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二話

「聖那ちゃん、こっち!」

手を引っ張られ走る。

「どこに行くの?」

「綺麗なとこだよ」

笑顔でその男の子が言ってくる。

綺麗なとこというのは答えになっていない。

「いいじゃん、別に」

いいのかなぁ。否、良くないだろう。

「まったく、浅神君は」

ああ、この男の子は浅神君というのか、なんとなく懐かしいな。

「おいコラ!勝手にお嬢を連れてくな!」

「龍咲!」

ああ、これはまるで隼翔が王子様みたいだ。

隼翔....

「龍咲、何しにきた」

「お嬢を引き戻しにだよ」

隼翔、仕事に熱心だな。まだまだ子供だけど。

「お嬢、どっちについて行く」

ああ、そんなの決まってるじゃないか。私が選ぶ方なんて分かりきっている。

「ごめんね浅神君。龍咲、戻ろうか」

隼翔のこと昔から好きだったんだな。隼翔の方は知らないけどね。


ん、夢か、随分懐かしいな。

「おはようございます、お嬢」

「ノックくらいしてよ」

まったく、プライバシーというのが分かっていない。

「学校、何するんでしょうね」

「さーね」

朝ご飯を食べながら話す。あ、もちろん隼翔は食べていない。

「美味しそうですね」

「おかず、少し残ってるけど食べきれないな」

まったく私って隼翔には甘いな。自覚はしてるんだけどね。

「ありがとうございます、お嬢」

あーあ、さっさと食べて行くか。

「ありがたく頂きます」

美味しそうに食べるな、隼翔。いつまでもこんなだったらいいのに。

「ん、俺の顔に何かついてますか」

「さっさと行くよ」

照れ隠し、分かってるんだけどな。直せないなぁ。

今日は隼翔と話しながら登校する。

「いいんすか、お嬢」

「別にいい、それに一緒にいた方が都合いいだろ」

「ええ、まあ。ありがとうございます」

私が一緒に少しでもいたい、とかいう不純な理由じゃないからね!ただ言った通り隼翔が仕事しやすいだろうってだけだから。って、誰に言い訳してるんだ私は、アホかっての。

「そういえば夢に浅神が出てきた」

「浅神、ですか」

隼翔は浅神と聞くと少し考えてからすぐ訝しげな顔になった。きっと忘れていたのだろう。かくゆう私も忘れていたのだが。

そーいえば隼翔って浅神のこと嫌いだったな。

「ごめん、隼翔」

隼翔、ごめんなさい。嫌なこと思い出させちゃって。

「別にいいですよ」

「急ごっか」

学校に少し早歩きで行き、着くとまだ誰も来ていなかった。

「少し早かったですね」

「そうだね」

と話していると男子が入ってきた。

「おはよう、皇さんと龍咲君」

誰だこいつは。自己紹介は聞いてなかったから思い出せない。

「ああ、僕は浅神蒼」

浅神、蒼。浅神じゃん。いや、でもそんな偶然あるのか。

「浅神ぃいいい!」

隼翔が飛びかかっていった。

「龍咲、ダメ!」

そう言った瞬間龍咲は飛びかかるのをやめた。

「チッ」

舌打ちして戻ってきた。

龍咲の気持ちも分かるけどさ、でも、ここで問題を起こされても困る。

「それが正解です」

もう過去のことなどあんま覚えてないけど、こいつは嫌いだ。

「それは肩入れですよ、聖那ちゃん」

「聖那ちゃんって呼ぶな!」

私は怒鳴っていた。

ああ、こいつはやっぱダメだ。普通にもなれない。大嫌いだ。

「酷いですね」

余裕こきやがって、いつか痛い目見るぞ能面野郎。

気に食わん。とにかく気に食わん。

「ふふっ、その顔も可愛いですよ」

なんなんだこいつは。ふざけやがって。

「お嬢、落ち着け」

「分かってる」

分かってるさ、頭ではな。それに私よりもずっと隼翔が頭にきてるってことくらい分かってる。

「頭冷やしに行く」

隼翔は無言でついてくる。護衛も大変だね。

向かったのは中庭の噴水だった。

「隼翔、私がボスになったら世界一になってやる」

私一代では難しいかもしれないけど、それでも私は決めた。

「お供します、どこまでも」

ありがとう、隼翔。ありがとうな。

「そろそろ戻りますか」

「そうだな」

結構教室から噴水までの距離がある。いや、まあね、さすが金持ち学校。

「そういえば、三者面談もうすぐですね」

あ、そういえばそんなものもあった気がする。やっぱどこの学校でも最初の方に1回やるんだな。

「嫌ですねぇ、特にボスが来ることになったら」

ああ、お爺様と隼翔と先生というのはカオスだ。うん、部下にでも来てもらうかな。

「暁刹那にでも来てもらうか」

暁は大人の中で一番信用がある。

「暁ですか、あいつ強面なんですよねぇ」

うん、それは分かるけどそれ以外は嫌だ。

「分かりました、お嬢」

暁に決定だ。

教室に着くとさっきとは違い人がいっぱいいた。

「騒がしいね」

「そうですね」

はぁ、高校ってこのままエスカレーター制だもんなぁ。

特に面白いこともなく毎日は過ぎて行くのだろう。

もーすぐチャイム鳴るなと思ったら先生が入ってきた。

キーンコーンカーンコーン

へぇ、鳴る前にくるんだ。

「皆さん、座って下さい」

隼翔の方を見ると窓の方を向いていた。

