8、湊(みなと)に誤解されちゃった!?
「そうだったんだ。というかそれってもう両思いなんじゃないの?」
「そんなわけないよ。だって湊告白されても今は誰とも付き合う気ないって言ってたし。好きな人がいないってことでしょ?」
「そうなのかな?ってあっ!もうこんな時間だ。そろそろ教室戻らないと!ほら小鳥遊さんも急がないと!」
「そうだね。」
と言いながら私達は階段を下りて昇降口に向かった。ここに人があまり来ないのは教室からの道のりが遠いからだ。私達は教室の近くで別れた。
「じゃあまたね」
と言いながら樹くんは手を振っていた。私も
「うん。」
といいながら手を振った。私達は2人とも人見知りだけど仲良くなると結構すぐ馴染む性格だったこともあり私と樹くんはもう親友のようになっていた。2人とも他にまだ友達がいないと言うのもあったのかもしれない。放課後、湊と帰っていた。なんだか今日は少し機嫌が悪かった。すると湊が急に立ち止まった。そして
「莉久あのさ、公園寄ってかね?」
と言った。私は頷いて公園に向かった。2人でブランコにならんで座った。すると湊が口を開いた。
「あのさ、莉久って西条と付き合ってんの?それか西条のこと好きなのか?」
「えっ!なんで…。別に付き合ってないよ、好きでもないし!私が好きなのは…」
「好きなのは?」
「何でもない!て言うか何で付き合ってるって思ったの?」
「だって昼休み用があるって行ってなかなか戻ってこなかったから連絡したのに気づかないし予鈴ギリギリに戻ってくるし西条と手振ってたし。」
「はっ!それだけ?」
「莉久は優しいから無理して俺と登下校してるんだったら無理しなくて大丈夫だってことだ。でも、違うんならこれからも俺と一緒に登下校してくれるか?」
「当たり前じゃん!てか勝手に湊が勘違いしてただけでしょ。」
「悪かったよ、これからは気をつけるから。というかさっき言おうとした莉久の好きな人って結局、誰なんだ?」
「湊は知らなくていいっ!」
と言ってスタスタと歩いて家に向かった。
「なんだよそれ。俺はってことは西条は知ってるってことか。」
「だから、何でそこで樹くんが出てくるの?」
「名前で呼ぶぐらい仲いいんだ。へーそーなんだ。」
「湊それ以上言ったら許さないから。」
と言って私が睨むと「わっ、わかったよ」
家に帰ってご飯を食べてお風呂に浸かった。お風呂から上がると蒼空兄と咲久姉がリビングで喋っていた。私が部屋に入った瞬間、蒼空兄が走って駆け寄ってきた。私は
「な、何、蒼空兄どうしたの」
「に@*お¥って本当か?」
「え?何て?ちょっと咲久姉翻訳して」
「えっとね~西条くんって子と付き合ってるって本当か?だって」
「えっ!何?湊から聞いたの?違うに決まってんじゃん」
と私が言うと蒼空兄はやっと落ち着いたのか、私に
「いや俺のバスケ部の友達が言ってた。」
「うちの~友達も見たって言ってたよ。」
咲久姉も蒼空兄も私と同じ高校に通っている。
「西条樹って奴はバスケ部だろ?そいつは女子と喋ることはほとんどないって言っいた。だから廊下で仲良さげにしていたから付き合ってるんじゃないのかって。」
「違うよ。仲がいいだけだよ。っていう何で違う学年にも広まってるの?」
「まぁそれは西条くんがかっこいいからかな?うちの学年でも凄く人気があるんだよ。でも、話しかけても素っ気ないんだって」
「それは樹くんが人見知りなだけだよ。私もはじめの頃は凄い感じ悪かったんだから。」
「樹くん?」
「おおお、おいっ莉久!西条樹のこと名前で呼んでるのか?」
「そうだけど、それが何?」
