表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
参界遊戯 ~埒外【聖旋】~  作者: クロwithオウサマ
8/42

07


いわく、クトゥグァ。


クトゥグァ、クトゥガとも訳される炎の邪神。

南うお座のフォーマルハウトに住まう――あるいは封印されているとされている――邪神で「生きる炎」の姿で召喚され配下にフサッグァなどの小さな炎の精をつれているとされている。

らしい。

よくは分からないけれどこの邪神は前述されたニャルラン・・・ニャルラトホテップとは仲が悪いらしいのだが、トランプだったらいけそう(願望100%)

というコトで第3派イチオシの邪神らしい。

・・・さっきかららしいしか言ってないって?

深く聞きたくも調べてくもなかったんだよ察して!

こういう時ばっかりは自分の記憶力が憎い・・・!


「いつの時代も凶器を作り出すのは人間だって事か・・・」

「まぁ、狂気が必ずしも人間の形をしているとは限らないから大丈夫だって」

「それは何1つとして大丈夫とは言わないんだよ、紗螺」


むしろ問題しかない。

お前の存在と同じくらい問題しかないよ。


「なんでお前そんなピンピンしてるのさ・・・校舎だって半壊してアスプのひげの先だってちょっと焦げたっていうのにさ。どうなってんのお前」

「うーん・・・?よく、ねた、からかなぁ?」

「よく寝たら無事なの・・・?」

「あっ、でもおなかはちょっと痛いかなぁ」

「・・・そっかぁ。寝る前にコーヒー(仮)がぶ飲みしたからじゃない?」

「あー、そーかも」

「にゃにゃん?」


やめてアスプ、そんな「本当に?」みたいな声出さないで。

何もしてないよ。

してないったら。

紗螺だって覚えてないって言ってたし。

コーヒー(仮)のカフェイン(?)のせい?じゃない?


「にしてもクトゥグァ・・・邪神かー」

「・・・もしかして知り合いだったりする?」

「いや、全然。知らない・・・と、思う。多分。興味ないし」


興味ない。知らない。

普通の人間だったら本当かよと思いたくなるような方程式だが、紗螺の場合は本当に知らないのだから頭が痛くなる。

興味がない事はとことん容量に残らないんだ。

聞いた事ある、とか――見た事だけはある、とか。

そういうのも全くない。

逆に、見たり聞いたりしてても興味がなかったら覚えてないから”知らない”。

・・・ねこは、どっちだったんだろうか。

それこそ、考えたって仕方ない事だけど。


「でも、邪神って響きは強そうだよね」

「あー、確かに。ボスキャラとか隠しキャラとかにいそう」


わかるわかる。

もしくは覚醒キャラな。


「――はぁ?正気かよ!?」


ガレキの山の中で現実逃避がてら紗螺と邪神について(?)熱く語り合っていた俺の耳に突然突き刺さった怒号に反射的にそっちを見てしまう。

あー。

見ないようにしてたのに。


「じゃああれか?校舎の中でぐーすか寝こけてたガキの方が”参加者”で”猫”の声を聞いたあっちのらしいガキはただの一般人だって!?」

「だから、そう言ってんだろ?」

「ハイソーデスカって納得出来るわきゃねぇだろ!」

「納得出来る出来ないじゃなくて事実そうなんだから仕方ないだろ。そもそもアタシだって納得してない」


いや、納得はしてくれよ。

揃いも揃って何を言っているんだ。

武黶と――もう1人。

まるで抜き身の刃みたいな男が、不機嫌そうにこっちを睨みつけてくる。

こっち見んな。


「お前、名前は?」

「・・・知らない人には名乗っちゃ駄目っていう教えが・・・」

「諸刃 闥臣だってさ」


武黶さん!

個人情報保護法を知らないのか、この人!

・・・知らなそうだな。


「諸刃闥臣・・・あー。マジか。本当にただのパンピーじゃねぇか。どうなってんだよ」」


どうもなっていないんじゃないですかね・・・。

そんな、穴が開きそうなくらいにジロジロ見られても困る。

カツアゲされるオジサンってこんな気持ちなんかな。


「そっちのやつは?」


ふっ、と男が俺から視線をそらし紗螺の方を見やる。

武黶と俺が火柱を見て駆けつけた時にはもう一緒にいたのにまだ自己紹介も済んでなかったの?


「嘉夢羅 紗螺。・・・さっきから何の話?」


流石、紗螺!

このタイミングでこんな見るからに怪しい男に普通に名乗ったよ。

・・・お前の危機管理能力どーなってんの?


「【聖旋(ゲーム)】の話だよ、【双子座】の紗螺(さいごのキャスト)


男ではなく、武黶が紗螺の疑問に答える。

それにしても・・・聖旋ね。

どうしてこう人間ってのは蛮行に対してオキレイな名称を付けたがるのか。


「アタシは序列1位(ファースト)の【蟹座(カルキノス)】、裁切 武黶。まぁ、色々と納得のいかない事はあるにしろなっちまったもんはなっちまったんだからしょうがない。お前は死ぬか殺すかするまでは今代の【双子座(ディデュモイ)】だ。せめて先代よりは”人間”であってくれよ」

「・・・序列3位(サード)の【水瓶座(ヒュドロコオス)】、一橋 痲榁。【双子座】が人間らしくてどうするんだよ。壊れてるからこそ意味のあるイキモノだろうが」


・・・今だかつてこんなに不穏な自己紹介があっただろうか。

とにもかくにも情報が多い。

しかも何?

紗螺の前(せんだい)の【双子座(ひとでなし)】?

代替わり制を導入されているんです?

いや、それよりも。


「それって俺が聞いちゃってもいいやつ?」

「あ」


あ?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