ほどあるのがわかる。
漠然とした記憶は確信となり私は武者震いをしていた。
確かにこの後私は足に湯をかける。
すると場面はループしてまた足を洗う最初のシーンに戻っていたに違いない。
何度も何度も何度もだ。
軽く目眩がしたけれど兎に角この奇妙な現象から早く抜け出したい一心で私は叫んでいた。
「臭い匂いよ、泡と共に永遠に消え去ってしまえ!」
そう言いながら足に向かって掬ったばかりの湯をぶちまけた。
シュバババババッ
次の瞬間私の身体は圧倒的な光に包まれていた。
何も見えない!感じるのは光!熱い!いや、冷たいのか?くそっどうなってるんだ!わからない何も見えないし声も出ないぞ!私は一体どうなったんだ!
白く輝く光に包まれている感覚だけが私の存在を証明している。(アンビリーバボー!)
時間にしたら1秒も経っていないはずなのに私にしたら数分以上の間隔に感じた。(世にも奇妙な物語?)
「アンビリーにキミョウ」byたけモリ
あまりに突然の出来事に動揺はしたが、不思議と徐々に慣れてくるから奇妙なものだ。(意外と適応能力は高いのかも知れない。)
子供の頃に友達とかくれんぼをしていた時もそうだったな。
当時仲のよかった3人で廃屋の物置小屋に潜んだ事がある。その時入口の外側に立て掛けられていたクワが倒れてドアが開かなくなり閉じ込められるという事件が起きた。
友人達がパニックで大泣きしていたのを尻目に私は妙に落ち着いた態度でモールス信号を操り左手を耳に当てながら右手の人差し指で壁をトントントン、トントントンとリズム良く叩いていた。(小学生低学年だった私のモールス信号は出鱈目だが気分はとても良かったウッホホーィ)
後日談だが、小屋の近くを通った住人が子供の泣き声に気付き私達は無事に救出されたそうだ。
残念ながら私の3回トントントンと叩く音がS•O•Sだった事は誰も知る由も無い(ウホッ)
……………………………………………………………
改めて落ち着きを取り戻した私は、自分の置かれている状況を整理してみた。
確かここに来る前はいつもの様に風呂で足を洗っていた。すると突然周囲が光って何も無い空間にボンヤリと存在してます。(は?)
非現実
こんなの初めてだし、表現むっず。
あぁきっとこれは夢なのだろうzzzZ
「そう言えばつい先程まで風呂に居たんだよな」
声にならない声を発しながら周りをゆっくりと見回してみる。(実際に頭を動かしたわけではなく、意識のみが振り向くと言えば伝わるだろうか)
やはり自分の周囲360°何処を見渡しても白く輝く空間以外何もなく、わかるのは自分の存在のみである。
無限に広がる空間に自分だけが存在しているのだろうか…静寂、人の声も街の喧騒も自然が奏でる風の音も何もかも聞こえない、無音。
自分の吐く息も鼓動も何も感じない。しかし自分の存在は認識できている。奇妙な感覚だが不思議と怖さはないし心も落ち着いている。(やっぱしこれは夢だな)
待てよ?夢だとしたら風呂場で気を失っているのだろうか?そうだとしたら早く目を覚さないと本当に危険だぞ…現状置かれている自分の状況を鑑みたら少し焦りを感じた。私は早る気持ちを抑えられず自分自身に意識を向けていく。
……おかしい…一向に夢が終わらない…もしかすると既に私は死んでいるのかも知れない、ふとそんな不安が頭をよぎる。足を洗っていた時に意識を失い、そのまま倒れて頭を強く打ち付けたのだろうか、(もしや死んだのか? )
最悪の不安が脳裏を掠めたが気を失っているとしたらいつまでものんびりしている訳には行かない。なんせ裸だしな。誰かに発見されたらいい笑い者になる。
どれくらい時が経ったのだろうか、現実世界でのやり残した事、家族や友人仕事から様々な事を考えていた。1番の気掛かりはパソコンの中の秘密のデータや検索履歴です。
恥ずかしいな、私を取り巻く光の周囲が一瞬ピンク色に染まる。(アニメヒロインをモデルにして生成AIで作成したオリジナル美少女をコスプレさせた画像を数千枚所持しているし、猥褻な画像もウッフン所持している)
ん?周囲の光にもボンヤリとした部分がある事に気付いた。白く輝く空間の中で赤色の影が揺らいでいるのがわかる。私はそこに意識を向けてみるが、自分では動く事も音を出す事も出来ないのでやはり何も変化は起きない。
ボンヤリとした赤色の影を観察しているとそれは時に明滅したり濃い赤になったり薄い青が混じったりとまるで感情に合わせ色が変化している様に見えた。
(もしかするとあの赤い影も私と同じ様な状態の人間なのだろうか?)
