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 すみません。長らく投稿が途切れてしまいました。私事で忙しくしており、続きを書く時間を確保出来ず、ちまちまと書いてはいたものの、投稿出来る程の文章にはならず。しばらくは時間を作れそうなので、その間に一区切り(2.3回の投稿分)まで投稿出来たらと思います。拙く、誤りも多い文章ですが、お付き合い頂けますと幸いです。

 

 あれからしばらくして届いたネックレスはクローゼットのどこかに置いてあると思う。ネックレスは届いた報告を受けただけ。きっと事情を知っているアンナが気遣ってくれたのだと思う。

・・・アンナには感謝しかありませんわね。

ネックレスが届いたと聞いただけで、またふさぎそうになった私に、気晴らしに買い物でもしてはどうかという提案もしてくれましたし。

・・・うだうだと暗いことばかり考えていてもだめとはわかってはいるのですが・・・・・・違いますわ!そっちは考えない!

 今日は街までお買い物に行くのです!

買い物に行くと決めて、リリアーナとオースティンを誘って、準備をして!


前世でお買い物に行くのとは違って、外出までに時間のかかることといったら。

前世では、思いたったらすぐ行けたど、さすがにここではそういう訳にはいかない。わかってはいるのですけども。

貴族が屋敷から出るとなると警備的に色々と準備が必要になるし、屋敷に商人を呼ぶのがステータスと思っている貴族も多いからか貴族の買い物は商人が屋敷に訪れるのが一般的ですし。

まぁ、私の場合は、貴族にしては、街に行く頻度が高いからか、慣れた感じで侍女達も騎士達も手早く準備を終えてくれたのだけども。それでも、思い立ってからすぐ、とはいかない。

にしても今回はいつもよりも早く準備が出来たみたい。アンナが急ぎの指示を出してくれたのかしら?

はぁ、アンナには本当に心労をかけてしまっているのね。申し訳ないわ。

アンナに感謝ですわね。




・・・何だろうか、このかわいい子供達。

リリアーナとオースティン。朝食もそぞろに、うきうき、そわそわしているのが伝わってきますわ。

二人が揃って街に行くのは初めてでしたわね。

・・・私、今からこの子達を見せびらかして良いのよね。

きっと、このかわいい二人に皆振り返るわね。間違いないわ。手を繋いで歩こうものなら、釘付けね!

・・・私は少し後ろを行こうかしら。ちょっと邪魔な気がしますわ、絵面的に・・・。





 朝食を済ませ、馬車に揺られて街に向かったのですけれども、お尻が痛い。何かしら、今までと変わらないはずですけれども。自動車や電車の移動手段を思い出してしまっている私にはかなり辛いものがありますわね。

ようやく、ええ、ようやく、ですとも。馬車を降りた所で、オースティンにリリアーナと手を繋いでもらうようにお願いしようとしたのですけれども・・・自然に手を繋いだ二人。言うまでもなし!

か・わ・い・い!

みてー!皆様!かわいい!!!かわいいでしょう!!!うちの子達!!!


「・・・奥さま。」


ハッ!!!後ろから聞こえるアンナの声が冷たい!

やだ、にやにやしていたのかしら私。


「んんっ・・・行きましょうか、リリアーナ、オースティン。」


 服飾店や雑貨店に立ち寄りながら、街を散策する。久しぶりの街の活気に心が弾む。

私の後ろをついてこようとしていたリリアーナとオースティンを先に歩く様に促して、行きたい方へ進んでもらう。

私の前を歩きながら楽しそうに話している二人を見て癒され、時折会話に混ざる。

鬱々としていた気持ちが晴れていくようですわ。外に出て正解ですわね。さすが、アンナ。

子供故にあまり外出できない二人は歩くだけでも十分楽しそうだったけれども、私を振り返りながら先を歩くだけで、お店に立ち寄らない二人に

「好きに歩いて、気が向いたお店に立ち寄って良いのよ」

と伝えた時のリリアーナの満面の笑みときらきらした瞳!オースティンの遠慮がちに浮かべたはにかみ笑い!目がやられるかと思いましたわ!

