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境界守  作者: 琥珀猫
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- 序 -

 何? ずいぶんそわそわしていますねえだと?

 ああ、しているともさ。なにせ、一年! 一年ぶりなんだぞっ!

 何? 自分は三年前に五十年ぶりに逢ったけど、そわそわしなかっただと? それは自慢か? 違う? 単に事実を述べただけだと? 嘘をつけ!

 なかには一生に一度しか逢えないものよりは、恵まれているから嘘ではないだと? ふん、確かにそうだが……。

 何! だから、一年に一度逢うぐらいでそわそわうきうきするなだと! 大きなお世話だっ。ええい時間切れだ。では、また一年後だな。


 最後の奴がにやにや笑いながら(当たっているだけに余計腹が立つ!)戻っていき、ようやく静かになると、またもやそわそわしてくる。ふんっ、仕方ないじゃないかっ。

 それでもなんとか気を落ち着けて、今しがた伝えてきた話を思い返す。

 町が三つ合併して大きな市になるらしく、土地の再開発話も出ているらしい(そんなに色々変化させて十分活用できているのか?)やら、少子高齢化が収まりそうにないので困りもんです(こっちの方は、五十年ぶりに逢ったときたずねてみたが、さあねぇ、どうするんだかと投げやりに返されたとか。もう一度、改めていてみてくれと頼まれた)やら、暗い話ばかりだな、明るいのは……と思い出そうとしていると、それが来た!


 はやる気持ちを抑えながら、己の本体を見る。

おっ、あれがいい具合だと目当てのものに焦点を合わせると、ぽすっと落ちてくる。続けてもう一つ。

あれ、余分に落ちたか。まあいいかと、二つをまとめて小さなつむじ風に包ませて、ていっと外に放り出す。

 さて、とあたりを見まわし、今年はどう迎えようか……そわそわ、うきうき考える。

 ふんっ。誰がなんと言おうが、一年ぶりなのだ。放っといてくれっ!

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