暫く赤く揺らめく影を見ていた私はふと一つの結論に達した。
あの影が私と同じ魂の様な存在だとしたら、自分は既に死んでる事になる。
やはり自分は風呂の最中に何かしらの理由で死亡して魂だけが死後の世界に来ている事になる。
一つの結論に辿り着き、私は怒りに似た感情がふつふつと湧き上がって来る。
「生きている間にやり残した事は沢山ある。現世に残して来た母親も心配だし仕事も中途半端だ。クソっ納得できねーよ」
私の影が強く揺らめく。
ツーーーーッ ‼︎!
突然金属音と電子音が混ざった甲高い音が頭の中に直接鳴り響く。
と同時に目の前の空間に筋が入った。
筋は徐々に大きくなり空間が裂ける様に開いていく。まるで空間が大きな口を開け始めたかに感じたのも束の間、裂け目から光の粒を流しながら現れたのは巨大な瞳だった。無機質にこちらを見つめている。
大きな瞳を見上げる私はまるで宇宙空間の最前列で巨大なスクリーンを見ているような錯覚を覚えた。早まる胸の鼓動がこの異常さを物語っているが既に少々の事では驚かない自分もいた。
「キャァァァッーーーーーーーーーーッ」
今度はなんだ?!突然目の前の巨大な目が叫び声を上げた。
「キィィィィッィャァアァァーーーーーーーーー!ーーーー!!ーーッァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーー!ーキャアアァァッァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキャァァッァァァッィイィィィイヤアアアアアアアアアキャアアアアアアアアアァッァ!ァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!ーーーーーーーーーーーキキキキャァッァァァァァーーーー!!!キャァーーーーー!ィィイイイイイイヤアアアアアァァァッァ!ア!キィィィィッィ!キャァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
何て声だ!頭がぶっ壊れる!!世界が震えているのがわかる程だ!!
「もうやめてくれ!!!」
私は必死に叫んでいた!!痛い、壊れる、壊れる!!もしも身体があったならば全身の穴から血を吹き出し転がり回るほどの衝撃、巨大な見えない鞭で身体中を何度も何度も叩かれている気がした
「痛い痛い痛い痛い」「死ぬ…死ぬ死ぬしぬぅぅ」「痛い痛いいいいいいい痛い痛い痛いいいいい痛いっやめてぇ痛いいい!」脳みそがぐちゃぐちゃになるぞ!
