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第百六十三話 星の…… その2

「ところでお嬢ちゃんは一体何者なの?」


 ようやくズキズキ痛む肛門に突き刺さった絵筆を抜き取った俺は、嫌々ながらもそれに絵具をつけつつ、砂の上にあぐらをかきながら、少女に尋ねた。


 因みにOBS化した司令は哀れにも俺のケツの下で砂に埋もれたままだ。


 しかし、なんか肌色の絵の具をつけても、筆の先が茶色のままなんですけど……血もちょっとついてるし。


「ボク? この有名なボクを知らないの? 空条承太郎でさえ知ってるよ。いいかい、ボクの名前は星の……」


「ストオオオオオオオオオップッ! もういい! わかったからそれ以上言わないで!」


 なんか著作権的にヤバそうな危険を察知した俺は、平たい胸をそらしながら、なぜかドヤ顔をしている少女の名乗りを直前で制止した。


「とりあえずお嬢ちゃんのことはこれからホシノと呼ぶよ、それでいいだろ?」


「まあ、別に名前なんてどうでもいいけどね、それでいいよ」


「その考え方はあながち間違っていないな……」


 世の中、砂浜で発見されたから砂浜太郎なんぞと命名された人だっているくらいだからな。


「っていうか穴が血おじさんこそどこの誰なのさ?」


「穴が血だらけなのはお前が絵筆を突っ込んだからだああああっ!


 俺の名前は砂浜太郎といって、こことは違う世界からやって来た、正義の味方的なことをやってる人なんだよ!」


 うん、少なくとも嘘は言っていない。


「へーっ、じゃあボクと同じだね」


「何故!?」


「ボクもこことは違う世界から来て、ボクの世界を救おうと思っているのさ」


「言っていることがよくわからんが……とりあえずこんなのでどうだ?」


 俺は、自分で言うのもなんだが、萎びたキュウリの下にドライトマトが二つ添えられたようにしか見えないブツが描かれた力作を彼女に放り投げた。


「嫌だよ、こんな腐りかけの野菜サラダ! やる気ないの、穴が血おじさん!」


「ごぼあああああああっ!」


 丸められたスケッチブックが俺のデリケートゾーンを強襲し、なんか凄く痛い。


「うるせーな! そうはいっても画力がねーんだよ! 俺は石恵とは違うんだよ!」


「別にそんな神絵師レベルじゃなくていいんだよ。それにしても石恵の入浴フィギュアにしてもそうだけど、最近のエロフィギュアって昔ほど局部造ってくれないよね」


「捕まるからだよ! そんなに魔改造フィギュアが欲しけりゃ大阪の日本橋のボー○ス行って買ってこいや!」


 興奮状態の俺はつい、北陸人にはアキバよりも馴染みの深い西の聖地を親切に教えてやった。


 それにしても、大学の後援会費横領してフィギュア購入していたハーブな文科省職員とやらは、一体何のキャラのフィギュアを買っていたんでしょうかね?


 スマホゲームに課金していた点から推理すると、おそらく……


 いかん、痛みのせいで思考がまとまらない!


 助けてホビージャ○ン!


「あれってすっごく高いんだよ……そもそもボクの星は貧乏で小さくて人も少なくて、エロフィギュアを飾るスペースだってそんなにないしね。花なら一輪咲いているけどさ」


「へえ、どんな花なんだ?」


 疼痛が薄れてやや意識レベルが正常化してきた俺は、ふと興味を抱いて聞いてみた。


「バラの花だよ。少なくとも本人はそう言ってるけどね、喋るんだよ」


「喋るバラ……?」


「つまり、おち○ちんが無くなった裸の男の下半身が地面から生えているんだよ」


「なんじゃそりゃああああああ!? どこがバラだよ」


「本人はア○ルローズって名乗っていたよ。ア○ルに目覚めて若気の至りでつい前を切り取っちゃったけど、いろいろやらかしたので住んでいた星を追放され、ボクの星に飛ばされて来たんだってさ」


「もういいから話さないで!」


 俺は犬上家の一族状態の男の逆立ちした下半身を想像し、思わずお出かけ専用のスケキヨマスクを被りたくなった。助けてバクマン兄さん!

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