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君への、あなたへの告白大作戦!  作者: 神山仁葉
本編
6/49

2人の好きな人

6、2人の好きな人


 「だから…多分もう会えないんだろうなって思ってさ。小鳥遊(たかなし)さんは、こんな思いしてほしくないなって思ったからかな?」

と、(いつき)くんは寂しそうに笑った。なんだかこっちまで切ない気持ちが伝わってきちゃうよ。

「その瑠菜(るな)さんのお兄さんの瑠季(るき)さんと連絡をとれたりしないの?」

「無理だよ。だって瑠季(るき)は今イタリアにいるから」

「…えっ!何で!?」

「サッカーのスポーツ留学だよ。U-18の日本代表だから強化キャンプ?みたいなのにいってるらしい」

「すごっ!でも確かにそれは頼めないね。」

「さっきも言ったけど小鳥遊(たかなし)後悔してほしくないからさ。頑張って。」

「そうだ!(いつき)くんの秘密聞いたから私に聞きたいこと何かない?」

「何でもいい?」

「もちろん!いいよ」

「じゃあ、なんで長谷川くんのこと好きになったの?」

「えっとね、私の家は(みなと)の家の裏側にあるんだけどね…」


 私と(みなと)は物心がつく前からずっと一緒だった。小学校に入学したときも、明るくて人気者の(みなと)とは対照的に私は人見知りでいつも1人で絵を描いていた。ある日私がいつもどうり1人で絵を描いていると(みなと)が友達を連れて一緒に遊ぼうって誘ってくれたの。小学校高学年になった頃、(みなと)を好きな子達からちょっとした嫌がらせを受けてたの。でも、私が何の反応もしないからだんだんエスカレートしていったの。それでも私は事を大きくしたくなかったからその子達に言い返したりせずその子達が諦めてやめてくれるのを待ったの。でもなかなか諦めてくれないからある日言い返したのそしたらその子達に押されてちょっと大袈裟に転んじゃったんだ。でもその現場を(みなと)に見られちゃってその子達は先生には言わないでもうしないからって泣きながら言ってたから今回だけだって(みなと)が言ったら早退するって帰っちゃったんだ。


「おい!莉久(りく)なんで言ってくれないんだよ!俺、そんなに頼りなかった?」

(みなと)が言った。こんなに怒っている湊を見るのは初めてだ。そのあとも「怪我は大したことない?痛くない?」と心配してくれた。

「保健室まで運ぶから掴まっとけよ」

と言って私をおんぶしてくれた。

「ごめんね、重いよね。」

「重くなんてねえよ。これからはなんかあったら俺に言えよ」

それを聞いて私は少し笑ってしまった。すると(みなと)は「なに笑ってんだよ」と怒ってしまった。

「ごめん、みーくんがそんなに心配してくれるなんて思ってなかったから。」

「みーくんって言うなよ!」

みーくんとは小学校入学前によく呼んでいたあだ名だ。

「いいじゃん!ちょっとぐらい。懐かしいでしょ?」

と言うと(みなと)

「そんなに叫べるくらいなら元気なんだな。」

「うん!ちょっと転んじゃっただけだよ。」

もしかしたら私はこのときにはもう好きになっていたのかも知れない。でも、その気持ちに気づいたのは中学にあがってからのことだった。

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