「キィィィッキャァァアアアアアアアアアアアアアア、キャアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!キャァァァァ!!!!!!!!!!!キィィィィーーーーーイヤァアアアー!キャァーーーーーーーーーーキィャァァァァッァァァアアアキャァァァァァァィィィャァァアアアアアアア!ーーーーーーーーーャャァヤァアアアアアア…!」
叫び声の質が変わった。臭い胃液の底なし沼で溺れる私の身体に気持ち悪いそれは入り込んでくる。全身の穴から入り込んで目も鼻も口も塞ぎ、毛穴からも侵入してくる感覚、血管を伝わって脳も侵食されていく、痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い臭いし痒い痒い臭いぐぅ痒いぃうぐぅ
「グボォ」私は泣きながら嘔吐し続ける、
身体は無いのであくまでも生きていた時の感覚だが、意識のみでそれを体験しているのだから寧ろタチが悪い。逃げたくても逃げれない、鳴り止まぬ叫び声に私の心臓が押しつぶされていくのがわかる、
「もう…や、めぇ…て…」「やめでぇ!」
私は嘔吐し続ける、「寒い」「ギもぢ悪い」「ウゲッェ」
(私の影は薄くなり今にも消えそうになっていた)
「キキキキ」「キキキキィィィィィィイィ…イ…イ…イィィィキャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーァーーーーーーーーギギギギギギギイッギイギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキャァァァァッァアアツkyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaキキキキキッィヤアアアアアアぁぁぁあ〝ァーーーーーーーーーーーーーーギャァーーーーーーーーギィィイイイイイヤアアアアアア!!!!!!!!!ギャアアギャァァァァァァァ!!!!!!!!!!!ぎゃぁぁっ!ぁぁぁ」
更に叫び声の質が変わる。
まるで地獄の底へ引きづり込もうと全身に絡みつく呪いが私を蝕む。
「一一ッ」
私は声にならない叫び声を上げた。
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いっぉぉっ怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いこぅぃ怖いぃ」
私の全身は恐怖で震えていた。
その様子はわざと大きくリアクションをしている様にすら見える。ガチガチと歯をならし、尿を垂れ流す。情けなく泣き喚き、うずくまる。両耳の後ろから大きな闇が近づき私の意識を鷲掴みにしている。闇は私の中に入り込み内側から私を押し潰すのだろう。
「助けてくだひゃいぃ怖いよ、怖いよ怖いよ助けて助けて助けてぇ助けて助けてたすうううううけええええてええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!怖い助けぇきわいいいいいい怖いいいから助けてぇええええええ、らひゅけてくひゅしゃいーーーーーこわいよぉおおおおお」心臓が恐怖で潰れて鼓動が停止しそうになっていた。
「うぎゃっぅいぃい」
断末魔の叫びを発して私の意識は薄れていく…
「「死」 「に」 「た」 「ぃ」」
まさに今、私は消えようとしていた。蝋燭の炎が消える瞬間のそれに似ている。
死を覚悟した私の恐怖に歪む視界の片隅に、偶然にもあの赤い影が見えた。私と同じくその影も薄く小さくなっている。瞬きする間にも消えてしまいそうだ。
しかし今の私にはそんな事を気にする余裕も必要も無くなっていた。ただわかっているのは自分と同じ様にあの赤い影も消える運命にあり、直にそうなるのであろうという事だった。散々傷め付けられた私達には抗う気力も体力も残ってなどいなかった。
(あれ程の苦痛は鍛え上げられた精鋭の軍人ですら泣いて許しを乞い、意識も保てず正気を失う)
ーーーーー虚無ーーーー私の光が消えーーー
魂の灯火が消えるその時、ふと脳裏に過去の映像が流れてきた。
それは幼い頃の思い出から始まる。
まだ若く美しい母が優しく私を抱きしめてくれている。笑顔で私の足を毎日洗っていた優しい母。中学生になると上履きの臭いが気になり同じ物を3つ購入して毎日持って帰っては洗っていた。
3つ購入したのは万が一乾かなかった時の保険ですが何か?
高校を卒業する日ずっと片想いしていたサッカー部のマネージャーに勇気を出して告白したけれど「匂いが無理」と言われ振られた話。
就職し暫くしたら水虫になり足の臭みが増したこと(今時高卒とかもっと勉強しときゃ良かったな)
工場に就職して夜勤やって残業して…疲れて帰宅しても毎日足を綺麗に洗っていた「座右の銘は石の上にも三年生」
数々の走馬灯が脳裏を過ぎてゆく
「毎日毎日足のケアを欠かさずしてたよね」(涙)
‥‥おい‥‥おいおいおい‥‥‥おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいぴおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいぴおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいぴおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいぴおいおいおいおいおいおいぴおいおいおいおいぽおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぽおおおおおおおおおぽおおおおおおおおかしーだろうが!おかしいだろう?!
