第百六十八話 星の…… その7
「とにかくこれで依頼の件については果たしたわけだが、そもそもなんでこんなものがいるんだよ!?」
俺は飽きることなく砂上でゴムゴムの槍と戯れているホシノに対し、なんとなしに問うた。
「ほら、さっきも言ったでしょ。僕の星は人口が少なくて超少子化で滅びそうだから、改善するためにはどうしてもおちん〇んが必要だったんだよ」
「だから世界を救うって言ったのかよ!?」
それ以前にゴムを被ったままだと多分子孫繁栄に繋がらないんですけど、と俺は突っ込みたかったが、魂の底から喜びのオーラを放っている少女を見ると、言うだけ野暮なような気もしたのでグッと喉の奥にしまい込んだ。ああ、夕陽が綺麗だなあ。
「あと、これはおまけなんだけど、穴が血おじさんをこの地獄から助けてあげたくってさ」
「えっ、俺を!?」
急に話の矛先が自分に向かったので、俺はたじろいだ。
「そんなへっぽこOBSに乗ってすっぽこ操縦してたんじゃ、百年飛んでもこの淫魔界からは脱出できないよ。だから、哀れに思った心優しいボクはわざわざおじさんに依頼して恩返しって形で力を貸してあげようって考えたわけさ」
「すげー回りくどいな、おい! 普通に助けてくれよ! そもそもボツばっかりで全然優しくなかったぞ!」
「まあ、その方がおじさんも下手に気兼ねしないし、心が痛まなくていいでしょ?」
そうぬけぬけとほざきながら、ホシノはさらさらと残り僅かなスケッチブックに導火線のついた座薬のような、一見得体のしれない珍妙な物を描いた。
「つ、次は何だよ、これは!? なんか途轍もなく嫌な予感がするんだが……」
「これは見た目の通り、ずばり座薬ロケットさ。日本うんこ学会の石井洋介先生が言うには、座薬を入れた直後におならをすると大変なことになるので我慢しましょうってことだけど、まさしくその理論を応用したもので、こいつをOBSの煮えたぎるア〇ルに挿入し、イグニッションファイヤーすれば、光のような速さでロケットで突き抜けて打ち切り、じゃなかった打ち上げられて一気に現世まで戻れるよ!」
「理論が全く理解できないんですけど、もうちょっとマシな方法ってないのかよ!? そんなカエルのケツに爆竹突っ込むような真似嫌過ぎる!」
俺はここぞとばかりに吠えまくった。いくら俺の肛門ではなくて司令の肛門だとはいえ、さすがに可哀そうすぎる。だって一人一つずつの大事な肛門なんだから。
「まあ、こういう仕様の世界なんだから、気にしない気にしない。そんじゃいっくよー、クリトリ スブタシャブリツク!」
「なんかさっきと呪文が違う!」
俺が息を切らせて突っ込んでいる間にも、スケッチブックの表面はイースト菌を入れ過ぎてノラネコぐんだんが逃げ出したパン生地のようにどんどん膨らんでいき、やがて使用すれば確実に人体破壊され人工肛門間違いなしの邪悪なブツがバコンと出現した。
「さあ、先っちょだけでいいから入れて!」
「嫌ああああああああああああああ!」
「やれやれ、知ってるかい、ホモのおなら大会じゃ、いい音のおならをしたやつは処女ア〇ルだってバカにされるんだよ。つまり、うちのア〇ルローズはガバガバですかしっ屁しか出ないけれど、このOBSみたいにあまり使い込んだ様子がなければ、きっと天まで届くおならが噴出するって!」
「言ってることが何一つ理解できないんですけど!」
俺たちが無駄な口論を続けるうちにも、じりじりと導火線の先っちょは短くなっていった。




