3、樹くんのすきなこって?
私と樹くんが相棒になって数日がたった。あれ以来私と樹くんは、たまに連絡を取り合うようになった。私も樹くんも人見知りなため、すぐに親しくなることはなかった。それでも、他に頼れる人もいないからもう、友達と呼べるほどになっていた。それで、今日はまた昼休みに外階段で合う予定だ。
昼休み、樹くんと私は湊に告白するための作戦会議をしていた。
「小鳥遊さんと長谷川くんは幼馴染みなんだよね?だったら意識して貰えるように2人だけで出掛けてみたら」
と、樹くんが言った。私は、ずっと疑問に思っていたことを樹くんに聞いた。
「なんで急に頼んだのに引き受けてくれたの?樹くんは、好きな人とかいないの?」
と、聞くと樹くんは、顔を真っ赤にして話しだした。
「俺には、中学の頃からずっと好きだった子がいた…」
俺は、中学2年の時この合咲町に引っ越してきた。小さい頃から人見知りだった俺は、転校初日は、ほとんど学級委員長で隣の席の榊原瑠菜と行動していた。彼女は俺が席に座ってすぐ俺に話しかけてくれた。
「榊原瑠菜です。隣のクラスに兄の瑠季がいるから名前でいいよ。」
「兄ってことは、双子なんですか?」
「双子じゃなくて年子だよ。お兄ちゃんが5月9日生まれで、うちが次の年の3月26日生まれなんだ。あと、敬語じゃなくていいよ。」
「そうなんだ。」
「そっか。あの、瑠菜さんはお兄さんと似てる?」
「よく似てるって言われるけど自分達じゃそんなに似てないと思うよ。あと名前でいいって言ったけど呼び捨てでいいよ。うちにさん付けとか似合わんし。」
「わかった。あと、改めてよろしく」
「こちらこそよろしく。」
そう言うと彼女は教科書を開いた。昼休みは彼女と兄の瑠季に、学校案内をしてもらった。それ以来俺は、瑠季とその友達と仲良くなってそのうちの1人がいるバスケ部に入ってそこでも友達ができた。帰りはたまたま家の近かった榊原兄妹と一緒に帰った。
半年がたった頃、俺の幸せだった時間は欠けてしまうことになる。