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第百四十六話 アナルダって名前は最近はダメっぽいですね

 なんとか画面は元に戻ったが、なんか羊女の機体の血糖値がすげー減っていた。


『ごめんね、太郎ちゃん。司令就任祝いにあたしのアナルダ姫ちゃんを思う存分あなたに使わせてあげたかったけれど、薔薇の花が咲いちゃってもう無理みたい……』


 羊女の甘く切ない涙声がヘルメットの中を蹂躙する。


「結構です! ていうかどういう被害なの、それ!?」


 こんな時にまたもや師匠オエッのスカル◯ック探偵及び彼に半身不随にされたり結果的に殺された人々の姿が脳裏をかすめたが、迷わずまとめて異次元空間にうっちゃり俺は叫んだ。


『いくらエンジェルズ・エプロンの上からとはいえこれはヤバいわね……。


 例えるなら、分厚いゴムをハメた巨人のチ◯コにガンガン掘られまくっている感覚の百倍増しってな感じよ……』


「お願いだから例えないでとっとと逃げなさい!」


『だから無理なの……もう力が全く入らないわ。さようなら、太郎ちゃん。


 あたしのお墓にはローションと菊の花を供えてね……』


 通信が徐々にかすれ、途切れ途切れになっていく。


「断固断る! くそっ! 何かいい考えはないものか……ん?」


 その時、俺のザビエル頭を更に蒸れ蒸れ状態にして悪化させつつあるフルフェイスヘルメットに映る画面が大きく揺れ動いた。


 どこかで見た覚えのある黒い槍状のものが羊女を亀甲縛り状態にしている卵管に直撃し、グワンと大きな音を立てて跳ね返されたのだ。


「あれは確か、ついさっきお目にかかったばかりの……アポトキシン4869だっけ?」


『違いますよ情弱新司令さん! それはコ◯ン君が蘭ねーちゃんと一緒に風呂に入るために使った小さくなる薬でしょうが! アトラトルですよ!』


 せっかく思い出したのに盛大にサイコ少年に突っ込まれ、俺はいささか気分を害した。


「何でアレがここにあんだよ!?」


『やれやれ、チン司令さん、あなたの優秀な娘さんが気を利かせて、僕があげたコンブに隠して一緒に持ってきてくれたんですよ』


「どうりでさっき尻を叩かれた時、すげえ痛かったわけだよ!」


 後ろで花音が、「こんなこともあろうかと! バカめ! アナルライザー!」などとほざいているようだが、俺はとりあえず無視した。


『しかしすごい武器ですね。ほら、見てください。折りたたんで持ってきたんですが、OBSのスピードを加味して発射したら、バリアは突き破れなくとも、多少は動揺をさそったようですよ』


 竜胆の言う通り画面に集中すると、やや羊女の乗った機体の位置が先ほどと変わっていた。


『やった、卵管の戒めが少し緩んだわ!』


「よし、今のうちだ! 左右に乳首をひねりまくって脱出しろ!」


 俺は必殺ガチャ乳首の術を腐れ痔瘻羊に伝授した。以前竜胆戦で試したことがあったが、細かく激しい動作を行えるため、こういう時に重宝する操縦法だ。


『わかったわ、太郎ちゃん!』


 俺の指示通り、カマ羊が両乳首が腫れ上がるくらい機体を小刻みに動かすと、ようやく卵管の拘束が解けた模様で、やつの乗ったOBSはなんとか戦場を離脱し、その勢いで、年中バーゲンしているイ◯ン系グループのなんとかいうオサレな駅ビルデパートに轟音を立てて突っ込んでいった。


 あのあたりは確か映画館だったと思うが、死傷者が出ていないことを祈ろう。


「やれやれ、しかしウロ・シュートが効かないとは、困ったものだな……」


『ちょっとはあたしのア◯ルも心配してよ、太郎ちゃん!』


「うるさいボケ羊! それより誰も死んだり怪我したりしてないだろうな!?」


 画面が再びジャミジャミ状態となり、やつの周囲の安否確認ができないため、俺は怒鳴った。


『幸いお客さんが数人しかいないラブロマンス系の映画を上映してるシアターに突っ込んだから、人的被害は皆無よ。皆あたしとOBSちゃんの血だらけの肛門を見たら絶叫して逃げて行っちゃったけど』


「なんて気の毒な観客たちなんだ……災難だな」


『どうせリア充カップルばっかりだったから、爆発しちゃっても良かったわよ。


 とりあえず悪いけどあたしは戦線離脱するわ。あたしもOBSも絶賛血便がダダ漏れ中なのよ……』


「早く帰ってポステリザン軟膏でも使用しとけ! それにしてもいきなり弱ったな。


 一体どうしたらよいものか……」


 開戦早々一機使用不能に陥ったため、新米司令の俺はヘルメットの上から頭を抱えた。


『ウロ・シュートはしなくて様子を見てみますか、砂浜さん?


 チクチンもそろそろ到着するし、何か指示を出してくださいよ』


「シャーラップ! 今考え中だ! 指示待ち人間なんかになっちゃダメだ!」


 俺は竜胆の通信に苛立ちを悪化させ、理不尽に吠えた。

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