46 返さずにいた夢、言葉
2021年 8月27日 投稿開始
9月 5日 毎日投稿開始
10月 5日 毎日投稿終了。月2〜3回の投稿に変更。
2022年 1月11日 次回投稿予定。投稿時間は “午前11時” です ←
借りたまま返さず、しかも、読まずにいた本がありますーー
ココを殺したのは、わたし
「あなたのこと、本当は嫌いなの」
「あなたの匂い、本当は嫌いなの」
「我慢していたの、それに今、気づいたの」
「わたしは、本当はあなたの匂いを望んでいない」
「わたしは、本当はあなたのこと好きじゃない」
「ココって、大した顔じゃないよね」
どうして、その時
わたしは言ってしまったんだろう
中学生の頃に蒔かれた種子をどうして、今度はわたしが蒔いてしまったの?
「君は、踊らされていたことに気づいていない?
自分が取り組んでいたこと、自分が投げかけていたことが
1ミリも相手に伝わっていなかったことを知ったら、
君は、すんなり
今まで ありがとう
で、立ち去ることができるかい?」
男は話を続けました
「そもそも言語や考え方が違っていたことを知らなかったら?
蒔いた種子に効果がないってことだよ」
だから、
“自分の言葉”が通じるものを作り直せばいいんだよ
虚しい
と感じることに時間を傾けることをやめるんだ
髪を結って
わたしは振り返ました
「アリュール、あなたのオードパルファム
やっと、香りが“真知子”自身に定着したのね」
ーーまた夢を見ていたようです
「あの…」
夢の光から、タクシーの車内へと、その暗順応にわたしが追いつかないまま。
夢の余韻の中に入り混じって呼び起こされる“遠景”が、わたしに現実の状況を確認させました。
「どういたしました?」
「あの、初めからその速さで海へ行ってくださっても良かったのでは?」
タクシーが急なアトラクションに切り替わる車体機能を秘めていたことに、まずは意見を述べました
「ああ、それは安全装置を解除するのに、少し労力がいるものでして」
運転手は突拍子もない行いだったことについて、特に説明する必要を感じてなさそうな雰囲気だと分かり、それ以上の説明は求めないことにしました。
何故なら、そのこと以上に知らなければならないことがあったからです。
わたしは、報せなければならない
この手紙を瓶に入れて、海へ
「new leavesというのは」
運転手が、わたしに語りかけました
「new leavesというのは、先ほど小さな会社と申しましたが、まあ、ある団体でもあります」
「団体…宗教ですか?」
「宗教といっても差し支えないのですが、まあ、組織です」
「それはどのような…?」
運転手は、少し考えたあと
「先ほど、黒い服の男がいたでしょう?」
「はい」
「あの男、いえ、彼らはこの地を管理するものです
まあ、カラスのようなものですね」
「カラスですか?」
「まあ、厄介なものですよ」
「それと、このタクシーに向かって歩いてきた理由は関係あるのですか?」
わたしは運転手に率直に訊ねました
「はい。私たちは、あれと闘っています」
「…闘いですか? あの…血が流れるような?」
「はい。血も流れます」
「あ、あの…武器とか持って…撃って……殺したりとか…なんか」
「いえ、違います」
わたしは、危ないことに巻き込まれるのかとドキドキしましたが、殺し合いをしない闘いであることに安心しました…ん? “血も流れる”というのは…
「いえ、殺し合いではありません。消滅するか、させるか
どっちかの争いです」
なかなか込み入った争いをしており、それに巻き込まれつつあることが分かり、わたしは、田舎にこもりたい気持ちになりました。
「黒い服、彼らはある花を探しているのです」
「…花ですか?」
「はい、それはとても希少な花で、まず見つかることはないのです」
「…その花を探している理由はあるのですか?」
わたしは、黒い服の男を見たときのように、前方、運転手が座る運転席の方へ。少し身体を前のめりに移してから、今度は、運転手の表情を覗こうとしました。
「そして、これがその花です」
「この花は!?」
運転手は、前のめりになって顔を覗こうとするわたしの眼前に、一輪の花を取り出しました。
わたしは、その花に見覚えがありました。
「お客さん、着きましたよ」
会話を中断するように、運転手は目的地に着いたことを報せましたーー
そこは、海でした
「運転手さん、この場所はどこなの?」
「一番、近い海ですよ」
見たことのない景色が広がっていました。
多分、来たことがない場所の海だと直感的に分かったのです。
タクシーのドアが静かに開き、わたしは降りました
夜明けが始まった海の、砂浜の上を歩き。
わたしは海岸沿いへと向かいます。
波の音の強弱が増幅されて、肌の上を通過しました。
足元に波の端が触れ、それから退いていきます。
その姿を見送ったあと、わたしはリュックから手紙の入った瓶を取り出しました。
波が、再び想いに引かれるよう、足元まで確認するようにやって来ます。
その波に乗せて、わたしは手紙を届けます。
波は、不思議な導線を引きました。
その現象は手紙を入れた瓶をさらって、間違うことのない軌道で運んで行きました。
わたしは次第に瓶が遠ざかってゆくのを見届けたあと、ばあばから貰った大きなリュックに、急な重みを感じたのです。
そのリュックの中に入れた物を確認しようと背中から下ろして砂浜の上に置き、ファスナーを開けると、本が入っていることに気づきました。
それは、ココがわたしに“読んでほしい”と貸してくれた本でした。
第6部 赤い星 完
次回投稿から、投稿時間を変更します。
2022年1月11日で、【AM11時】の投稿です。
少し前から、投稿時間帯を15時から18時に変更してみましたが、閲覧数の伸びはなく、減少しました。
そこで思ったのが、数字の浮き沈みなどでの一喜一憂するのは何か良くないなということでした。
結果、15時帯で続けて読んでくださっていたかも知れない方が離れただけの可能性もあり、悪い結果でした。
そんな中でも18時帯になっても読んでくださった方がいるのなら、それは本当に感謝しないといけないことだと、しみじみと感じています。
あとは、18時帯のままで行くのか…?と、悩んでいたのですが、年も明け、1に廻ったということで、
午前11時
の投稿時間がスッキリして良い感じに思い、決定といたしました。
またお付き合い頂けると幸いであります。
8月27日より投稿を開始し、4ヶ月程になります。なかなかPV数は伸びませんが、読んでくださる方は居るので小説家になろうで投稿して良かったと、今年を振り返り思います。
まあ…自信を持って投稿した回に限って、再生数が極端に減るという現象は不思議なのですが。
この小説は、しばらく続くかと思います。
大体の流れは決めていますが、小説も生き物なので、脱線はあるかと思います。
100話以内で間違いなく終わりはします。
2021年、閲覧して下さった方々、本当にありがとうございました!
埋もれたままの言葉が、きちんとした花が咲けるよう、続けて参ります。
今年もよろしくお願い申し上げます。
「新人発掘コンテスト」「123大賞」に応募しています。
感想・評価・ブックマークなどなどお待ちしております!
たまに短編として「執筆」「なろう(異世界)系」小説の研究を投稿しています。




