表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界守  作者: 琥珀猫
2/89

- 始まりのはじまり - (1)

 遥か昔、人間は神や精霊などを身近に感じて敬い、そしてあがたてまつっていた。

 生命いのちあるものはいつしか時を止め彼岸(あの世)へ渡り、別の生命あるものに替わって此岸しがん(この世)に戻ってくるものとされていた。また夢(寝ている間に見るもの)とはうつつの裏側に存在し、常に移動できるものと考えられていた頃より。

 そこかしこに不可思議な場所が存在していた。それは――

 此岸にも彼岸にも曖昧あいまいな空間であり、現にいながら夢の中にいるようなぼんやりした時間ともいえる、何とも形容しがたいものが、村や町の片隅にあるほこらや水辺の側、はたまた国主の館内で崇められている古木の傍らや、緑深き山の中などありとあらゆる場所に在った。

 この大きさもまばらな、曖昧でぼんやりとただ在るだけの場所を【境界】という。

 【境界】の中に、たたずむでもなくただようでもないものがいる。それらは彼岸と此岸を行き来したり、夢と現を彷徨さまようだけのものであった。

 彼岸と此岸を行き来するものを【魂】、夢と現を彷徨うものを【想】という。

 つまり【境界】とは、生命のない【魂】や【想】が無秩序に、無造作に通り抜けるだけの通過点のような場所のことである。

 さして害のない場所として、人間と神や精霊に認識されていたのであった――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