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乙女 09




 街で買ったお揃いのネックレスをリリアーナとオースティンは毎日着けているみたい。もちろん、私も!

時々3人でネックレスを見せ合っては小さく笑い合う瞬間なんて!もう!なんていうの!もう!ん~~~~~~!!!

デザインは、全く同じものという訳にはいきませんでしたけれども、似たデザインで同じ魔法石。魔法石には、もちろん!私が守りの魔法を込めましたわ!

おそろい!もう、それだけでも気分が上がりますわ!爆上がりですわね!

オースティンはもう、完全にリリアーナ守り隊ね!まぁ、私の勝手な決定ですけれども!

リリアーナも素直で可愛く育っているし、今のところ悪女要素は無し!

お屋敷の皆に可愛がられてますし。明るさも以前以上に取り戻して、元気いっぱいですし、我がままも可愛いレベルのものですし。むしろ、純粋培養すぎて不安ですわね。女同士の戦いとか向かないのではないかしら。

ま、まぁ、とりあえずは悪役令嬢っぽくはなってませんし・・・。

・・・・・第一、お屋敷の皆がメロメロで、私一人が甘やかしてるとか、私が厳しく躾をすれば、とか、もはや、そういう問題ではない気がしますし。・・・この問題は今は置いておきましょう。悪役令嬢要素ではないですし、ね・・・。

後の問題は・・・婚約ね。

というか、一番厄介な問題ね。どうにかして、リリアーナと殿下の婚約を破棄しなくてはなりませんわ。

というか、そもそも、婚約破棄ってどうやってするのかしら?

問題があればできるのかしら?

問題?・・・身分?はないわね。グレシャル家は侯爵家ですもの。

年齢?・・・1歳下と、むしろちょうど良いですし。

見た目?・・・問題どころか、非の打ち所もありませんわ!私の偏った意見ではなくて、一般的な意見でも同様のはずですわ!・・・多分。

性格?は今のままいけば、ちょっと強さに欠けますけれど、そこは優しさで補えますわ!

お勉強?・・・真剣にしているみたいですし、マナーも身に付いてきてますし。

リリアーナに問題はありませんわね。

むしろ引く手あまたではないかしら?やっぱり私のリリアーナね!非の打ち所がありませんわ!

?!・・・ではありませんわ!問題を見つけて婚約破棄をしましょうって話ですわ!

何かないかしら?いっそ、何か原因を作るのはどうかしら?って何の?あああぁぁぁぁぁ!何かないかしら?何も思い付きませんわ!あああぁぁぁぁぁ・・・・・・詰んだわ。詰みましたわね。何も思い付きませんわ。むしろ、私の親バカを再確認しただけでしたわ・・・なんということでしょう・・正真正銘、救いようのない親バカでしたわ・・・いえ、自覚はありましたのよ、むしろそれ以外の何者でもない自覚がありましてよ!あああぁぁぁぁぁ



















 ・・・だめでしたわ。私以上にだめだめではないかしら?というか、むしろメロメロ?侍女も侍従も庭師も果ては料理人すらも。というか、そもそも、私が訊ねても、当然、リリアーナの嫌な所なんて教えてもらえる訳ないのよね。はぁ。

というか、料理人がリリアーナとちょこちょこ会ってるなんて、驚きですわね。むしろ、仲良し?って思う位なんて。というか、私が引きこもりそうになったのをきっかけに仲良くなっていたなんて、全く知りませんでしたわ。庭師も同様でしたし。

引きこもり未満の私の為にリリアーナが頑張ってくれていたなんて、涙が・・・。

・・・・・・・・・婚約破棄の為の何かは見つからないままですわ。はぁ、いっそ二人で引きこもるのはどうかしら?なんて・・・・・・って、また、引きこもろうと・・・待って!?それはありではないかしら・・・・・・体調不良とか何とか言って、リリアーナと二人で領地に引っ込んでしまうのはどうかしら?

そうよ!体調不良という事にして、領地に籠って、社交界から離れて、妃教育とかもしなければ、それを理由にいずれは婚約破棄できるのではないかしら?いっそ、王都の学院に入学もしなければ、教養とか何とかの面でも、婚約破棄できるのではないかしら?






・・・と思ったさっきの私。仲良くお茶をしているこの二人を引き離す事ができますの?

そもそも、リリアーナは殿下との婚約をどう思っているのかしら?婚約解消したら悲しむのかしら?

殿下とは数回顔を合わせた位ですし。しかも、すれ違い様に挨拶した位のものですし。リリアーナから殿下の話を聞いたこともないですし。

オースティンと離れてしまえば、悲しんでしまう、というのは間違いないと思いますけれども。

でも、このままだと、リリアーナの身が危険ですし。

ここは腹をくくって・・・・・

オースティンも悲しむかしら?仲良しですものね。






・・・侍女達にそれとなく聞いてみたりして考えた結果、やはり、私がリリアーナを連れて領地に引きこもる、もとい、引っ込むのが無難というか、それしか方法がないという結論に達しましたわ。というか、それしか思いつきませんわ。

王妃教育は必須ですもの。領地にいて王妃教育が出来なければ、婚約解消はありえますわ。実際、過去に病気で王妃教育が滞ってたのを理由に婚約解消になった事例もあるみたいですし。

今なら、体調を崩してばかりの私を理由に領地で療養するというのはありですわ。リリアーナと離れては良くなるものも良くならないとか、何とか理由を付けて、リリアーナを連れて領地に引っ込む事も可能でしょうし。というか、無理矢理通しますわ。


・・・あんなに仲の良いリリアーナとオースティンを離ればなれにしてしまうのには、少し申し訳なく思いますけれども。・・・このまま、婚約が継続してしまうよりかは良いはずですわ。

思い立ったが吉日、ですわ!ゲイル様に伝えてすぐにでも領地に向かいましょう。


・・・ゲイル様はすぐに承諾されるでしょうし、内心大喜びでしょうね。気兼ねなくお相手の方にもお会いできるでしょうし。

そもそも、今までも気になどしてなかったかもしれませんけれども・・・もう、ここには戻ってこれないかもしれませんわね。役立たずの女主人として、離婚されるかもしれませんわね。領地でリリアーナと二人で生きて行く術を見つけて・・・。

あぁ、またですわ。

お腹の中に溜まる重いこれも、喉がつまって息が出来なくなりそうになるこれも、領地に行けば少しは無くなるはずですわ。

この方法が一番良いはずよ。大丈夫。大丈夫。きっと大丈夫でしてよ。


























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