そもそも走馬灯って死ぬ前に見る物じゃん?何で死んでから見てんねん!
足臭え思い出ばかりだしな!で死んだら地獄?
(生きていた頃は辛い思い出ばかり、せめて死んだ後くらい天国行かせてよ神様)
目前で尚も叫び続けていた巨大な瞳はいやらしくニヤリと笑った。あぁアレは目が口で私を嘲っているのか・・プツン
私の中で何かが切れた
テメェみたいな化け物に舐められたままで終われるかよ!いつまでも舐められたままでいられるかよ!テメエに舐められたまま終われねえよ!
私は怒りに任せ瞳に向かって堰を切ったようにぶちまけた!
「い、いつまでなめてんひゃラメェ!」
・・・噛んだ。
台詞も恥ずかしい感じになってて切ない。
一瞬私の影がピンクに染まる
「ぷひゅっ」
目前の巨大な瞳が一瞬笑ったように見えた。瞳はグニャグニャと姿を変化させていく。次は何が起きるんだ?焦燥し切っているのだが肉体が無いせいで疲労を感じる事も無い。
黙って見守るしか無い私達にはお構いもせずグニャグニャになったソレはゆっくりと時計回りに回転を始めた。
まるで周囲の空間を引き摺り込むかの如く一点へと集約されていく。
みるみるうちに回転が速まるとやがてテニスボール程まで小さくなった。完全な球状となった物体は血の様に赤黒く鈍い光を放っている。
ピシッ
ガラスにヒビが入った音がしたと同時に球体の中心に一本の光の筋が入った。ミシミシと音をたてながら筋が広がっていく。中から光の粒がこぼれ落ち、中から輝く瞳が現れた。
私「・・・」
瞳「・・・」
複雑な気持ちを払拭出来ずにいる私だが、この瞳には先程地獄を味わわされているので自然と身構えてしまう。
瞳「よくぞ試練を乗り切ったな。」
「先ずは褒美として主らに姿を与えよう。」
宙に浮く瞳は私達を見下ろしながらそう語りかけると軽くウインクした。
これは?
いつの間にか私は姿を取り戻している。両腕を伸ばすと手のひらが見え、しっかりと指が10本確かに確認できた。試しにグッパーを繰り返す。
「身体があるぞ!」
両腕を見て私がそう叫ぶと同時に背後から悲鳴が聞こえた。
「キャァ、やだッ何で裸なの!」
裸と言うキーワードに反応し神速で振り向いた私の目に飛び込んで来たのは美しい金髪が肩まで伸びた、素敵な女性の全裸だったら嬉しいのだが、割とラフな格好をした20代前半くらいの女性だった。
「こっち振り向かないでよっ!」
「変態!」
言うと同時に私の右頬に女性の平手打ちが炸裂していた。
衝撃で吹っ飛んだ私
何故裸なのは自分だけと言う現実に戸惑いは隠せないが敢えて冷静に対応するのが大人ってものだ。
ダダダン・ダン・ダ・ダン♪ダダダン・ダン・ダ・ダン♪
一糸纏わぬ私は俯き加減で片膝と右手の拳を地面に当てると某有名な映画のワンシーンを彷彿とさせる。まるで未来からテレポートして来たサイボーグさながらに目を赤く光らせた。
「安心してください、履いてますよ」
瞳「履いてねーよ」
女性「見えたし」
私「…」
私は地面に付けていた右手をそのまま額に当てると考える人のポーズをとった。
暫しの沈黙が続き、身動きが出来ずにいた私を見兼ねたのか小さくなった瞳が声を発した。
瞳「これで良いじゃろか」
いつの間にか3つに分裂した瞳が私の股間と両乳首に張り付いている。
徐に立ち上がった私は自身を確認するが身体の3箇所に目があるヤバい絵面となっていて複雑な気持ちになる。
私は股間に張り付いている瞳を鷲掴み、引き剥がそうと力一杯引っ張るがまるで外れない。胸の二つも剥がそうとしてみたが外れる気配はなさそうだ。
