一話
自己満足なんであんま面白くないと思いますが読んでくれたら嬉しいです
誰かは言った。
「必ず俺が君を助けるから」
しかしそいつはいつまで待っても来なかった。
私はそして知った。どうせ表面上だけなんだと、人間とはそういうものだと。
それから3年が経った。私は中学に入学した。そして今日が入学式だ。
「おはよう、龍咲」
龍咲は私の唯一信用、信頼共にしている人物だ。私の護衛でもある。
「おはようございます、お嬢」
「だからお嬢って言うな」
苦笑しながらいつも通りの会話をする。
「今日は入学式ですね」
「そうだねー、一緒のクラスになれるといいね」
「ええ、そうですね」
そんな他愛もない話をしながら学校に行く支度をする。
中学では何もないといいんだけどなー。
「大丈夫ですよ、それに何かあったとしても俺が護ります」
「その何かを起こさせないのも仕事でしょ」
「ハハッ、違いない」
笑い事じゃないよとか内心思いつつ支度を終わらせ朝ご飯にする。
「お嬢 、料理さすがですね」
「何さりげなく龍咲も食べてるの」
「まあいいじゃないですか」
まあ龍咲ならいいけど、龍咲以外がやったら即クビだ。
龍咲隼翔、私はいつから心を許したのだろうか。一体、いつから。
「学校では知らない人だからね」
「分かってますって」
普通に話して変な噂がたっても困る。特に龍咲が。
「気を付けて下さいね、お嬢性格は置いといて顔はいいですから」
「一言余計、龍咲だって口悪いけど顔はいいんだから気をつけてね」
「お褒め頂き光栄です」
そう言うとあははと笑い始めた。
何が面白いんだか。私には分からないよ龍咲。
そして朝ご飯を食べ終わり家を出た。
龍咲と一緒に行くことはできないので私が先に出て龍咲が少し遠くから歩くことになった。
まるでストーカーだね。護衛からストーカーにランクアップだ、タッタラー。
何か後ろから殺気が伝わってくるんだけどさ。気の所為かな。
そんなこんなで学校についた。
学校につくとクラスわけの紙が張り出されていた。
私はどうやら1組。そして何と龍咲も1組だった。教室では座席表が張り出されていた。私は自分の席に座る。
その後に隣で誰かが座る音がした。
横を見る。そしたら何と龍咲だった。
「お前かよ」
呟くとどうやら聞こえてたらしい。
「俺で悪かったですね、まあすぐ席替えもしますよ」
そうだといいけどな。龍咲の隣は面倒くさそうだから嫌だ。
「あの、よろしくね。私は皇聖那、えと」
「龍咲隼翔、よろしくお願いします」
これが職業病というやつか、恐ろしや。まあだからと言って仕事を減らす気はないけどね。
「うんよろしく、龍咲君」
龍咲のこと龍咲君なんて違和感しかないがこれからは慣れていかないといけないのか。
「よろしくお願いしますおじょ...皇さん」
こいつお嬢って言おうとしたな。あとでゆっくり話そう(笑顔)
「こ、怖いですよ、皇さん」
「そんなことないですよ、龍咲隼翔君」
そういい前を向く。少しすると先生が入ってきた。
先生は女だった。
「私はこのクラスの担任になった瀬波です、よろしくお願いします」
そこから入学式の説明を始める。
「なぁお嬢...」
小声で龍咲が言ってきた。
龍咲の言いたいことは分かるが確証がない。
「黙とっけ」
「ほんと、口が悪いことで」
まったくこんな口のきき方するやつはやっぱ龍咲だけだ。
そして説明が終わりとうとう入学式だ。長かったな。
体育館に入場し始まった。長ったらしい入学式。
着々と進み次は新入生代表の言葉、私だ。
「新入生代表の言葉、新入生総代皇聖那」
