第百八十話 カレー味のうんこの作り方 その4
うんこばっかでごめんなさい!多分次回で話が劇的に動きます!
しかしお盆などありまして、次回はすいませんが四週間後になるかと思います。では、また。
「……はぁ」
俺は最早、怒涛の如く押し寄せる諸現象に突っ込みを入れる気力も失い、トイレの激流に漂うケツを拭いた便所紙の切れ端のごとく翻弄に身を任せ、呆けっとしていた。
「パパ、これ忘れてる!」
「ふゴアッ!?」
黄昏ている全裸の俺の繊細な頭に、野蛮の塊のような娘が、とどめとばかりに黒いヘルメットをムギュッと被せた。とても臭い。
「よっしゃ上出来や、花音ちゃん! さっすがこうしゃなお子様やで! ほんじゃとっととこのウスノロを司令に縛りつけるぞい!」
「合点でい、べらぼうめ!」
「なんであんたらそんなにコンビネーション抜群なの!?」
俺が呆気にとられているうちに、イノシシ頭の高峰先生と花音というおかっぱ幼女は、俺を抱っこ紐そっくりな連結具とやらで司令と呼ばれる角刈りオヤジにてきぱきと括りつけた。
「ふうーっ。ようやく一仕事終わったな。これで後は、この子宮孔をホジホジするためのでっかい昆布を持たせて、司令のケツメドに座薬を肛虐やなかった挿肛するだけなんやが……」
「ちょい待ち、メスオークじゃなかった高峰先生! 花音もパパと一緒に戦場の狼する!」
吹雪の中モシャモシャと巨大昆布を甘噛みしながら、おかっぱ頭の幼女が恐ろしいことを口走った。
「なんやと、あんたまた出陣する気かいな! いちゃけなくせにすげえ根性やのう……でもまあ、確かに一番戦闘で頼りになるのは花音ちゃんやしな。ほんまツエーゲンって感じの子や。しゃあない、死なん程度にいっちょ行って来いや!」
「父親の俺の意見は!?」
記憶の中の俺が情けない声で反撥するも、その場の二人に軽くスルーされてしまった。
そうこうするうちに早速新たな連結具が用意され、異形の女医は長槍のような昆布を握りしめた幼児を俺の背中に抱っこさせた。
しかしなんだかこの感覚は、非常に身に覚えがある。
やはりこの子は自分の娘なんだろうか……?
「ほんならいよいよメインディッシュの座薬の出番や……と思ったけんど、もうだいぶ時間食ったし、どうせなら試しにこいつを使ってみんか、太郎?」
そう言いつつ、出し抜けにガサゴソとコートの下から彼女が取り出したのは、透明なプラスチック製の巨大なスポイトのような、なんとも不気味な代物だった。
容器の中には透明な液体がたゆたっている。
「な、何ですかそれは!?」
「これはいわゆるグリセリン浣腸液や。ほんまは頑固な便秘に使用する最終兵器やけんど、こいつを全部肛門に注入したら、理論上は座薬どころやないフルスピードで発射し、あっという間に目的地に到着する筈や。まだ実戦でOBSに試したことはないけどな」
「何でそんなものを服の中に入れてあったんですか?」
「何言っとんのや太郎、こいつは体温近くまで温めてから注入せんといかんのやぞ。ほれ、昔の話にもあるやないか。織田信長が朝、便秘気味で浣腸しようとしたら、浣腸液がホカホカと温かくて、『誰がこんなことしたんじゃ!? 尻にでも敷いとったんじゃろ!?』と部下たちに問いただしたところ、後の豊臣秀吉こと木下藤吉郎が……」
女医は滔々と語りながら不敵な笑みを浮かべた。
「ストップ! それって浣腸液じゃなくって草履ですよね!?」
憑依状態の俺も、さすがにこれには突っ込みたかったのでほぼ感情と行動がシンクロしていた。
「まあ細かいことはどうでもええがな。ほんじゃ一気に行くぞ! そりゃっ!」
「ギャートルズっ!」
なぜか俺の限りある大切なア○ルに激痛が走り、同時に生暖かい感触が腸の奥まで広がった。
「あっ、すまん、間違えてお前さんの尻穴にちょっと入れてしまったわ。堪忍な」
「どうしてくれるんですかこのイノブタ野郎!?」
「大丈夫大丈夫、浣腸液はまだいっぱい余っとるから、今から司令に入れ直せばええんや」
「そういう問題じゃないだろう!」
「ええやん、丁度便も出てすっきるするし。ま、関節キスならぬ関節ア○ルファックにはなるが気にすんな」
「気にするわボケェ! このヤブ医者! レイパー医師!」
「レイパー医師って霊媒師に似ているよね、パパ」
「あんたはちょっと黙っていて!」
「そないに怒鳴ると更に禿げるし、いんぎらーっとしまっし。ほないくでええええっ!」
今度こそ本当によくわからん方言を話す腐れ女医が俺の真下の角刈り男こと司令のア○ルに、俺から引き抜いた何かを差し込む。
途端にズキュウウウウンというジョ○ョ的擬音と共に、俺と司令の射出口から壮大な下痢便が噴出し、銀世界をたちどころに茶色に塗り替えていった。
わずかに色調の異なる二人のゲリマンダーはあたかもチキンカレーとポークカレーの二色カレーのようで、俺は嫌が応にも先程脳内で勝手に垂れ流されていたカレー味のうんこという言葉の暴力を思い出した。
「うおげええええええええーっ!」
俺の意識は水洗便所に吸い込まれるコロコロうんちの如く、急速に消えて行った。