表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/190

第百五十一話 ネ◯ロフィリアといえばサウスパークのハロウィン回を思い出して鬱になりますね

「ネクロ◯ィリアが三度の飯より大好きな平凡な男子高校生・(しかばね)姦太郎(かんたろう)は若い女性の死体に悪戯しようと火葬場の中に潜り込んだところ誤って職員に点火され、神様のお情けによって異世界に転移する。


 そこは彼の望んだとおりの土葬オンリーの世界で彼はワクワクするも、すべての遺体がアンデッド化するためなかなか思いが果たせなかった。


 そこで遺体の動きを止めるため神聖魔法を習得しようと神官の道を目指すも、外見だけは良くて生きている女性に興味のない彼は、身持ちが固い好青年と勘違いされ若い女性神官たちに人気が出てしまうが……」


「だからさっきから何なんだよこれはあああああああ!?」


 またもや恐ろしい情景に脳内が占拠されそうになり、俺は再び金切声を上げた。


『おっ、やっと通じたか。今現在、お前さんの身体はうらの目の前で司令と一緒に意識なく横になって転がっとる』


「じゃ、じゃあ、やっぱり司令とキスした直後に俺は気絶したんですか……」


『そゆことな。こりゃしばらく待つしかないがかと思ったんやが、ふと思いついて太郎の頭に黒ヘルを被らせ同調したところ、なんやら赤黒くて渦巻いたような風景が見えたもんで、試しに呼びかけてみたってわっきゃ』


「なるほど……」


 高嶺先生の声は、電波状況の悪い中で携帯電話で通話しているがごとく、急に大きくなったり小さくなったりして耳に悪かったが、なんとか聞き取ることができた。


 俺は、今まで見てきた地獄のようなイメージについて先生に伝えた。


『ほうかほうか。ちなみにおまさんの声は、薄っすらとうらの頭の中に響くみたいな感じで、実際に太郎がしゃべっとるわけやなさそうや。


 つまりこれは、いわゆる一つのサイコダイブってやつやろうな』


「サイコデブ?」


『違うわっていうかこんな状況で突っ込ませんなや! 他人の精神下に潜って秘密やら記憶やらを調べたり治療したりっていうSFとかでよくあるやつや!


 そこの空間でのおまさんの身体は、自分のイメージを具象化したもんかもしれん。


 空海のミイラにサイコダイブする話とかが有名やで』


「それって小説でしょうけど本当にそんなことができるんですか?」


『多分OBS操縦士である太郎と、OBSみたいなもんである司令とは、深く繋がっていると思われるし、そういうことが可能なんかもしれんな』


「しかしこの後どうすればいいんですか?」


 俺はゲームオーバー寸前でコンティニュー画面で百円玉をゲーム機に投入しようと焦るガキんちょのように、ノイズ混じりの微かな声に必死で問いかけた。


『さっきも急にちょっとだけ動いたように、おそらく司令の魂は完全には死んでおらず、深い深いところで眠っているんやろうな。


 おまさんはまだまだ司令の心の表層を彷徨っているのにすぎん。


 そこはおそらくいらん長期記憶やちらっと考えたことなんかを溜めておく、前意識と呼ばれる場所やろうな。


 さっきわけのわからん映像がザザザザっと高速で流れていったが、あれはほとんどが司令の想像や、いろんな出来事を雑多に組み合わせたもんで、実際に起こったことやないやろう、多分』


「実際にあんなことばかりあったら嫌ですよ! で、どうやったらもっと深く潜れるんですか?」


『波や。魂も感情も、心というものはなんでも波を持っとるんや。


 ほれ、以前エロンゲーションの原理を飲み会で司令が説明した時言っとったやろうが。


 その波を見つけて追っていけば、いずれは精神の根元たる深層意識にたどり着けるはずや。

イドの底を目指せ、太郎!』


「波、ですか……」


 俺は今一度、目を凝らして周囲を見回した。


 あの忌まわしいイメージはどこかへ吹き飛んでおり、あたり一面赤と黒の縞々が無秩序に入り混じったような、見るだけでめまいがしそうな光景がどこまでも果てしなく続いていた。


 まるでフラクタル画像のようなその世界は、どこにも波と呼べるものは無さそうであった。


「見つかりませんよ!」


『……なんや情け無い新司令やのう。ちったあ自分のその薄くなった頭でかんがえてみぃ』


 気のせいか通信がどんどん途切れがちになり、か細くなっていく。


 こんなところで放り出されてはたまらない。


「ギブミーヒント、プリーズ! ライトレフトのジェントルマン! ファックユー!」


『なんかいろいろ間違っとるが、かわいそうやし少しだけ教えてやるわ。


 波が無けりゃあ自ら起こすんや。鏡みたいな水面に波を生じさせるときは、どうすりゃええんや、太郎ちゃん?』


「そりゃ、石を放り込んでやればいいんでしょ?」


『その通りや。じゃあな。うらは昼食後なんでちょっと一寝入りしたくなってきたんや。


 やっぱ歳とると座っとるだけでダメやな〜」


「昼寝しないでくださいよ! 太りますよ! そもそも石ってどういうことですか?」


 どんどん眠たげな調子になる無慈悲なメスオークを現世に引き止めようと、俺は声のボリュームを最大にして呼びかけた。

すいませんがまだ身体症状が思わしく無く、次回は3週間後ぐらいになりそうです…では、また。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