「はい!」
私は立ち上がり壇上に上る。
あぁ、こういうの苦手なんだけどな。
「新入生代表の言葉・・・」
つらつらと喋って終わらせる。
礼をし壇上を下りる。
あーあ、疲れた。まあお爺様がいなかったからまだ良かったけど。
そして入学式が終わる。クラスに戻ると一人ずつ自己紹介と言われた。
めんどくせえ。
そして私の番。とりあえず立ち上がる。
「皇聖那です、よろしくお願いします」
無難な自己紹介。いや、名前は入学式で知れてるし自己紹介とは言わないな。
そして龍咲の番。
「龍咲隼翔です、運動と女の子と友達が好きです。よろしくね~」
な、なんてふざけた挨拶。やっぱしばらく飯抜きだな。いや、飯は勝手にしてもらう。
「どうだった、お嬢」
「しばらくご飯勝手にして」
「怒っていらっしゃいますね」
当たり前だ、あんなこと言って何もないわけないじゃない。バカなのか。
そうして自己紹介が終わり解散ということになった。
「あ、龍咲君少し残って下さい」
龍咲に何の用だ、一体。
龍咲が困ったようにこっちをチラッと見る。
「いいよ、待ってる」
さすがにそれくらいは私でも配慮する。
皆が出ていった教室では先生と龍咲と私だけがいた。
「あの、皇さんは帰らないんですか」
「私のことはお気になさらず」
むしろ気にするならさっさと終わらせてくれと思う。
「おじょ...皇さんは大丈夫です」
やっぱしばらく飯用意しねえ。金は使ってないっぽいからあるだろうし大丈夫だろう。
「そうですか、では。龍咲君、あなたは保護者の方と一緒に住んでませんね」
あ、あー。そういえばそうだった。すっかり忘れてたわ。となると話しはあれだよな。
「ええ、まあ」
「あなたの保護者代わりは誰なのですか」
すげえ直球。ただこれは答えられるかな龍咲。
「それは....」
こうなるのは当たり前だ。お爺様は難しいお方だからな。
「まさか一人暮らしですか」
龍咲がこっちをチラッと見る。
助け求めんなよ、私を助ける側が私に助けられてどうすんの。
「違いますよ、先生」
たくっ、サービスだからな。
「何故、皇さんが」
「龍咲、話していいよ。お爺様にはこちらから話を通しおく」
一瞬龍咲の顔が明るくなった。そしていつも通りに戻った。
「ありがとうございます、お嬢。俺はお嬢の祖父と一緒に暮らしていて親代わりです」
「お嬢って呼ぶな隼翔」
「......いいじゃないですか。あとボスに怒られますよ」
そんな反応するってバカか。頑張って隼翔って呼んだのに。女心というのを微塵も分かっていないな。
「分かりました、帰っていいですよ。引き止めてすいませんでした」
「じゃあ来た時と同じように帰るか」
「はいはい」
そして帰路についた。
私たちはもし未成年のうちにお爺様が死んでしまったらどうなるのだろう。私はお爺様に代わりボスになる。ならなきゃいけない、それは決まってる。だが保護者がどうなるか。
「ねえ隼翔、家族に会いたいって思うことある?」
隼翔に聞こえるくらいの声で言う。
「ないですよ、そんなお嬢は親に会いたいって思うことないんすか」
「あるよ、たまに。どうせ逃げた人たちには会えないだろうけど」
私のお母さんとお父さんは私を差し出すかわりに家を継がなくて、家を出てっていいと言われ了承したそうだ。私は身代わりだった。
母さんと父さんに会いたいな。
「すいませんお嬢」
別にいい、隼翔なら 。隼翔以外だったら即半殺しだが。
「早く帰ろうか」
「はい、お嬢」
やっぱ私の隣にいるのは隼翔だけだ。
「ただいま、みんな」