隼翔、どこ見てんだろ。

そう思ったらいきなり隼翔がこっちを向きニコッと笑った。

な、ふざけやがって。

「お知らせがあります、三者面談があるのでその紙を配ります」

早いな、三者面談。お爺様と暁に説明しなきゃな。

紙が配られ、見るとその間は学校休みらしい。

まじか、嬉しい。

「明後日までに提出して下さい」

明後日って急だな。まあお爺様も暁もいるだろ。

「あと、席替えします」

席替え早いな。席替えは何と入試の成績順だった。

一番良かった人は窓側の端、次の人が隣で一番低かった人が一番前の扉側の端だ。

もちろん私は窓側の一番端。

やっと隼翔と別れられるよ。

「また隣ですね、お嬢」

「おい、嘘だろ」

「本当です」

この笑顔がむかつく。何だろう、人を苛立たせる才能か。

しかし隼翔が二位とはな。頭良かったんだな、こいつ。

「失礼ですよ、お嬢」

「学校でお嬢って呼ぶな」

「失礼しました」

はぁぁ、先が思いやられるよ。

しかし今日はこれで帰れるらしい。やったね。

帰りのHRが終わり解散だ。

「帰ろう、隼翔」

「いいんすかお嬢」

私は何も言わずに歩き始める。

「ちょ、待って下さいよ」

私は振り返り隼翔を見る。

「早く」

「はい」

隼翔の笑顔、いいものだ。

歩きながら隼翔といろんな話をする。基本どうでもいいことだけど。

車で来ることは可能だが私は歩きたいので歩く。というか家に少しでも居たくない。

「もしお嬢がボスになったら奏汰はどうしますか」

いきなり変な質問だね。しかし答えは決まっている。

「あそこから出すよ」

奏汰には幸せになってもらう。奏汰と隼翔が幸せなら私は幸せだ。

「俺はお嬢が幸せならそれだけで幸せですよ」

だから心を読むなっての。でも、ありがとう。

「ねえ隼翔、何で母さんは奏汰を産んだんだろうね」

「さあ、知りません」

まあそうだよね、知ってるわけないよね、というか知ってたら怖いよね。

「本人に聞けばどうですか」

ああ、その手があった。 すっかり忘れていたよ。

って、どこにいるかも分かんねえのに聞けるかっての。

「お嬢の命令なら命にかえても探します」

大袈裟。命を対価にして探すものでもないしな。

「いいよ、別に」

私にはそれしか言えない。言う事ができないのだ。

ってもう家か、案外早かったな。

入ると部下が相変わらず庭にいた。

「ただいま」

「お帰りなさいませ、若」

やっぱ若って呼ばれるの嫌い。どうも苦手。

「お爺様いる」

「いつものとこに」

私はそれだけ聞いてお爺様の元に向かった。

コンコン

「良いぞ」

「失礼します、お爺様」

入ると丁度良くお爺様と暁がいた。

「学校で三者面談があるらしいんですが」

「分かった、暁に行ってもらおう」

ほら、そうきた。思った通りだ。

「承知しました、ボス」

「それだけか」

「はい、失礼しましたお爺様」

暁と一緒に出る。もちろん隼翔もいる。

はぁ、お爺様と話すと疲れるよ。

「さて、日程表見せて下さい若」

「はい、あと隼翔のもお願い」

「承知致しました」

暁は三番目くらいに偉い。まあ三番目だ、私とお爺様には逆らえない。

私が一番になっても暁はきっと三番目だろうな、隼翔を二番にするから。

「ふむ、この日程ならどこでも大丈夫ですよ」

そう言って名前だけ書き、渡してくる。

「あ、備考欄に隼翔と連続って書いといて」

「分かりました」

その方が隼翔が楽だろう。どうせ私の時は護衛としてついてこなきゃいけないしさ。

「どうぞ、若と龍咲さん」

暁は本当に下のものでも態度変えないよな、そういうとこも気に入ってるんだけどね。

「ありがとう」

「ありがとうございます」

さて、ご飯でも作るかな。

「暁、一緒にご飯食べる?」

「ありがたく頂きます」

断らない、というか断れないのを分かってて聞くって私も酷いよなぁ。直そうとは思わないけどね。

「お嬢、俺は」

「勝手にすれば」

何で素直にいいよって言えないのかな。私のバカ。

「ありがとうございます、お嬢」

「相変わらず仲がよろしいですね」

ニコニコしながら暁がみていた。

何か嫌だ、ねえ分かるこの気持ち。

「作ってくるから用意してて」

別に逃げたわけじゃない、うん。ただお腹が減っただけだよ、うん。

「隼翔のばーか」

小さい声で言う。

はぁ、私ってほんとダメだな。

「さて、さっさと始めるか」

今日はミートソースパスタを作った。何故かって、そんなのパスタが食べたかったからだよ。

「できたよ」

そこからテーブルに運び食べ始めた。

「若は料理が本当にお得意ですね」

「相変わらず美味い」

そんなことを言われると私でも嬉しく思う。とは言え、美味そうに食べてる隼翔の顔が一番嬉しい。

「ごちそーさまでした」

「お粗末様でした」

この二人の歴然とした違い、凄いよ。

さてと、いろいろやったら寝るか。

まあいろいろという名の家事やらなんやらをやって寝た。

三話以降は1週間であげられるように努力します

書きだめは二話までなので

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