しばらくは二人の気の向くままに歩き、お店を見て回る。途中、二人が熱心に手にした物をアンナに耳打ちしてこっそりと購入してもらう。後から渡すのよ。私、完璧!

そろそろ足が疲れてきたわと思ったけれども、太陽が真上ね。かなり歩いていたのかしら。若いって素敵ね。引きこもりで体力が落ちていたとはいえ、往年の私よりはかなり体力があるわ。

そろそろお昼時ね。二人共、お腹がすくのではないかしら?


「リリアーナ、オースティン。そろそろお腹がすきませんか?食事にしませんか?」


前を行く二人に声をかけると、二人は足を止めて振り向い?ん?リリアーナ?


「・・・お母様・・・昼食の後は帰りますか?」


一瞬嬉しそうにしたリリアーナの眉が少し下がっていますわ。まだ帰りたくないのですね。大丈夫ですわ。わかっておりますとも。


「いいえ、疲れていなければその後も街をみて回って良いですよ」


その言葉に嬉しげにあがった口角!リリアーナの!花が綻ぶかの様な笑顔!

かわっいい!

その横でまさかのオースティンも嬉しそうな顔!

やだ、もう、このまま街にとまっちゃう!?

はっ!ではなくて、いつも街に来たときに利用している食事処がこの辺りか、アンナに訊ねなくては。


「アンナ、いつも行っているお店はこの辺りにあるかしら?」


「・・・奥さま、最近新しく出来たかわいらしいお店があるそうですよ。そちらに行ってみてはいかがでしょうか。」


何かしら?今の微妙な間?

・・・あぁ。

頭に過ったゲイル様を振り払う。

ここはアンナの意見を採用いたしましょう。アンナのリサーチならきっと大丈夫。

むしろいつも行っている処はやめた方が良いわね。頭の隅に、お腹の底にもやもやと溜まる黒い感情には目を向けない!現実逃避も立派な手段ですわ!引きこもり回避が一番優先!






アンナの教えてくれた食事処の店内は装飾が可愛らしくて、リリアーナとオースティンの愛らしさが倍増される。もう、食事をしているのか、映画のワンシーンを見ているのか。にやける口元を必死に制して頬が筋肉痛になりそう。・・・頬って筋肉痛になるのかしら?


食事を終えて、また、町を歩く。リリアーナとオースティンはずっと手を繋いだまま!今も、お店の軒先の商品を見ながらも手は離してませんし。これは、もう、オースティンは何があってもリリアーナの味方でいてくれるのではないかしら。仲良し過ぎて違う心配が生まれそうだけれども・・・

ん?見慣れないお店が。

何かしら?


「奥さま?どうかされましたか?」


「えぇ、ねぇ、アンナ。あのお店は何かしら?宝石商?にしては飾ってある宝石に違和感があるのですけども。」


私の視線の先を経ったアンナが、小さく首を傾げて、ふと思い付いた顔をしてますけど。何かしら、この違和感。


「あれは、富裕層の庶民向けの宝石商でございますよ。」


庶民向けの宝石商?