家につき庭にいたガタイのいい黒ずくめのやつらに言う。
「お帰りなさいませ、若」
やっぱ若って呼ばれるの苦手だな。
「やっと屋敷か」
隼翔も帰ってきた。
「ボスが若を探しておりました」
「わかった、行く」
どうせ今日もあれだろう。
嫌だなー、やりたくないなー。私これでも穏便派なんだけど。
「穏便派はないでしょう」
隼翔がそう言って笑っている。
勝手に心読むなよ変態。いや、まじでさすがに隼翔でもやめて欲しい。
「そんな拒絶されると傷付きますよ」
「だから心読むな」
まったく、隼翔じゃなかったら半殺しにクビで社会的に生きていけなくするわ。
「お嬢、俺はお嬢が嫌なことはしなくていいと思ってます」
「お爺様の前でそんなこと言ったらいくら隼翔でも殺されるよ」
「ええ、しかし」
分かってる、隼翔が何よりも私優先なことなど。それでも隼翔は変なことには巻き込みたくない。
「黙れ」
「はい」
ごめん、隼翔。ごめんなさい。
「龍咲、行くよ」
龍咲は頷く。
コンコン
「失礼します」
そう言って扉を開ける。
「よう来たな」
「はい、お爺様」
龍咲は跪いてそのままだった。
「固くならなくて良い、龍咲もな」
「はい、ありがとうございます」
お爺様は怖いが優しいとこもある。
今日はどうせあの用だろうな。
「奏汰を躾てくれ」
「分かりました、お爺様」
奏汰、今度は何したの。奏汰を護ることは私にはできない、だからいつも少し傷つけて終わらせる。
「お嬢、無理すんなよ」
「分か、ってる」
それでもお爺様の命令は絶対だから仕方ない。
私は冷酷、冷酷なんだ。
自分に言い聞かせ奏汰の元に行く。
「やぁ、相変わらずだね奏汰」
「お姉、ちゃん」
掠れた声で言う。
ごめんね、奏汰。
「お姉ちゃんって呼ぶな!」
奏汰は悪くない。お姉ちゃんって奏汰に呼ばれるのも好きだ。そんな苦しそうな顔しないで、させてるのは私だけど。
「私に兄弟はいない、私の血縁はお爺様だけだ」
何で母さんと父さんは奏汰を産んだの。何でだよ。
「お嬢、そろそろ」
分かってるよ。あーあ、いつまで経っても嫌だな。
私は牢の鍵を開け入る。未だ手足は拘束され新しい傷もある。目に正気はなく、死んだ目というやつだ。
「隼翔」
「お嬢、無理なさらず」
隼翔はいつでも優しい。いつでも。
「ねえ奏汰、いや出来損ない君」
ああ、嫌だ。奏汰を傷付けたくない。奏汰は大事な弟なのに。私はそこまで冷酷になれないよ。
「お姉ちゃん、やって」
掠れた声で笑顔で奏汰が言う。
奏汰、何で、何でそんなこと言うの。ああもう、こんなの嫌だよ。
はぁ
「奏汰、相変わらず出来損ないだね。そんなんだから軽蔑されるんだよ」
あとは多少の暴力で終わり。
終わって部屋に戻ると涙が出てきた。
「ううう、何で、何で、奏汰ぁ」
「お嬢...」
私は何もできない、弱い。たった一人の弟すら助けられないんだ。私は人を苦しめるんだ。
「お嬢、お嬢によって救われた人もいることを忘れずに」
ああ、ありがとう。何でいつも慰めてくれるの隼翔。
「嫌というならお嬢が変えてみてはいかがでしょう」
「私、が...?」
「お嬢はボスがボスでなくなればNo1になります。変えるのは容易ですよ」
そうか、ああなるほど。それは確かに。でもお爺様はしばらくこのままだろう。
「大丈夫です、お嬢。俺がずっと傍にいます」
「ありがとう、隼翔」
自然と笑顔がこぼれた。
私は隼翔に支えられて、助けられてる。だから恩返ししないとな。
「さて、ご飯にしますか」
そこからはいつも通りの変わらない日常だった。そして寝た。