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恋した瞬間、世界が終わる -地上の上から-  作者: hougen
第5部 来るべき一瞬のために
31/98

30 命の場所

2021年8月27日 投稿開始


 声に惹かれたのは、否定できないことで

 力強さというよりは、生命力を感じていた



政府の「マニュアル」によって、犯罪率が0%になったあと。

初の裁判だった。


人々は物珍しさに。

時代錯誤の出来事に胸が踊っていた。

必要なくなりつつあった弁護士やら裁判員やらは興奮し、

検察官やら裁判官やらは久々の仕事に緊張が見られた。


傍聴人の倍率は過去に例がなく、希望者は抽選番号の紙を握りしめた。

そんな異様さの中、公開された男の裁判は、

人々に真に迫る印象を与えた。


人々の間に広まった『詩人』


謎のその人。

探すもの。

陰謀説を唱えるもの。

噂はもう、抑えることができなかった。


それぞれの耳はもう、待ち望んでいたーー



私は男の取り調べの記録を偽った


男の深意がどれほどのものか、自分で確かめずにはいられなかった。

ここでまた開発者としての欲が、


「次世代のコンピュータを君は知りたくないかい?」


男の言葉によって、私を動かしていた



 ーー状況が変わったのは、思いがけない出来事だった


違法移民の存在だ



ーー取り調べ室には、新たな反発者がいた


「農家の仕事をするはずだった」


「裏切られた」


「契約は安価なものだった」


「俺の母国の家族を養うことができない」


「違法滞在者になってしまった」


「違法滞在社のコミュニティーに逃げ込んだ」


「そこでは同じ国の人々が集まり、お互いを助け合っていた」


「金は無い」


「目をつけたのは、違法行為だった」


「生きるために仕方なかった」


「俺は、いや俺たちは、“new leaves”に助けられたんだ!」



“new leaves”という団体が浮上した



私は、この男の記憶もデバイスに保存した


「マニュアルでは、人の心の弱さを 

 乗り越えることができなかったのか?」


「人は生きれば生きるほど、避け難いカルマと鉢合わせ

 度々に、負ける」


私は自らが携わったコンピュータの開発に拭い去ることのできない何かを、もう感じずにはいられなかった


「世界では、もう何かが起こっている」


研究室の窓からは、新緑のみずみずしい景色が見えた


私たちが行なっている人工的な秩序とは対照的に。

混沌が私に光を投げかけている。


“みすぼらしさ”というものを、私たちは勘違いしていたのか


「あれは…枯山水というものだろうか?」


「いや、冬の…破壊があった後の、再生なのか」


黒い服の男が見えた


窓の外で、私の様子を伺っている


「時期が来るまでは、自己主張を抑えて

 余計なことはしてはならない。

 君が取るべき行動は、来るべき時の一瞬の中で決まる」



私は、ここで

私が終えた生のレールを切り替えなければならない


「来るべき一瞬のために」




私は、あの男の先にあるものに会わなければならない




2021年9月5日 毎日PM15時投稿開始

・10月5日まで1ヶ月間の試験的な投稿を行ってます。

・10月6日からは、月2回の投稿頻度に下げる予定です。

・投稿日は、その都度の小説の後書きにて報告します。


(次回は10月2日、PM15時投稿)


「新人発掘コンテスト」に応募しています。

「小説家になろう」内のユーザーページにて、ツイッター的なつぶやきを行っています。

「小説家になろう」内のユーザーを1日1人発掘すべく、独自調査?行ってます

(これも10月5日までの1ヶ月間の試験的)


感想・評価などなどお待ちしております!

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