「別に…、」
「そっ、あのさ咲久姉ちょっと相談があるんだけどいいかな…」
「莉久っ!いいに決まってるよ!私の部屋に行っといて。マシュマロココア持っていくから」
なぜか咲久姉はノリノリだった。
「う、うんわかった。」
私は咲久姉の部屋に向かった。咲久姉の部屋は葵の部屋と隣り合わせにある。葵はもう中学1年生だけど多分部活が終わっているはずだ。窓を開けてベランダに出て葵の部屋の窓を叩いた。「はーい」と聞こえて窓が開いた。
「あっ莉久姉どうしたの?」
私達と長谷川兄弟は家族ぐるみで付き合っているから私と葵も3歳差姉妹みたいに育った。
「あのさ、今日、湊家に帰って何か変だなとか思わなかった?」
「お兄ちゃん?あ~ちょっと変だったかも。何か機嫌が悪かったような?でもどうしたの?ケンカでもしたの?珍しいね」
「まぁケンカってわけでもないんだけど…」
と話しているとドアが開いた。
「あら、葵じゃん。部活は?」
「咲久姉!数週間ぶり!部活は今日と明日はないんだ」
「そっか。莉久、葵にも聞いてもらったら?」
「うん、そうする。葵、今日うちに泊まらない?幸い明日は土曜日だし」
「うん!久しぶりに泊まりたい!」
と葵が言うとさっきまでお母さんに確認に行っていた咲久姉が
「お母さんが泊まってもいいって~葵もうお風呂入った?」
「うん!じゃあ裏口からそっち行くから開けといてね。」
家が裏なので裏口で繋がっている。私がお迎えに言った。
「やっほ~莉久姉お泊まり何て久しぶりだね~」
「久しぶりだね。葵寒いから早くうちに入って。」
「は~い」
玄関に入って急いでスリッパを出した。「手を洗って来るね~」と葵が洗面所に向かった。そしてリビングにいるお母さん達に挨拶してくると言って一緒にリビングに向かった。実は私のお父さんと湊達のお父さんと私のお母さんと湊達のお母さんは幼馴染みの親友でそれで家も近くに建てたらしい。
「美久ちゃん!久しぶり!」
「葵ちゃん、久しぶりだね~。翔と颯は元気?もう中学1年生になったなんて早いわね~」
「翔は今陸上部に入っていてめちゃくちゃ賞取ってるよ。颯は私とバドミントンでダブルス組んで頑張ってるし!」
「そうなの?3人ともダンスはやめちゃったの?」
「いや、ダンススクールに皆で入って練習ない日はそこで皆で踊ってる。」
「そっか。頑張ってね。」
と話しているとお父さんがお風呂からあがってきた。
「海斗くん!お邪魔してるよ~!お父さんがまたキャンプ行こって言ってた。」
「おお、葵久しぶりだな!今日は泊まってくのか?」
「うん」
「渉に次の休みできるだけ早めに教えてくれって言っといてくれるか?」
「うん!いいよ。」
と話していると蒼空兄が部屋から降りてきた。
「わっ!葵がいる。」
「なにそれ、蒼空くんひどい」
と葵が泣き真似をした。それを見て私も
「蒼空兄ひど~い」
と言った。すると蒼空兄は焦って
「悪ぃ、葵。ビックリして」
「いいよ。てか嘘泣きだし」
と葵は笑った。
「なんだ良かった」
と心から安心している蒼空兄を見ていると笑ってしまった。
「じゃあそろそろ上がるね」
と言って上がろうとしたらお母さんがお菓子をくれた。そのお菓子を受け取って私達は咲久姉の部屋に向かった。咲久姉は待ちくたびれたように
「2人とも遅~い。ってお菓子じゃんチョコある?あっ!葵のココアある?」
「あるよ。お母さんが一緒に準備してくれた。」
「良かった。私、取りに行こうと思ってたんだけど忘れてて。」
と咲久姉が申し訳なさそうに言った。そして
「じゃあ女子会を始めるとしますか」
と言って女子会が始まった。