「ねぇ、試しにくすぐってみたらどうかな?外れるかもしれない」
股間に張り付いた瞳と格闘する私を見て女性がもどかしそうに話しかけて来た。
「あぁ君か、すまないね。お見苦しいところをお見せしてしまった」
私は脚を広げて股間の瞳を軽く叩いた。
「自分で外そうとしても無理みたいだ。」
「試しに君が外してくれないかな?押してもダメなら引いてみろってね」
女性は恐る恐る近寄って来ると私の股間に顔を近づけて瞳をやらしく撫で回した。(妄想)
若い女性を近くで観察していると、凄く良い香りがした。真剣な眼差しは吸い込まれそうに綺麗でたまに震える柔らかそうな唇は自然なピンクで艶がある。
年は20代前半で肌は透き通る様に白く美しい。髪型は肩にかかるくらいのセミロング。ラフなスウェット姿で自室で過ごしていた格好だろうか。
謎の金髪美女お人好しさんは、裸のおっさんが自分を品定めしている事とはつゆ知らず股間に張り付いた瞳を外そうと、一生懸命撫でたり擦ったりしている。
夢中になっているのか私の股間に顔が近い。彼女の吐息が私の股間に吹きかかる。
(彼女の白い肌に薄っすらと浮かぶ汗が艶やかで‥)
彼女は瞳を外そうと一生懸命で頬も紅潮しほんのりピンク色がとても可愛い。
「ん•・ふぅ‥はぁ、」
額に汗が光る。その眼差しは真剣そのものである。
(ん、ふぅはぁぁ)←私は興奮したのか?
気づいたら私の息子はおっきく立派に立ち上がり自己主張をしていた。
私を守っていた瞳の大きさと言えば、先程三体に分裂はしたけれど大きさ自体はテニスボール程だったのでそもそも完全には隠し切れてはおらず、今回のこれは完全にアウトでしょう、完全に終わった。
ニヤけた瞳を優しい手つきで擦っていた彼女は手を止めて視線を外し上へと向ける。
―終了―
(私の主張を完全に見られた)
「#\#=‘=“*•36%$|>?.#=]4「¥9!・せ83%€21{*^’|}%*」
しかし股間(の瞳)が意味不明な声を発すると言葉が四角い吹き出しになって私の主張を覆い隠した。
「え!?一体どうしたの?瞳から吹き出しが出て来た?」
彼女は驚いた様子で身じろぐと吹き出しと瞳をポカンと見つめている。
(あと少しで私のナニが自己主張すぎる現場を目撃されるところだった‥。)
冷や汗が止まらない私はひとまず安堵する。
「あ、文字が変わった!」
どうやら吹き出しの文字が変わったようだ
「うーん、なんて書いてあるんだろう。読めるよ‥えっとぉ‥」
読みずらいから動かないでねと念を押し、彼女は吹き出しの中を覗き込みながら中の文字を声に出して読み始めた。
「自主規制中。暫くお待ちくださいませ」
「って書いてあるけど?」
彼女は首を傾けながら両手を顔の横まで持ち上げるジェスチャーをした。
…………………………………………………
…………………………………………
賢者タイムさながらに心を落ち着かせた私の股間から吹き出しは無くなり元の球体目玉状態に戻っていた。
何も無い空間に体育座りで考え込んでいた彼女が私に向かって話しかけて来た。
「さっきその目玉って喋ったよね!?」
「何で忘れてたんだろうあたし」
「そもそも何なのそれ?」
「もしかして悪魔?」
「天使ではなさそう‥見た感じだけど」
「話せるなら言葉通じるよね、何で今こうなってるのか教えてよ!」
「何なのよいったい」
「それにあなたは誰なの?」
「キモいけどイケメン?」
「目玉が怖いんだけど」
「もー帰りたい!」
「黙ってないでなんか言ってよ、」
彼女は一気に捲し立てると両膝に顔を埋めてしまった。
泣いているのか?
