1、私の名前は小鳥遊莉久です!
もう夏の風が吹く6月半ば。私は屋上で友達と一緒にお弁当を食べながら仲良くおしゃべりを…
しているはずなのに!私、小鳥遊莉久は今、知らない男子生徒と一緒にお昼を食べている。さかのぼること、10分前…
キーンコーンカーンコーン
「起立!気を付け!礼!」
チャイムが鳴って委員長が号令をかけるとぞろぞろと購買や食堂に向かって行った。私は、高校に入学してもう2ヶ月が過ぎたというのに友達ができていないため、普段は幼馴染みの湊と一緒にお昼を食べていた。でも、今日は湊が風邪で学校を休んでいるから1人で食べようと思ってお弁当を持って教室を出た。屋上に向かう階段は校舎の中の内階段と外階段がある。直接屋上に行くときは内階段を使うことが多いが今日は1人で食べるので外階段の日陰で食べようと思う。すると、外階段には珍しい先客がいた。外階段は1度1階まで降りる必要があるためあまり人気なスポットではないはずだ。場所を変えようか迷っているとその先客の男の子は階段の端によって
「隣どうぞ」
と、場所を開けてくれた。でも、さすがに知らない人に譲って貰うのは申し訳ない気がしたが他に食べるところがないと思ったのでありがたく座らせて貰うことにした。
「ありがとうございます。」
と、お礼を言ったあと、私は終始無言でお弁当を食べきった。
「あの、刺繍が紺色ってことはあなたも1年生?」
この、高校は学年でシャツと、ベストの、ワンポイントの刺繍の色が違う。1年生は紺色、2年生は深緑、3年生は黄色に分かれている。
「俺もってことは君も1年?…あっ、確かに刺繍が紺だ」
「私は1年3組の小鳥遊莉久です。好きに呼んでください。」
「同い年なんだし敬語じゃなくていいよ。俺は1年5組の西条樹です。俺も好きに呼んで。さっきは、先輩かと思って緊張して上手く喋れなくてごめん。実は結構人見知りなんだ」
と、樹くんは苦笑した。そのあと10分ぐらいお互いについて少し話した。
「え!樹くんもバスケ部なの?じゃあさ、湊のこと知ってる。」
「湊って長谷川くんのこと?」
「そうそう。私ね、湊と幼馴染みなんだ、いつもは湊と食べてるんだけど風邪引いちゃって今日は休んでるんだ。」
「そうなんだ、俺、長谷川くんと話してみたかったんだ。ほら、長谷川くんってバスケ上手だし」
「湊は、ミニの頃からバスケやってるからね。ちなみに私も中学までやってたよ、バスケ」
「以外!」
と、樹くんは少し驚いていた。しばらくたってチャイムがなると私と樹くんは、それぞれ教室に戻った。