「貴族の購入される魔宝石ではなく、宝石を取り扱っている宝石商でございます。」



あぁっ!前世の記憶が頭に浮かぶ。普段は忘れているのに、時折鮮明に思い出す。まるで、忘れてはいけない大事な事の様に。

この世界の宝石には2種類ある。1つは宝石。これは前世(まえ)の世界と同じ。

もう1つは魔宝石。貴族は魔法が使える。といっても、この魔宝石を介さないと使えない。

前もって魔宝石に魔法を込めておき、必要な時に魔宝石に込めた魔法を解放して魔法を使う。

現時点ではそう。

リリアーナ達が学院に通い始める数年前には魔法の使い方が変わる。

今は宝飾品として身に付けて、必要な時に使うのが一般的で、身を守るのがメイン。攻撃手段は主に剣や弓のみ。

だけど、ゲーム開始の十数年前から魔物の数が増加して苦戦を強いられ、剣と弓では対抗できなくなってくる。

防御を中心としてきた魔法は攻撃に重きを置くように変わり、魔法行使の方法も魔宝石に魔法を貯めて使う方法から魔宝石を媒介に直接攻撃する方法へと変化する。

ゲームの中で攻撃魔法を学院が導入して初めて教える学生達がオースティン達のはず。

なら、もう、魔宝石の使い方は変わってきているのかしら。

だとしたら、大きな魔宝石の価値があがるのかしら。今は大きな魔法石をアクセサリーにしやすいサイズに加工して使っているから大きな魔法石の方が安価だけれども、後々は大きな魔法石の方が高価になるのではないかしら。今後何があるかわからないし、大量に購入して、何かあった時の資金として貯めておくのもありかしら?そうしたら、1人でも生きていけたりしないかしら。そうね。亭主元気で留守が良いって言うし。いなくったって。1人でだって、リリアーナと二人でだって、大丈夫だし。あぁ、胃が重い。大丈夫よ、今生の私(ルリア)、女だって1人で生きていけるのよ。だいじょ


「・・・さま?・・・奥さま!?」


「えっ?えぇ?ごめんなさい、アンナ。少し、ぼうっとしてしまいましたわ。」


「大丈夫ですか?お疲れなのではありませんか。」


危ないわ私。また、考えなくても良い事を。それにしても、時折鮮明に思い出す記憶は何かしら?何か意味でもあるのかしら?・・・はっ!!これはもしかして、リリアーナを守るために神様が与えてくれた力とか?!・・・よくわかりませんけども。


「奥さま・・・?」


「大丈夫、本当に大丈夫ですわ、アンナ。・・・そう、ほら、宝石商で、今日の記念に何か購入しようかと思って。そうだわ!おそろいとかで、どうかしら?リリアーナ、オースティン?」


「おそろい?三人でおそろいですか?欲しいです!」


「私もですか?今日は他にも色々買って頂いているのに・・・。」


「えぇ。もちろんです。街に来る事はあまりありませんし、こんな時位は良いのではないかしら。それとも、オースティンはお揃いは嫌かしら?」


「・・・いえ、私は嫌ではないです。お二人が嫌でなければ・・・嬉しいです。」


オースティン!何なの!その!照れた顔と小声になった語尾!おばさんキラー爆誕ですわ!


「私もお母様もオースティン兄様と一緒が良いですわ。」


リリアーナがオースティンの両手を握ってきらきらしてますわ~

これはもう、あれですわ!散財覚悟ですわ!

といっても、侯爵家の私に割り当てられている金額からすると微々たるものですけども。

普段も使わないから貴族の義務としても使わなければ!って、この感覚が前世を思い出してからすごい違和感!セレブではなかったんですもの。一般庶民には無理な感覚ですわね。ん?前から違和感はありましたわね。あら?昔から知らず知らずの内に前世の感覚に左右されていたのかしら・・・

普段からもリリアーナは消極的で、オースティンは遠慮ばかりで、二人共、あまり物を欲しがらないのですもの。

さすがに今日は二人共浮かれていたせいか、キラキラさせた瞳であれやこれやと手に取っていたけれど、やはり、「欲しい」とは口にしないのですもの。二人に代わって横から買い上げていくのは骨が折れましたわ。嘘です。楽しかったですわ。良いのです。私もあまり買い物をしないせいで、予算は潤沢ですもの。あら?似た者親子ですわね?と言っても必要な物は先に準備されていて、あまり買い物を必要とした事がないのですものね。不必要に購入する必要性はありませんし。


「奥さま、もう少し先に魔法石の宝石商がございます。そちらにいたしましょう。腕の良い職人がいるそうです。出来上がっている宝飾品と魔法石を選ぶだけですが、いつものオーダーメイドと違ってすぐに仕上がって持ち帰れるそうです。」


 アンナに案内されて入ったお店で、リリアーナとオースティンに選んでもらったネックレスを3人でお揃いで持つ事にしましたわ。出来上がっている物なので、似た形で選んで、完全なお揃いではないのですけれども。魔法石はリリアーナと私の瞳の赤とオースティンの瞳の青!3人で選ぶの、楽しすぎますわ!!!









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