女性の言葉に腑に落ちないところもあったが彼女の言い分は痛い程わかるので、兎に角冷静に私は瞳に語りかけてみる事にした。
「なぁ目玉さんよ、君の目的は何なのかな」
「私や彼女は突然こんな所に連れてこられ随分と酷い事をされたんだぜ。」
「説明くらいしてくれても構わないだろう?」
瞳は黙って聞いていた(たまに瞬きする)
「ここが地獄ならせめて彼女だけでも帰してあげて欲しい。」
私は心からそう願う
こんな美しく可愛い女性が苦しむ様を見てはいられないからな。
顔を埋めていた彼女が上目遣いでこちらを見てから少し照れた様子で声をかけて来た。
「ありがとう。お兄さんかっこいいよ」
「さっきは殴っちゃってごめん。」
ゴニョゴニョとそう言うと彼女はまた膝の間に顔を埋めた。耳は真っ赤に染まっている。(きゃわいい)
生まれて初めて男として認められた気がする。俺はもっとモテたい!!この娘にモテたい恋したい!
30になるまで色恋に無縁だった童貞の俺には一度盛り上がった感情を抑える事は出来ないし本気になった気がする。
本気と書いてマジと読ませてBe My Baby
俺は瞳の方へ振り返ると考えうる最高のイケメンポーズで言い放つ。
「恋を止めないで!」
しーーーーーーーーん
瞳は白目を剥いて寝ていた。ご丁寧にzzzの文字も出ている。(ズコーッ)
パチっと目を覚ました三体の瞳は私からスーッと離れ合体し空中に浮かぶ。
瞳が離れた私は何故かグンゼのパンツを履いてる。
突如ギョロリと瞳が私の方を見た。
ハッと身構える私。
にゅるりと白目に戻る瞳。
一歩近づく私。
ギョロリと私を睨む瞳。
ハッと身構え硬直する私。
にゅるりと白目に戻る瞳。
また一歩瞳に近づく私。
ギョロリと私を見据えて睨む瞳。
ハッと身構えそのまま身構える私。
にゅるりと白目に戻る瞳。
一歩踏み出し瞳へ近づく私。
すぐさまギョロリと威嚇してくる瞳。
思わず二歩下がる私。
にゅるりと白目に戻る瞳。
ハイ!1日一歩3日で三歩、三歩あるいて二歩下がるハイ!ハイハイハイハイッ!
「動いたな」
妖怪目玉野郎がそう言い放つと金色に輝き出した。
うわっ熱い!凄まじい熱量だ!
直感で次に起きる事がヤバいとわかる。
目玉から光線が発射され私を貫こうと力を溜めているに違いない。(今までの流れ的にナンチャッテなパターンも十分に考えられるな)
しかしこのままだと彼女も一緒に撃たれてしまう。それだけは何としてでも避けなければならない。そう考えた私は咄嗟に横へと移動する。
「撃つなら俺だけにしろ‥」
……………ジュッ
私の上半身は一瞬で蒸発した。
残されたのは腰から下の下半身のみで、
今は脚だけが立っている状態である。
切断面は焼け爛れ傷口から蒸気が昇っておりその衝撃を現している。
凄まじい熱量で一瞬にして上半身が蒸発したからか、傷口は塞がり血の一滴も噴出していない。
肉の饐えた臭いに反応し彼女が悲痛な叫び声を上げた。
「キャァァァッァ!‼︎」
一瞬で下半身のみになった私を見てパニックに陥る女性。
瞳はそんな私達を眺めて愉快そうに高笑いを始めた。
「アハ、アハ、アハハハハハハハ!!」
イヤ、イヤイヤ、ヤダ、イヤ、イヤ、ァ
ァァァヤダよ、イヤァァァ!!!!
