第5章 恐怖
フラフラと向かってくる人影に声を掛ける。
「あ、あの!あまりこちらに来ない方がいいですよ!ひ、人の腕が………」
そう言いかけた時あることに気がついた。
なんか、あの人様子がおかしい…?
人影がより近づいてきた。
視界に人影が明確にうつる。
その瞬間、声ならない悲鳴が上がった…。
「!?」
ソレは通常の人間ではなかった。
足はおかしな方向に折り曲がっていて、その皮膚は所々腐敗していて骨が見えていた。
とても生きている人間だとは思えない。
たとえ、ソレが生きていても通常の人間ではないことが分かる…。
ソレは苦しげな呻き声を上げてフラフラと近づいてくる。
本能的に脳が逃げろと告げている。
さっきまで腰が抜けていたなんてことが嘘のような速さで立ち上がり、廊下を駆け抜ける。
2階へと駆け上がり、近くにあった教室へ逃げ込む。
「な、何あれっ!何あれ…!?ゾ、ゾンビ…!?そんなのゲームや映画でしか見たことない!!」
奥歯がガチガチと音を立てて震えている。
そして、恐怖は思いのほか私を侵食していく。
私は、今1人だ…。
1人という事が不安で仕方なく、涙が溢れる。
「うぅ…おにい…ちゃん!怖いよ…」
涙を拭きながら兄へメッセージを送る。
『お兄ちゃん!今どこにいるの?私は2-3の教室にいるから、お願いだから迎えにきて…!!』
震える手でしっかりと文字を打つ。
兄からの返信を待つことにしよう。
………それからどれくらい経っただろうか。
兄からの返信はいつまでも来ない。
このまま待っていても仕方がないと考え、行動することにした。
息を整え、自分に「落ち着け。」と言い聞かせる。
少しドアを開けて見てみたがゾンビ(?)は追ってきてはいないようだ。
「何も…いない、よね?」
何もいないことを確認する。
『私は、少し校内を探してみます。このメッセージを読んだら返信下さい。』
と兄へメッセージを送り、教室を出た。