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第6話 お風呂一緒に入る? 

れい!」


 さっきまで不気味な笑みを浮かべながら漫画を読んでいたハズの氷翠ひすいが急に声を上げたので、俺は見てて分かるほど驚いてしまった。

 でもその事には触れてこず、彼女は言葉を続けた。


「お風呂一緒に入ろうよ!」

「無理」


 もちろん即答。女の子とお風呂とか、いろんな意味でマズい。


「ダメです。入りましょう」


 氷翠ひすいは俺の事を睨みながら、語勢を強くしてそう言った。

 どうやら俺に拒否権は無いようです。


「お前は一緒に入りたいのかよ」

「え? 私はどっちでも。でも、男の子は入りたいと思ってるんでしょ? さっき読んだ漫画に書いてたよ。……だから、れいが入りたいって言うなら入ってもいいけど?」


 彼女は右手に持っている漫画をこちらに見せつけるように、ひらひらと動かしてニヤッと笑った。

 ……これはラブコメ全般隠しておくべきだな。


「いや否定はしないが、少なくとも今は一緒に入りたくない」

「なにそれっ」


 自分の思いを正直に伝えると、今度はフッと鼻で笑われた。


「悪いかよ」

「別に。まあ、その時が来るのを待っとくよ」


 親指をピンと立てて、氷翠ひすいは嬉しそうに言った。


「……で、お風呂先に行く?」

「どっちでも」

「むぅ……。一番困る回答ですな」


 彼女は難しそうな顔をしながら、顎に手を当てて下を向いた。


「決まりそうにないし一緒に入らない?」

「入りたくないって言ってるだろ」

「私は別に一緒に入ってもいいんだけどぉぉぉぉ!?」


 そう叫びながら、ソファーに寝転んでいた俺の上に思いっきり飛び乗ってきた。


「ぐはっ……」

「れいぃぃぃ!」


 さらにギューっと体を絞めるように、俺に力強く抱きついてくる。


「分かった! じゃあ先に行ってください! 苦し……」


 順番を決めると抱きつくのを辞めてくれたが、氷翠ひすいは不機嫌そうに口を尖らせてこちらを睨んできた。


「……そう。じゃあ行ってくる」

「あ、はい」


 彼女の態度が少しおかしくなったのは気になったが、すぐにお風呂に向かってしまったので何も尋ねることは出来なかった。






◇ ◇ ◇






 俺がお風呂を出てくると、リビングにあるソファーでパジャマ姿でぐっすりと眠っている氷翠ひすいがいた。


「……寝てる」


 前にも同じ事があったような……。

 なんて思いながら、まだ早い時間だけど彼女を抱き上げて寝室へ連れて行った。

 そして、寝顔をじっくりと堪能しえから今度は起こさないように前回よりゆっくりと静かにドアを閉めた。

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