ギャァハハハハハハハ!アハハハハアハ!
叫び声と笑い声が交錯する‥
( ? )
( ? ? ?? ? )
何故私はここに居る?
死んだのにどうして彼女の叫び声が聞える?あの瞳の高笑いが聞えるのは何故なんだ?
あぁそうか、どうやら私は死んでいないらしい。
―視界が濁り良く見えない。
目を擦りたい衝動に駆られるが手が動かないどころか身動き一つ取れないので目を擦る事も出来ないでいる。
何よりも耐えがたいのは肉の焦げた香りが鼻を劈き吐き気を感じる事か。
『画面はパーンし私の全体像を写し出す』
ピョコっと私の腰の部分から頭部だけが生えていた。
正に生えていると言う表現がマッチしている。頭部は血塗れで頭が生えている境界からは鮮血がピュッピュと噴水の用に吹き出していた。
― 突如音楽が流れてくる
♪春のうららの 隅田川 のぼりくだりの 船人が 櫂のしずくも 花と散る ながめを何に たとふべき♪
少年少女合唱団の歌声に合わせて私の頭部が成長していく。ゆっくりゆっくりと歌声に合わせて右へ左へゆらゆらと成長していく。
♪見ずやあけぼの 露浴びて われにもの言う 桜木を 見ずや夕ぐれ 手をのべて われさしまねく 青柳を♪
2番が終わり血みどろの私がクネクネと成長し肩から両腕が生えて来ていた。
時折り骨がゴキゴキと鳴る音が恐怖を増長させる。
♪錦おりなす 長堤に 暮るればのぼる おぼろ月 げに一刻も 千金の ながめを何に たとふべき♪
血飛沫の中ゆらゆらクネクネと生え続ける私は全身が血で真っ赤に染まり‥
「ヒック、ヒック、ヒッヒッ、ヒヒィフッフ、フヒフヒフヒ」
私の様子を間近で直視した女性は恐怖で錯乱状態になり過呼吸を起こしている。
(結局私は君を守れないのか)
終始高笑いを続けていた悪魔が歌い出す。
♪眺めを何ににたとふべき♪
♪我差し招く赤柳♪
♪一刻も千金の眺めを何にたとふべき♪
「ギャァッハハハ!アーハッハハハハ!」
―悪魔は楽しそうに飛び跳ねる
先程の苦痛は肉体が無かったので耐える事が出来たが今回は違う。
命を弄ばれ、もう心が持たない‥
顔面血塗れの私の顔は涙の跡だけが綺麗に洗い流されていく。
瞳『い・た・だ・き・ま・ス』
目玉の悪魔が膨れるとメリッと大きく裂けた。中には真っ赤な舌と鋭い無数の牙がある。
薄れゆく意識の中、私が最期に見た光景は美しかった彼女が恐怖に顔を歪ませ涎を垂れ流しながら引きつり痙攣している映像だった。
―何も無い空間には軽快な咀嚼音がいつまでも鳴り響いていた。
ー 第一幕 -
完
第一幕 無事完結しました。
結局最後まで男の名前は明かされず‥女性は素性すら不明のままに(笑)
謎が多すぎて内容も意味不明過ぎ内容が無いよう‥ですね。
今後のシリーズを通じていつか2人の名前や接点など書ければ良いなと思っています。
第二幕では「強力」な能力の持ち主が登場予定。
悪魔(瞳)とは?異能とは?全貌は明かされるのか?
異能バトル小説「AA」続編の投稿はいつになるのやら‥
続編期待せずに待とう!